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Episode1-(16)

短いです、すいません。

『《AFO》のサーバーを乗っ取りました。皆さんは、僕が操作するまで現実の世界には戻れません』

 何処からか声が聞こえてきた。

 え? それってどういう事……?

 つい先程、このゲームの世界に入ってきたばかりの私はいきなりこんな言葉を聞かされて、唖然としていた。ゲームの事は良く分からなかったけれど、これはイベントというものなのかな? と、漠然と考えていた私は特に何も感じなかった。

 他のプレイヤー達も私と同じように考えたのか、突如比響いた声に驚きはしたものの、その言葉自体をあまり深くは受け止めていなかった。

 そもそも、ゲームの世界から戻れないだなんてありえない。そんな事が出来るのなら、このゲームが一般に発売されるわけが無い。

「はぁ……どう思う、りぃ?」

 私は隣に立っている、《りぃ》に話しかける。りぃは、ここにログインしてすぐに友達になった子だ。

 りぃも、私と同じようなものでゲーム好きな弟に無理矢理買わされたそうだ。

 綺麗な碧眼にショートカットの黒髪をしている、綺麗というよりは可愛いという表現が似合う子だ。私も人の事はいえないけど、かなり小柄だ。他のプレイヤーと比べるとまるで、大人と子供である。

 勿論、このゲームでは自分の姿が勝手に決まってしまうので、りぃが自分から進んでこの容姿にしたわけじゃないし、現実のりぃがこの姿とも限らない。

 それは私にも当てはまる。

 最初に《ケットシー》という種族を選んだおかげで、私の頭には猫耳が生えていた。自分でこの耳を操作したりは出来ないようで、私の意志とは関係無くしょっちゅう、ぴこぴことせわしなく動いている。背は、りぃと比べれば大きく見えるが全体的に見れば低い部類に入るだろう。

 そして、顔で言えばりぃとは正反対と言える。少しきつめのつり目に薄い唇は、可愛いというよりも、綺麗と言ったほうが正しい。

 まぁ、総じて二人とも美形なわけである。

「私も良く分からないよ。こういうのは弟が詳しいんだけどねぇー。でも、今は居ないし。あっ、でも皆別に普通だから、そういうものなんじゃない?」

 りぃが良く分からないという風に首を傾げる。その仕草はなんとも似合っていて、まるで小動物を思わせるようだった。

 はぁ……。現実の私もこれぐらい可愛かったらけいにぃに好きになって貰えるのになぁ。

 そんな事を考えながら周りの動きに合わせる。

 アナウンスは、言葉を全く信じていない私達に構うことなく話を進めて行った。

 でも、やはりその言葉に現実味を持つことは出来なかった。

 ゲームをしようと言い出すまではまだ良かったのだが、時々出てくる《死》という単語には時々顔をしかめるしかなかった。

 いくらゲームのイベントだとしても、簡単に人を殺すとかそういった表現はあまり好きでは無かった私は、特に注意して話を聞くわけでも無く、りぃと雑談をしていた。

「そういえば、りぃには好きな人っている?」

 私が唐突にそう質問をする。

「うーん、いないかなぁ。ふぅは?」

 逆に質問を返される。ちなみに、ふぅというのは私のこのゲームの中での名前だ。本名を少しだけ変えただけの、何の捻りも無い。

「私はねー、いるよ」

「いるの!? どんな人?」

「んー。一言で言えば優しい……かな? まるで私を本当の妹みたいに扱ってくれてね、とっても良い人なんだよ?」

 そういうと、私はけいにぃの事を頭に思い浮かべる。優しいけいにぃ。でもその優しさは私を妹としてしか、見てくれていない。

 やっぱり、私を一人の女の子として見てくれる日は遠いのかな?

「へぇ、ていう事は年上? もう告白したの?」

「年上だねぇ。告白はまだだよー。その人は私に優しくしてくれるけど、何となく異性として扱ってくれてるって感じじゃないんだよねぇ」

「じゃぁ、頑張って振り向かせなきゃ!」

「だねぇ~」

 言うのは簡単だが、実行するには難しすぎる目標を私はうんざりとした気持ちで、反芻させる。振り向かせる。やっぱり、もうちょっと大人しくなったほうがいいのかな?

 今までは、興味を引こうと思って積極的になってたけど、ここは一歩引いて大人しくしてみればそのギャップで、けいにぃが更に私に興味を持ってくれる可能性もある。

 そうと考えれば実戦しかなかった。

「よぅし、じゃぁ、早速振り向かせるために――」

 ログアウトしようと言おうとした所で、言葉が止まる。

「そういえば、何かさっきから周りが騒いでるね」

「ログアウトが出来ないんだっけ? 早く解消してくれないと困るよね」

 そして、そうやって私達がお互いに相談していると――

「――――うわああああぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 突如、悲鳴が上がった。

「きゃっ!?」

「何、何っ!?」

 突如上がった悲鳴に、私達が騒然としていると、周りの人たちが皆その悲鳴が誰の物なのかを確認するために、ぞろぞろと移動し始めた。

 私達はお互いに顔を見合わせるとアイコンタクトをして、その悲鳴が上がった方向へと向かっていった。



 

どうでしたでしょうか?


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