1-7 森へ
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累計600ビュー突破しました。ありがとうございます。
まだまだ描写が荒く、誤字脱字により読みづらい部分もあるかとは思いますが、どうぞよろしく御願い致します。
誤字脱字を発見された際は指摘のほどよろしく御願い致します。
ニーナは旅人の杖を『戦闘用の杖』に買い替え、さらに三種類の防具を入手した。『バトル・グローブ』、『バトル・グリーブ』、『バトル・ブーツ』の三点だ。名前が示す通り、それぞれ、手袋、脛当て、くるぶしを覆う靴である。三点とも装備しても最大防御力の上昇量が三点の合計値とはならなかったので、彼女はやや不満げだが靴の防御力が胴で受けた攻撃に対して適応されるとは考えづらいので仕方がないだろう。
ヒトミは地面に打ち付ける事のできる杭のついた『ウォールシールド』と『投手の手袋』を購入した。重量のあるウォールシールドの取り扱いは難しいだろうが、同価格帯の盾の中では飛び抜けた耐久力を誇っている。『投手の手袋』は投擲による威嚇効果と威力を向上し、手を保護する装備だ。
二人は残った資金を出し合って、千crする『初心者用調合セット』を購入した。
アキラが購入したのは千crする『魔法の小鞄』と五百crの『採取用手袋』だ。『採取用手袋』は微弱の毒と麻痺耐性効果に加え、採取時の品質安定効果があるが、防御力は皆無の装備だ。さらに、三百crで二人が買えなかった『薬包紙』を三セット購入する事で、『初心者用調合セット』を借りる権利も会得している。
ヒトミとニーナはまたしても一文無しとなってしまったわけだが、また稼げば良いというニーナに釣られて、ヒトミにも心配した様子はない。たしかに、魔物を倒せば生活資金くらい簡単に手に入るので、アキラも何も言わなかった。
一行は昼に発行されるであろうクエストに備えて、西の森へと向かう。
◆
現代日本の管理された森と違い、ナウル西の森には人が通る事を想定した道などなかった。森までの道は整備されていたのだから、全く人の手が入っていないというわけではないはずだが、人の立ち入りを拒むような“大自然の迫力”がそこにはあった。
とはいえ、事前情報の少ない洞窟に躊躇なく飛び込んだ冒険者である彼らにとって、自然の迫力など足を止める理由にはならなかった。
背の低い木から葉や実を採取しつつ薬草を探していると、
「あ!」
と、ヒトミが不意に声をあげた。
残る二人の注目が集まる。
「どうしたの?」
思い思いにむしった草を観察して薬効が高い物を選んで採取するようにしているうちに、肉厚の丸葉が美しい『陰草』を筆頭に、数種類だけを採取する事で合意していた。無差別自然破壊は望むところではなかった。その『陰草』にしても適当に見回せばちらほらと生えているので、発見して思わず声を漏らすような物ではない。
なにか想定外の自体があったのかと問いかけるニーナに、ヒトミは照れたような笑いを返した。
「あ、驚かせちゃってごめんね。投げるための石を拾ってたら、アイテムストレージにはいらなくなっちゃって……」
設定を操作して可視化されたウィンドウを、二人はどれどれと覗き込む。
アイテムリストをスクロールするうちに、二人の表情が固まった。
『小石』『小石』『小石』……永遠に続くかと思われる小石の文字の羅列。
アイテムストレージ内部にはカスタムカテゴリを設定できる。それを利用してアイテムを整理できるのだが、ヒトミの設定では、『投擲』の項目の中に『小石』の項目が存在した。あらためて見てみると『小石』の項目名の横に記述されている内包アイテム数の表示は、千に近い値になっている。魔物の素材アイテムと同様に人工物ではない——品質が安定しない——ため、重複整理できないようだ。
「うん、当分拾わなくていいんじゃないかな」
