解説されました
かなり前に書いたものですが、
データが出て来たので、
手直しして投稿していきます。
私は駅でたけるが来るのを待っている。今日は約束の美術館デートの日。
腕時計を覗いていると、後ろから、
「麻子、おはよう」
の声に振り向くとたけるの笑顔があった。
笑顔で答えた私に、たけるはこう言った。
「さぁ、行くか」
んっ!?行くかって……。
私は絶対にたけるが美術館行きを渋ると思っていた。
私がそう思っても仕方がない、そのくらいたけるは本当にイヤがっていた。
たけるどうしたんだろう?全然普通でなんか変だなぁ?
それが今日初めの私の感想だった。
歩き出したたけるに、ねぇ、たける?と呼びかけると、んっ?と首だけひねって私を確認してくれる。
「今度の祝日にね、美奈ちゃんたちが遊園地に行こうって」
「あぁ、行っておいでよ」
って、そうじゃなくて……。
「たけるも行くんだよ?」
「なんで?」
なんでって….そんな言い方……。
「美奈ちゃんたちも彼氏連れてくるの、だから…….」
私の声はどんどん小さくなっていく。
やっぱりたける今日はいつもと違う。
そんなにイヤなのかな?美術館行くの…..。
私、ムリにワガママ通しちゃったからかな……。
私の気持ちと一緒に顔も俯きだした時に、たけるが、
「あぁ、うん分かった。いいよ」
と笑顔をくれる。
その笑顔を見て、私は心の中で笑顔はいつものたけるだ、そんな風に呟いてホッとした自分を感じていた。
電車に揺られて、美術館までの道のりをのんびり歩いて、ついた先にはほどほどの人が出入りをしていた。
「たける、早く入ろう」
私はたけるの手を引いて、少しだけ早歩きになる。
のんびり屋の私には珍しいことだ。そのくらい楽しみにしていたということでもある。
きっと渋々ついて来てるんだろうな、私がそう思ってたけるを振りかえると、
えっ!?
意外に嬉しそう!?
あんなにイヤがってたのになんでだろう!?
私は疑問を抱えたまま、美術館へと入館した。
建物の中はひんやりと涼しく、心地良いだけの静寂とざわめきが交差している。
入口に近いところから、ぼんやりと絵を眺め始めた私の横で、思いがけない出来事が起こった。
えぇぇぇぇ!?!?
なんでぇ?
どういうわけか、たけるが壁に掛かっている絵画の解説を始めたのだ。
どこの国の誰の作品で、何年頃どんな技法で書かれた物なのか、そんな事を、だ。
私は思いっきり首を傾げた。
たける、変。
だって絵なんて分からないって言ってたのに……。
ホントはすごく詳しいのかな?
でも、それなら何で嘘なんか?
変といえば、朝からいつもと違うカンジしてなかった?
何がどう違うのかと聞かれれば、分からないとしか答えられない私なのだが、だけど何かが違う。
もちろん、姿も声も何もかもたけるには違いないのだけれど……..。
私は何度も自分の中で質問を繰り返す、当然答えなど出るわけもない。
目の前にはたけるがいる。
ジィィィィィィィィィィッとたけるの顔を見ていると、視線に気がついたたけるが私を見下ろして言う。
「何見てんの?見るのはオレじゃなくて、絵だろう?」
「あ、うん」
私は頷いて、慌てて視線を絵に戻したが、頭の中はグルグルと色々な小説的マンガ的思考が渦巻いていた。
私の視線は絵を見ながら、たけるをチラチラと盗み見ることも忘れないし、止められなかった。
たけるは隣で、オレって罪な男、なとど呟いている。
こんなところはいつものたけると変わらない、よね……?
やっと叶った美術館デートは、いつのまにか絵画鑑賞のハズがたけるの観察へと変わってしまっていた。
毎日更新予定です。
よろしくお願いします。




