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THREE  作者: トーヤ


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4/15

宣言されました

かなり前に書いたものですが、

データが出て来たので、

手直しして投稿していきます。

目を開けると目の前が白かった。

天井の白さだと気づくまでに、どのくらいの時間がかかっただろう。


あれ?私、寝てたんだっけ?

ここはどこ?

でもなんかすごくいい夢見てた気がする。


私は単純に、夢を見てたから自分は寝ていたんだと解釈した。

夢の内容を思い出して、ふふっと笑った。


「あっ、気がついた?」


突然掛けられた声に驚いて、とっさに声の主を探し何度も瞬きをしてしまった。

この場合、驚きが瞬きによって表現されたのだ。


これも夢?


私はとっさにそう思った、目の前にいたのはたけるだったからだ……。


「大丈夫?麻子(あさこ)ちゃん。オレと話してる途中で気絶するんだもんな。メチャメチャ驚いたけど、気がついてよかったよ」


って、じゃあ、もしかして…?

さっきのって夢じゃない、の…?


私は言葉もなく、なんのリアクションも取れず、ただたけるのことを不思議そうな顔で見ていた。


「何だかわかんない?」


と、イタズラな瞳で聞くたけるに、私は素直に頷いた。


それを見てたけるは私の好きな、しかも女の子なら誰でもホレてしまいそうな、右脳を一番刺激するような、これで落ちなきゃ女じゃない!!くらいの笑顔を見せて、


「オレと付き合おうよ」


と、反則的なセリフをくれた。

普通ではめったにお目にかかれないであろうウインクまで披露してくれた。


しかも私のために…。

私の胸は壊れそうなほど、激しく鳴っている。

たけるに聞こえてしまうのではないだろうかと、私が心配するくらい鳴っていた。


やっぱり夢じゃないみたい……?

それともこれも、夢…?


私にはその答えを出すことは出来なかった。


「私ね、夢だと思ったの」


目覚めたばかりの、夢と現実の区別のついていない頭で、私はいつになくスムーズに言葉を発していた。


「夢?」

「そう、夢。だって大好きな憧れの人が、それもみんなが憧れるような人が、私みたいな何の取り柄もない女の子のこと覚えてるなんて思いもしなかったし、ましてや付き合おうだなんて…都合のいい夢だと思ったの」


そう言ってから私は今、自分が恐ろしくとんでもないことを口にしたことに気がついた。


今、私、大…好き…とか言わなかった……!?


信じられなかった、たとえこれが夢だったとしても、だ。

思わず両手で口を塞いだ私を見て、たけるは嬉しそうに笑って、私の頭を右手でくしゃっとした。

たけるの手はすごく大きくて温かかった。

その温かさを感じて、私はこれが夢じゃないことを感じた。


「もう、大丈夫?帰れる?」


たけるの言葉に頷いた私は、その時初めてここが保健室であることに気がついた。

どれだけ余裕がなかったのかが、伺える。


歩き出したたけるの後について保健室を出たけれど、私はすでに倒れそうになっていた。


「あっあの、黒坂(くろさか)くん?」


たけるは振り向いて、たけるでいいよ、笑う。


「あの、私、もう大丈夫だから」


このまま2人で歩いていたら、またいつ倒れるかわからないし、これ以上みっともないところを見られたくない私は、たけるにそう告げた。


「だから何?」

「あの、だから…一人で帰れる、から……」


やっとの思いで言うと、たけるの顔が一気に不機嫌になる。


わっ、怒らせちゃった……どうしよう!?


いつもより更に弱気な私であった。


「麻子」


突然、だけど麻子ちゃんから麻子に変わったのが、分からないくらい自然に呼ばれた名前に思わず、はい、なんて返事をしてしまって、


「オレはすでに麻子の彼氏のつもりなんだけど!?だから一緒に帰るのは普通のことだろ」


と言う。


確かに、そうかも知れないけど…。


「あ、イヤ、でも…あの?」


どう言えばいいんだろう?


「イヤも、でももナシ」


言い切るたけるに、私の顔はどんどん下を向いていってしまう。


ど、どうしよう……。


「麻子は、オレと帰るのがイヤなワケ?」


あぁ、違う。そうじゃない、そうじゃないんだけど……。


情けないことに、私の身体と頭はこの急展開についていけてなかった。


私は、たけるにどう伝えれば分かってもらえるのか、分からなかった。

黙ってしまった私を見て、


「イヤならオレ一人で帰るよ?」


そう言われて私は、反射的に思いっきり首を振ってしまい、たけるの顔を笑顔に変えてしまった。


やっぱり笑った顔が一番好きだなぁ。


などと、私は今の状況とは関係ないことを、ぼんやりと考えていた。


「あ、あのね、私上手く言えないけど、たけるくんが隣にいるだけで倒れそうになるよ」


たけるはまた、私の頭をくしゃっとして微笑んで言った。


「帰ろう」


と、歩き出すたけるの後ろをやっとの思いで歩き出した私の足は、玄関を出るところで再び止まってしまった。


そこには、校庭にはたくさんの人がいる。

それこそたけるのファンの子達が、大勢いるのだから……。


一度止まってしまった私の足は、前に出ることを拒否している。

振り向いたたけるは、おいで、と私の手を掴み、歩き出した。


引っ張られるように動き出した私の足は、誰の足なんだろう…..。

私の意思とは無関係に動いている。


どうしよう!?

