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観測者~燕~  作者: 香醋
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《人の消えた世界》

どうも、香醋です。本当はもっと早く投稿したかったけど、データが消えてしまって書き直す羽目に。というわけで1話です。次回はもっと先になりそう

時空の波にさらわれて、小さな小舟はゆらゆらと。先の見えない時空のなかを、小さな小舟はゆらゆら揺れて、漕いでいる。

目的地は決めていない、方角も決めてない。

ただ流れる波に身を任せて、小さな小舟はゆらゆら揺れて、漕いでいる。


“人”という名の外敵を許すな。人のなかに潜む欲望という悪を許すな。

守られよ、我らの誇りを

守られよ、我らの意思を

そして、傲慢で強欲な人間に裁きを




~青く広がる草原~


「ん、……」

小さく髪を靡かせるようなそよ風が、静かに吹いていた。その頬に掠めるような冷たいそよ風が、青い草原の上でうたた寝をしていた少女を優しく起こす。

そよ風に起こされた、少しクセっ毛のある深紅の赤い髪に、緋色の瞳をした、茶色ののマントを羽織った少女は、ゆっくりと体を起こし、小さく欠伸をする。その後、ゆっくりと立ち上がる。


「うわぁ、凄いな。やっぱり世界はいろいろあるんだね」


辺りを見渡して少女は、まるで欲しいオモチャをじっと見つめる子供のように目をキラキラさせる。すると少女は、羽織っていたマントの下に着ていた服の胸ポケットから、メモ帳とペンらしきものを取り出す。


「空気は良好。有害物質の濃度は0.01%。……ここだけだから、もう少し移動して別の場所も調べる必要があるかな」


そう小さく呟きながらメモ帳に何かを書いてゆく。数分メモ帳に何かを書いていき、1ページが埋まったところで少女はピタリとペンを止める。

すると少女は、まるで、誰かと話しているような素振りで口を開く。


「……そっか。その点は追々調べるからいいとして、次はどうすればいいか」


そう言って少女は考え込むと、また誰かと話しているような素振りで口を開いた。


「はいはい、分かってるよ。じゃ、観測者・燕。行って参ります」


そう言って深紅の髪色の少女--燕は、青く広がる草原を後に歩き出した。



数時間ほど歩いていると、青い草原が途切れ、半分腐敗した廃墟や建物が見えてくる。草木はそこから線を張っているかのように生えてはおらず、コケなどが殆どだった。


「……ひどい有り様だな。戦争の直後かな」


しばらくじっと見ていた燕は、服の胸ポケットからメモ帳とペンを取り出して、その光景を記録していくしていく。


廃墟の中は酷く、殆どは瓦礫に阻まれて通れない。そんなことも燕は動じもせずその光景を記録していく。

転々と廃墟を回って記録していると、燕はあるものを見た。


「……骨?」


燕の足元に、焼け跡が所々残った、腕の形をした骨が落ちていた。見ただけで人の骨だと燕は理解し、じっと見ていた。


「……」


燕は無言で骨になった腕を見て、--燕はメモ帳に記していった。

そして、その腕を記録し終わると、草原のところまで戻っていき、その腕を土に埋める。


「さて、……」


腕を埋め終わり、ゆっくりと立ち上がると、じっと前を見つめ、口を開く。


「誰かな?さっきから見てるのは」


警戒心を強め、じっと前を見る燕。すると、その答えに反応するかのように足音が聞こえ、此方に向かってくる。その向かってくる誰かを、いや、何かを見て燕は少し驚いた。茶色い毛に、少し大きな角の生えた、四足歩行の--鹿が、じっとこちらを見つめていた。

次回予告

突如目の前に現れた謎の鹿。彼の目的とは……?


次回、観測者~燕~ 第2話:人の消えた世界、中編

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