固まったままの表情でニーナはそういうが、ヒトミは不満げだ。
「『小石』を取り出しても『陰草』をひとつしか仕舞えないんですよ。質量も体積も『小石』の方が大きいのに」
『素材』下部の『薬用』カテゴリにも様々な薬草や木の実が、こちらもまた重複整理なしで保管されていた。品質にある程度の差がある事が重複整理不能の条件なのか、アキラのストレージ内部の薬草は同一の種毎に三枠に分かれて重複整理されている。
「質量でも体積でもないなら、純粋な数なのか保存枠なのか、試してみるか」
アキラはそういうと、無作為に選んだひとつの枠から『陰草』を五枚取り出して、ヒトミに渡した。
ゲームに不慣れなヒトミはその言葉だけでは理解できなかったようだが、「ひとつ石を取り出して、代わりにその草をしまってみて」とニーナに促されて実行した。
結果、仕舞う事ができた『陰草』は一つだけだった。
「つまり、アイテムストレージにはアイテムを約千個保存できる、という事だな。重複整理状態のアイテムも、重複整理数ではなく実際の保有数でカウントされるわけだ」
ついでに、『魔法の小鞄』の性能も確かめて見る。体感で見た目の倍ほどの体積の石——五十個ほど——を詰める事ができ、重量は半減される。中身を全て石にすると肩から下げるにはやや重い。
さらに、中身を詰めた状態でアイテムストレージに格納する事ができ、ストレージ内部ではそれだけで一つのアイテムとしてカウントされる。が、ストレージ内部では操作できず、中の石を取り出すどころか中身を確認する事もできない。
「戦闘時に石を出しやすいよう、貸しておこうか」
アイテムストレージを操作して石を取り出す動作はヒトミの場合だと、ウィンドウを開く、アイテムストレージタブに移動する、『投擲』カテゴリを選択する、『小石』カテゴリを選択する、『小石』を選択する、となる。慣れればブラインドタッチでも可能な操作ではあるが、どれほど熟練してもレスポンス待ちの時間を含めると数秒はかかってしまう。
「えっと、いいんですか? 高価な物なのに」
千crした小鞄を借りる事に戸惑いを露にするヒトミ。しかし、ニーナは気軽に彼女を促した。
「いいじゃない、減るもんじゃなし。パーティを組んでる間は一蓮托生ってね。仲間のために道具を使うときは、惜しみなくってのがお約束なの。それは翻って自分のためになるんだから」
「一蓮托生、仲間のため……はい、がんばります。ご期待に応えてみせます!」
小さくガッツポーズをして宣誓する彼女とそれを煽る人物を横目に、アキラは周囲への警戒を忘れない。樹々が所狭しと肩を並べるこの森は、視界が数メートルと効かない。動物の臭いを嗅ぎ分けるような事もできないので、頼りになるのは聴覚くらいだった。
そのかいあってか、自分達以外が出した音を聞き逃すまいと澄ませていた耳に、断続的な音が届いた。
唇に指をあてるジェスチャーで二人を黙らせると、音のする方向を指差す。
音は激しさを増すが、近付いてくる気配はない。
二人もその音に気付いて、それぞれ戦闘態勢を整えた。
遠くで響く戦闘音目指して、三人は森を進む。
その先に、狭いながらも開けた空間があった。
今朝の騒がしい大剣の男が多勢の狼相手に、木の根元にうずくまる少女をかばって相対している。初期装備の少女の体に刻まれたいくつもの傷と立つ余裕もなさそうな様子を見るに、どれほど消耗しているかを察するのは容易だった。
「俺が相手だっていってんだろ犬っころぉ!」
立ち塞がる彼を無視して少女に襲いかかろうとした狼に、男は足下の石を蹴り飛ばして妨害した。何度も使える手ではない。非常に危うい戦況だった。
アキラが短く問う。
「手出しは?」
「願ったり!」
男は鋭く叫びながら、飛びかかってきた狼を切り払う。
その大降りの隙をつくように続けて飛びかかろうとした狼に、ヒトミの投げた拳大の小石が命中した。怯んだ胴体に、アキラの放った突きが深く刺さる。
