一発目
「ねぇ、雀。≪鴉の嘴≫って知ってる?」
「知ってますよ。」
「なーんだ。知ってるならつまらないな。」
「いきなりどうしたんですか?」
「だってさ。人間って愚かだなぁって思ってね?」
「…。」
「まるで一つの籠に閉じ込められた小鳥のようじゃない。」
「そうですね。」
「なんだよー。反応悪いなぁー。」
「僕の問いには答えてもらってないですけど?」
「わーん。雀の意地悪ー。」
「… それがどうしたんです。」
「もう。冗談なのに。なんとなくね。思ったの。狭い籠に閉じ込められた小鳥達は自分達が滅びることさえ解らずにお互いに自分の嘴で相手の目玉を突きあってさ。結局皆死んじゃうんだよね。それってさ。人間みたいじゃない。」
「そういう風にも見えますね。」
「鴉は自分達の嘴で突きあったら滅びることを知ってるから決して同族同士で相手の目玉を突きあったりしないんだよね。」
「はい。」
「人間は鴉にも劣るんだなぁ。って思ったの。」
いつになったら僕らは鴉になれるんだろうね?
と笑いながら言った自分の上官に僕はなんて答えれば良かったのか。
それとも、この終わりのない戦争の世界を恨めば良かったのか。
僕には分からなかった。