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Episode1-(15)

こんにちは。藁氏です。短いですが、勘弁してくださいorz


春休みなので毎日更新出来そうです・w・

 ――数時間後。

 既に、《AFO》内部の混乱は頂点に達していた。先程のアナウンスの言葉の時点で、俺と同じようにこの事実を受け止めた、周りに居るプレイヤーの何人かは、今後について悲観したのであろうか、項垂れていたり、一目散にフィールドから街に戻っていった。

 そして、現在。ほとんどのプレイヤーはこの現実を受け止めつつあった。

 まず、外部からの連絡が何も無い事。この事実が非常に痛い。現代の犯罪はほとんどが早期解決されている。しかも、こういった犯罪ならば、侵入者の手がかりを掻き集めて辿り着く事ぐらいは、すぐに出来るはずなのだ。

 若しくは、運営側がもう一度サーバーから操作してくれれば解消されるはずだ。

 しかし、そういった事は一切無い。

 それが出来ないという事は、運営側も手が出せない状況になっているということ。

 という事は、犯人の特定が出来ていないという事だ。《AFO》で犯人が紛れ込んでいるように、現実でも一般人に溶け込んでいる。こんな風に、人の命を何とも思わないでただ暇つぶしというだけで、人を植物人間にするような奴が。

 あの世界でのうのうと生きている。

 だが、いくら俺が憎もうといくら俺が、現実世界に戻る方法を模索しようと、俺の。いや、俺達の命は全て犯人が握っているのだ。

 その事実にやるせない気持ちになる。無力な自分が嫌になる。

 俺達に出来る事は、この世界で犯人の欲望を満たすこと。

 つまりは、俺達の誰かが犯人を見つけ出す事だった。

 さっきも言ったのだが、大多数のプレイヤーは現実を受け止めている。まだ混乱はしているものの、徐々に事態を呑み込もうとしていた。一時間ほど前は、ほとんど錯乱状態だったのが今は大分落ち着いてきているとも言える。

 ただ、先程から周囲を騒がせているのは、まだこの現実を受け止め切れていない極少数の人間達だった。

 いや、この共有フィールドだけだから少なく見えるのかもしれない。他のフィールドに点在しているプレイヤーを集めれば恐らく、相当な数になるのだろう。

「おい! 冗談じゃねぇぞ!! 早く出しやがれ! 警察は何やってんだよ!?」

「てめぇ、今俺に近づいたよな? 殺そうとしたのか!?」

 未だに騒ぎ立てる一部のプレイヤー。周りの人間が近づいただけで怒鳴りだすのもいれば、未だに外部からの救援が来る事を信じている者もいる。

 そして、他のプレイヤー達はそういったプレイヤーからは距離を取っていた。

「慶太、どうするよ。これから」

「どうするか……。とりあえず分かったのは、アナウンスの言っていた事が少なからず事実って事だけだ。あれからは、アナウンスからの情報提供も無いし恐らくはもう、俺達の中の誰かに紛れ込んでいるんだろう。なら、やる事は一つしか無い。見つけ出すんだ。何としてでも……ただ……」

「ただ……何だ?」

 俺は、八頭の装備から覗いている肌の色を見て、目を逸らす。これは、覆しようも無い事実だった。俺が、この悪夢のような現実を受け止めたように、この事実を受け止めなければいけないし、八頭には受け止めてもらわなければならない。

「最初に出られるのは、犯人を見つけ出したプレイヤーと同じ種族だけだ」

「あぁ、知ってるさ。それがどうした?」

「…………」

 正直に言えば辛かった。馬鹿で、周りの人の気持ちを考える事が出来ない奴だったけど、俺はそんな八頭を嫌っていなかったし、胸を張って親友だと言える。

 だからこそ、辛かった。

「何だよ、急にそんな深刻そうな顔して。探せばいいじゃねぇか! 俺達で――」

「出来ないんだよ」

 八頭の声を遮る。

 八頭は何を言っているんだという風に首を傾げる。俺はそんな八頭に、分かるように、ゆっくりと吐き出すようにして言葉を発した。

「出来ないんだ。俺達が、一緒にこのゲームを抜け出す事は出来ない。抜け出せるのは一種族だけだ。俺は《レーシー》。そして、お前は《カリカンジャロス》なんだから……」

 そこでやっと、八頭は理解したのか。顔を歪める。

「……じゃぁ、俺達は」

「大丈夫だ。最初のゲームでは俺達は敵同士だが、先にどちらかが出ればいいだけの話だ。いってただろ? もう一度遊んでもらうって。つまり、俺達には何回かのチャンスがあるんだ。まぁ、それまでに死ななければの話だが」

「……そうか」

 悲痛そうに俯く八頭。俺も、泣きたかった。たかが、ゲームなのに何故生死をかけなきゃいけないんだ? 何故、友達と敵対しなければいけないんだ?

 行き場の無い悲しみを無理矢理、圧縮させて無理に笑顔を作る。

「八頭! 俺はお前が生き残るって信じてる。だからさ……」

「おう! 次にあったときは、俺達がお互いに生きてここから出るときだ!」

 俺が言おうとしている事を、読み取ったかのように言う八頭。

 そこには、先程までの悲壮な表情は無く、無限に晴れ渡る爽快な笑顔が満ちていた。




 ――そうだ。俺達は絶対に死なない。どんな事があっても、生きてここから抜け出してみせる。


 心の中でそう誓った俺は、八頭に軽く頷くと、背を向けた。

「それじゃぁな」

「おう! またな!」

 それはまるで、次の日に必ず会える事を信じて疑わない、俺達が今まで日常的に交わしてきた挨拶のそれだった――。


どうでしたでしょうか?


久しぶりの後書きコーナーやりますが、今回はしんみりです。



作者「久しぶりに始まりました。Keiちゃんと話そうのコーナーです」


慶太「今そんな気分じゃないんだけど?」


八頭「いつもなら、ノリノリでいけるんだけど今はちょっと……」


慶太「まぁ、そういう訳だ。ごめんな作者。(空気嫁よクズ作者)」


八頭「あぁ、それじゃ俺は帰るわ(大変な時に呼びやがって作者ってもしかして馬鹿じゃねぇの?)」


作者「あ……ちょっと……」


作者「おーい」


「……」


作者「グスングスン」


作者「そういえば、不亜ちゃんは何処に言ったんだろう……?」

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