気づかれてました
かなり前に書いたものですが、
データが出て来たので、
手直しして投稿していきます。
私がたけると付き合い始めて、3ヶ月が過ぎようとしている。
やっと最近になって、私とたけるの付き合いも公認になってきたとろこだ。
今は殆どないけれど、初めの頃はやはりすごかった。
何がってもろちんイヤガラセの類いだ。
たけるが校庭で『麻子に手を出したら容赦しない』と宣言したにも関わらず、たけるファンの子たちからは、数々のイヤガラセを受けた。
廊下で転ばされたのも数知れない。
その度に美奈たちがいつも庇って、助けてくれていた。
私はあの時ほど、友達のありがたみを感じたことはなかったし、心強く思ったこともなかった。
そんなイヤガラセのことなど、たけるには言えなかった。
言いたくなかった。
きっとホントに容赦しないように思えたからだ。
けれど、私の膝にアザが日に日に増えていくのを、たけるが気づかないはずがない。
ただ、私が何も言わないことの意味を、たけるは理解し尊重してくれていたのだ。
もちろん、それは表立ってのことで、水面下ではどんなやり取りがあったのかは、私の知るところではなかった。
それに私には、イヤガラセをしたくなる女の子の気持ちもわからなくはない。
美人でも何でもない私が人気者のたけると付き合っているのだから、おもしろくない気持ちは絶対あるに違いない。
それに、たけるにはいつも優しいたけるでいてほしい、という私の気持ちもある。
実際にたけるはとても優しい、たまにイジワルだけど……。
付き合って、改めて感じたことは、本当に何でも器用にこなしてしまう人だということ。
最近では私の勉強まで見てくれる、とても贅沢な家庭教師だ。
勉強を教えてくれる時のたけるはすっかり家庭教師(って変な日本語だけど)で、別人のようだ。
コンタクトは疲れるからと、メガネをかけていたりする。
メガネの顔もやっぱりカッコイイ、と私は思う。
たけど、すごいスパルタ(って今は死語かな?)で、厳しい。
いつの間にか私の成績も、驚くほど上がっていた。
もちろん感謝している。
「それじゃあ、今日はココまでな」
「はぁ。頭一杯だよ」
短い時間に集中して詰め込むから、いつも私の頭は飽和状態だ。
「麻子はいつも同じこと言うのな」
と笑う。
「だって……」
たけるは勉強が終わると優しいたけるになる。
私はこのギャップもなかなかイケてると思っている。
他の人が知らない、たけるの一面であることも知っている。
ちょっとした優越感なのだ。
そんなことを考えている私にたけるが、
「行きたいところある?」
突然、今までとは何の脈絡もない話題を振った。
たけるは、たまに今のように会話の向きを180゜転換させることがある。
「何?」
何にでもゆっくりの私は、急な展開についていけないことが、ままある。
「だから今度の日曜日。次の日、誕生日だろ?」
「あっ、覚えててくれたんだ」
そんな些細なことでも嬉しいと思える私。
「当たり前」
そう言い切るたける。
「行きたいところかぁ」
私は考えるフリをしているけれど、ホントは決まっているのだ。
今までに何度も行きたいと言っているのだが、たけるがすごく嫌がって連れていってくれない場所が1ヶ所だけある。
「どこでもいいよね?じゃあねぇ….」
そこまで言うと、たけるは私の言葉を遮った。
「待て、ちょっと待て。どこでもいいなんてヒトコトも言ってないぞ」
最近たけるの影響なのかな?
私は前よりも数段に自分の意見を主張できるようになっている。
しかも極たまに少しイジワルになる。
だからワガママを言ったりもする。
「私の誕生日だもんね、私の行きたいところでいいよね?じゃあね、美術館に行きたい」
たけるはイヤそうな顔を私に向けている。
「何で、そんなにイヤなわけ?さらりと何でもクリアする人が」
いつも私は不思議に思っていたのである。
私とは違って、たけるには苦手と言う言葉など無縁に思えるからだ。
「イヤなものはイヤなんだ。絵なんか全然理解できない」
そんな子供みたいな理由で……。
もぉ、普段すごく大人なのに、たまにかわいいんだから。
「でも、いいよね?」
もう一度聞いたら、頷いてくれた。
たけるは基本的に優しい。
だから私も頷いてくれると分かっていて、ワガママを通している感がある。
「ねぇ、あちゃ。来週の祝日予定とかある?」
お弁当を広げながら美奈が聞いてきた。
「んーん?別に今のところないけど?」
美奈は里佳、えりかと頷き合っている。
なんだろう?
「あのさ、遊びに行こうよ。彼氏連れて」
次に言葉を綴ったのは里佳だった。
「大勢で遊園地で騒ぐのって楽しそうでしょ?」
えりかが付け足す。
「楽しそうだけど、突然どうしたの?」
首を傾げる私に、
「なんかさ、ホラ、前にちゃんと彼氏紹介するって言ったのに、あちゃこの3ヶ月間大変だったでしょ?黒坂ファンに色々やられたりしてたから。あの人が私の彼氏だよって教えたけどみんなちょっと納得いってなくて」
「そうそう、だからここは一つ、あちゃの誕生日もあるしパァ~~~ッと楽しくグループ交際のノリで遊びにいっちゃおうか?って」
「話してたんだよ。だからうちらはO.K。あとはあちゃと黒坂しだいなワケ」
と、3人は代わる代わる私の顔を見て、微笑んでいる。
いつもみんなは私のことを気にしてくれている。
彼氏がどーのっていう説明もきっと本当なんだと思う、けどみんなは気づいていたのだ。
私が学校であまり楽しそうにしてないことを…….。
きっとだからだ…..。
私は心の中でありがとうを何度も呟いた。
「たぶん大丈夫だよ。私が行きたいって言えば来てくれると思う」
思ったことを素直に口にする私を横目に、みんなはやってられないわ、とか肩をすくめてお弁当を食べ始めている。
何?なんなの?
いまいちよく分かってない私は、3人の顔を見て、キョロキョロした。
「ねぇ、なんなの?ねぇ?」
しつこく尋ねる私に、
「分からないならいーの」
「そうそう、あちゃはそのままでいてね」
なとど、私に分かる説明は一つもなかった。
もぉ、いつもそうなんだから、いいよいいよ、お弁当食べちゃうから。
拗ねながら私は、いつもと変わらない昼休みを過ごしていた。
毎日更新予定です。
よろしくお願いします。