飛び退いた狼はこの僅かな攻防の間に大きく体力を削られたようだ。他の個体の後ろへとさがる。
さらに少女を守れる位置にニーナが移動し、狼達を牽制する。
見えている狼だけで十匹。茂みの奥にいる個体も含めれば倍以上はいるだろう。
油断はできないが、少女の体力は危険域だ。三人に周囲の警戒を任せ、アキラは回復魔法を使う事にした。
「動くなよ」
少女に翳した両手から柔らかな光が放たれ、少女の体を包み込む。徐々に、しかし自然治癒と比較すれば遥かな高速で、血が止まり、傷が塞がる。青かった顔色も、幾分、健康的な色へと変わった。
万全の状態とは言いがたいが、危険域は脱しただろうと判断する。なにより、これ以上回復魔法を使うのは難しかった。
アキラが回復魔法を使おうとしたときから急に、狼達の攻勢が激しくなったからだ。近接戦闘能力の低いヒトミが既に体勢を崩している。
「すぐ終わらせる」
少女の頭にぽんっと手をのせてそう囁くと、アキラはヒトミの下へ駆けつけた。
彼女に伸し掛かろうとしている個体を棒で殴り、威力が死んだところで逆回転、回り込もうとしていた個体を薙ぎ払う。三匹目が接近するまでに棒を短く持ち直し、下からの振り上げで顎を打ち据えると、棒の両端を交互に使った左右からの殴打で一気に攻勢に出る。溜まらず後退する狼を追わず、地面に倒れていたヒトミを助け起こす。
「反撃開始だ」
突出したアキラをヒトミが投石で援護し、狼達を一掃するまでそれほど時間はかからなかった。
茂みの奥に隠れていた個体のうち半数ほどは逃げ出したようだが、多くの仲間を失った狼の群れの脅威度は、群れという武器を失った時点でかなり低くなるはずだ。
それよりも、倒した狼の素材の分配について相談する必要があるとアキラは考え、地面に大の字になって寝転がっている男へと歩み寄る。
「戦闘報酬は参加者全員で五等分で構わないか?」
「あー、俺やそっちの嬢ちゃんはほとんど活躍してないんだが、いいのか」
起き上がるのも辛いのか寝転がったままに応対する男は、自身の貢献と報酬の釣り合いを気にかけているようだ。
「モンスターをおびき寄せる役も、味方を守る役も、仲間が到着するまで時間を稼ぐ役も重要だろう。何も殲滅力だけが貢献度というわけじゃない。急造パーティにしては上場の連携だったという事にして処理するなら、その意味では平等だ」
男がどれほど回復薬などを消費したかなど知らないし、少女の装備の修復や更新にどれだけ費用がかかるか分からないが、今の戦闘によって発生した出費は安くないはずだ。
「何より、俺たちはうまそうな獲物がいたから便乗しただけだ。“横殴り”を責められないならそれで十分さ」
多くのMMORPGにおいて、獲物を横取りする行為を“横殴り”と呼び、倒すための様々な努力の成果だけを横取りする行為として有名だ。意図的にこれを行う者は『殺しても構わない』とされるほど、憎悪の対象になっている。
倒すための努力とは、モンスターを探す行為、戦いやすい場所に誘導する行為、場合によっては群れを分断する行為、足止めやダメージの蓄積などを指す。
悪質なものは、戦闘中のプレイヤーを不意打ちなどで殺した後、獲物を横取りするなどというパターンもあるため、不用意な誤解を避けるためにも戦闘中の他のグループには近づくな、というのが暗黙の了解である。
男はアキラがそういった事情をあえて無視して戦闘に介入した事を理解したが、それを指摘する事はなかった。
「そうかい、まぁ異論はねぇから自由にとっていってくれ」
男の言質を取ったアキラは二人の女性に周囲の警戒を任せ、狼を解体して毛皮と牙と肉を回収する。リアルで経験した事があるのは魚の解体くらいだが、何体か捌くうちに効率的な解体を身に付け、残りの解体作業は順調に終えた。狼の血が両手から滴っているが、誰かがやらなければならない事だと鼠や蝙蝠を解体していたときに割り切っている。
