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「意味が分かると怖い話」集

みんな、おなじ

作者: osanpoe
掲載日:2026/03/29



「なあ、最近どうだ?」

「そうだね……僕はもうすぐこの村から出て、もっと賑やかな場所へ行くことになりそうなんだ」

「本当か? それは寂しくなるな」

「うん……でも確かに、君はずっとここから離れられないにせよ、ちゃんと将来を約束されている恵まれた身分じゃないか」

「幸か不幸か、ね。……聞くところによると、お前も頑張り次第では、俺みたいな身分になれる可能性もある、そうじゃないか」

「そのためにはもっともっと今後の努力が不可欠でね。皆にチヤホヤされる人気者になって、沢山子供をつくって幸せな家庭を築く……それが僕の、今いちばんの夢だなぁ」

「現実はそう甘くないぜ。まあ、精々頑張れよ」

「ああ。これでサヨナラだね」



 そして本当に、これがあいつとの「サヨナラ」になった。







 それから数年後――


「……あいつ、夢半ばにして死んだのか」


 俺は、仕事の合間に横目で眺めていたTVニュースを見て、呟いた。


 成程、確かにあいつは訃報が報道されるくらいの人気者にはなれた。

 だがそれで、本当に幸せな生涯だったと言えるのだろうか?


「全く……俺自身が生きるためとはいえ、全然楽しくねえ仕事だし、ちっとも気持ちよくならねェ……」


 あいつは、今の俺みたいな生活を夢見ていたようだが、それが本当に幸せな生活だとは限らない。

 「幸せな家庭」だって? 笑わせてくれるぜ。そんなものがこの世界のどこにある?


 それを、俺自身は骨身に染みてよくわかっているつもりだ。


「あいつも俺も、結局は同じ境遇に生まれながらにしてとらわれている、にすぎないんだよ……」


 こんな世界に生まれてきて、本当に俺は悔いている。

 それを、俺はこれから生まれてくる連中に、大声で叫んでやりたい気分でいっぱいになった。


 そう思いながらも、俺はただ黙々と身体――腰を動かし続けた。


 俺以上に不幸な運命を背負って生まれてくるであろう、体は残しても一切名は残せない子供達のために……。





(本文終わり。解説は下↓)
















 ※解説





 「俺」は食用馬の種馬で、「僕=あいつ」はサラブレットの若馬。

 牧場が隣同士で、それで顔見知りになった関係。


 「僕=あいつ」はその後競馬界のスターホースにはなれたが、どうやら競争中の事故で予後不良、になったらしい。

 そして「俺」は()()()の種馬。従って、その今後続々と生まれてくる子供達の運命は……?



                           〈END〉



……話に聞いた悲劇の名馬テンポイント(1973-78)の逸話が元ネタです。

だからキーワードの中に「10点」が……(分かりにくすぎるヒントだなー!)。



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