うっかり全ての狼を解体してしまったので、男と少女の取り分を二人に提供した後、あらためて少女に回復魔法を使った。
「ありが、とう」
お礼を述べるタイミングを見失っていた少女は、アキラが十分に回復した事を確認してきたときに、ようやく初めて口を開いた。
アキラはそれを簡単に受け流して、全員を集める。
「俺たちは到着したばかりだから、まだ探索を続ける。それは構わないな?」
ヒトミとニーナに行動指針を確認してから、残る二人へ訪ねる。
「さっきの狼がどこからきたのかは知らんが、森の入り口周辺なら、昨夜ギルドで集会をしていた冒険者達の影響か、魔物は少ないようだ。現に、俺たちは遭遇しなかった」
「おう、俺もそう思うぞ」
うんうんと頷く両手剣の男。同じようにしてに同意を示す皆へ、今後の行動指針について提案する。
「つまり、魔物との戦闘を望むなら奥へ、そうでないなら引き返すべきだな。……戦闘を望むなら奥の魔物はより強力な個体だろう。あまり孤立する事は勧められない。進むならここであったのも何かの縁だ、手を貸そう」
薬草さえ手に入るなら、モンスターとの戦闘はどちらでも構わないというのがアキラの考えだ。可能であれば、昨夜の冒険者達から『何をしてどう成長したのか』という情報を引き出してから自身をどう鍛えるか考えたいとも思っている。
対して、両手剣の男はとにかく経験を積んで強くなりたいのだろう。
「俺は奥に行って戦闘経験を積みてぇ。だが、こんなところに嬢ちゃん一人ほっぽり出すのは男が廃るぜ」
「退く事を望むなら、入口まで引き返す間の護衛くらいはするさ」
四人の視線を受けて、少女は俯いてしまう。
「装備を整えるために街へ戻るのも良し、強くなるために一緒に来るも良し。好きな方を選べばいい。誰もその選択を否定しやしない」
他人に迷惑をかけてしまう事への躊躇ならば捨ててしまえと。少なくとも今この瞬間、周りの四人は敵ではないと。
「悩むか、まぁ急ぐ選択でもないな。休憩にしよう。ヒトミ、ニーナ。十分交代で一人が調合、残り二人で警戒。三十分後に出発しよう」
なおも答えを窮する少女に、回答の猶予時間を設ける。
警戒とは言うが、これまで魔物と遭遇しなかったので半ば休憩のようなものだ。気を抜く事はできないが、体を休めるくらいならばできる。先の戦闘で消耗していた二人から、反対意見が出る事はなかった。
一番最初に調合役となったのは、『初心者用調合セット』をアイテムストレージに仕舞っていたニーナだ。彼女はすり鉢で葉や木の実をすり潰しながら、少女に積極的に話しかけていた。
アキラには団体行動中とはいえ、休憩時間の個人の交流にどうこう言うつもりなどなかったし、隠密行動中でもなければたとえ戦闘中でも私語に口を挟むつもりなどないので、何やら盛り上がっている彼女達に関与するつもりは微塵もなかった。
しかし、トラブルは相手の方からやってくる。
十分が経過しヒトミとニーナが交代すると、少し離れた位置で警戒に当たっていたアキラのところまでニーナがやってきた。
「ちょっとあの子と話をしたんだけどさ、なんで初期装備のままこんなところまできちゃったのか、話してくれたのよ」
間違いなく厄介ごとの類いだと、彼女の切り出し方からアキラは察してしまった。『厄介ごとはごめんだ』とあしらうには、彼女の表情は真剣すぎる。
「それで?」
あきらは半ば観念したように、続きを促した。
「うん。彼女も騙しとられたんだって、所持金全部」
アキラが知るだけでも三人が、所持金全てを騙しとられたという事だ。単体の事件ならば、自己責任と切り捨てるのは容易い。
「犯人は、多分私たちが騙しとられたのと同じ相手。」
攻撃力補正+10、攻撃制度+3という初期装備とは比べ物にならない刀などの装備品をいくつもを見せられ、安く手に入る店を知っていると話を振ってきたという。店の情報を入手するのには相当苦労したので、教える事はできないが、いくつか装備を勝ってきてやっても良い。代わりに、手間賃として価格の一割を払ってもらう。装備を買うための資金が必要なので、先払いで。
怪しさ満点の話だが、ゲーム開始直後の右も左も分からない状態で、言葉巧みにそそのかされ、騙されたという。どんな装備が欲しいかと入念に確認してくる様は、信頼できるような気がしてしまったのだ、と彼女は説明した。
「そんなのに騙されるなよ……」
アキラは肩を落としてそういうが、その心うちが理解できないわけではない。ゲームと認識しているとはいえ、見ず知らず、それも自分たちの常識が通じない土地で、自分たちの事情を知っているであろう存在から手を差し伸べられれば、信じたくもなるだろう。その心は思考に小さくない影響を与えるはずだ。冷静な判断ができなくなるほどに。それほどにまで、『リアル』な環境なのだ。ここは。
ニーナはそうなんだけどね、と肩をすくめる。
「他人事に思えないっていうか、他人事じゃないというか。昨日は我が身だったわけだし、助けてあげたいわけよ。だめかね?」
「それは君の自由意志だろう。救いの手を差し伸べるなら、相応の責任を背負う覚悟が必要だ。俺にそんなモノはない」
アキラは同情では動かないと告げる。
「ただ、検証の試行回数は多い方が正確なデータが取れる。比検体は多くて困らない」
その発言に対してニーナが何かを言うより早く、話題のを打ち切る言葉を口にした。
「選択肢は既に提示した。後は彼女次第だ。周囲警戒に戻るぞ」
ここは任せたと立ち去る背に、ニーナは笑顔で悪態をつく。
「素直じゃないね」
それが彼の耳に届いたかは、本人以外知る者はいなかった。
◆
薬草や木の実は、ただ『初心者用調合セット』のすり鉢で粉末にするだけでは、多少吸収効率を増して僅かに効果が大きくなるだけだった。
そこからさらに同様の効果を持つ粉末と混ぜ合わせたり、振動を利用して篩にかけてみたりといろいろ試しているうちに、狼の骨を砕いた粉末と掛け合わせる事で効果が僅かながら向上する事が分かった。
とはいえ、一度に服用できる量でせいぜいHPを10回復するのがやっとでは、到底成功とは言えないだろう。
いつの間にかああでもないこうでもないと意見を交換していた五人は、街で簡単なレシピを入手して参考にしよう、という結論に至って道具を片付ける。
◆
宣言通り、休憩開始から三十分後。
アキラは再び招集をかける。
「答えを聞こうか」
その短い問いかけに、少女は力一杯答えを口する。
「連れて行ってください!」
彼女の後ろには、なぜかヒトミとニーナが応援するようにして立っていた。
アキラは頷く事で、その意思を受け止める。
「よし。モンスターと遭遇したら、隙を見つけたら棒で殴れ。無理に近づかなくていい。危険を感じたら誰かの後ろに隠れても良い。近づくのが怖いなら石を投げるだけでも良い。無謀な立ち回りで危険な状況に陥れば、周りの仲間まで危険にさらす事になる。それだけは注意しろ」
彼女の答えを確信していたような態度で、アキラは今後の立ち回りについて指摘する。なにか言いにくそうに視線をそらす彼女の頭越しに、ヒトミへ視線を投げた。
「ヒトミさん、君は投石で戦うから棒は当分不要だろう。石の方も十分以上に持っているはずだ。必要としてる奴がいたら貸してやってくれ」
彼女が頷くのを確認して、全員を改めて一瞥する。
「なぜか俺が取り仕切っているが、疑問や反対意見なんかがあったら遠慮なく言ってくれ。」
誰も何も言わないのを確認し、続ける。
「とりあえず、作戦会議をしたい。各々のステータスを含めて自己紹介をしようか。言いたくない情報は隠してくれて構わない」
▼内容
・装備更新
・初心者用調合セット入手
・薬草採取クエストの準備開始
・調合実験(失敗)
・新メンバー加入?
▼覚え書き
・森のモンスターは大部分が大規模冒険者部隊に掃討されている