みんな見てる………。


あのたけるといるのは誰?そんな殺気にも似た視線に私は貫かれていた。


やっぱり釣り合ってないんだ、そんなことわかってたのに……。


私は張り詰めた空気に押しつぶされそうになっていた。

私の惰性で動いていた足が不意に止まった、イヤ、たけるが足を止めた。

たけるは一度、私の顔を見てから、信じられないことに大きな声で叫んだ。


「みんな、今日からオレ、この子と付き合うことにしたから、ヨロシク」


よっよろしくぅ~~~~!?ってナニ?


うそでしょ~~!?

そんな宣言しなくてもいいじゃないっ!!!


声にならない私の叫びだった。

気絶一歩手前の私は、いつ倒れてもおかしくない状況だ。

と言うよりも、今ココで倒れないのが不思議なくらいだ。

女の子の悲鳴に近いブーイングと男の子の冷やかしにめまいを感じている。

そんなざわめきを遮るようにたけるは、


「それから、麻子に何かしたヤツはオレへの挑戦と受け止める、その時は容赦しないから、そのつもりで」


迫力のある声と口調に、一瞬の静寂の後、爽やかに手を振り私を連れて颯爽と帰る姿は、たけるのたけるたる所以なのかもしれない……..。


「ごめんな、ああいう風に言わないと、絶対麻子ターゲットにされちゃうから」


校門を出たところでたけるは、そんな言葉をくれた。

たけるは自分がどんな存在かちゃんとわかっている。

自分の言動一つで、周りがどう反応するのかさえちゃんとわかっているのだ。

だから、全部私のためだと分かると、胸の中がほんわりと温かくなる。


「たけるくん、優しいんだね」


知ってたけど、改めてそう思う。


たけるの優しい瞳と笑顔を見て、私は思いきって口を開いた。


「実は、ひとつ聞きたいことがあるんだけど、聞いてもいい?」

「何?」


少し口ごもりながら私は、


「あ、のね。実は私さっきまでからかわれてるんだと思ってたの。でも今の校庭のこととかで、もしかして違うのかなって、本当のことなのかなって、そしたらどうして私なんだろうって思ったの。だってそうでしょ!?塀から下りられなかったり、気絶したり変なところばっかり見られてるのに…..」


うわぁ、言っててすごく恥ずかしい、しかも情けないし……。


私は好きな人に自分のダメなところばかりを披露していることになる。

私の気持ちとはうらはらに、たけるはなぜか楽しそうに、


「だから、塀に上って下りられないとこも、気絶しちゃうとこも」


そう言って笑う。


「変だよ、たけるくん」


私がポロッと言葉を落とすと、たけるはそうかなぁと呟いて続ける。


「だってアレってすごく麻子の“素”じゃない?きっと。これからもっと色んなこと分かってくると思うけど、とにかくオレたち、あ、イヤ、オレは麻子のことすごくかわいいと思ったから」


そんな言葉をくれる。

私にこんな私でいいのかなっと思わせてくれるセリフだ。


「じゃあ、オレからも質問な。何でオレが憧れの人なワケ?」


えっ!?

顔を上げた私の顔をイジワルそうに笑って見ているたけるを見つけた。


「………………..塀から下ろしてもらったから」


ボソッと言うと、たけるは目を点にして笑った。


「それだけかよ。麻子の方が変だよ」

「そんなことないもんっ」


私にしては珍しくちょっと強気の口調。


それだけなんて言われたくないよ。


「そんなことあるよ、だってオレがもしかしたらスゲェ嫌な奴で、麻子のことバカにしてただけかもしれないじゃん?」


そんな風に言う。でも、


「だって、あんなに爆笑する人に悪い人なんかいないっ」


あっ言いきっちゃった。


「麻子、おまえ幸せなヤツだなぁ」

「ほっといてよぉ、もう」


……あれ?


私はいつのまにかたけると普通に会話している自分に気がついた。


さっきまで、ホントに倒れそうだったんだよ?

えへへへっ何か嬉しい。

幸せをかみしめていた私に向かって、たけるは、


「何、一人で笑ってんだよ、気味悪りぃなぁ」


そんな……..ヒドイ……。


「たけるくん」


呼んでみる。


「なんだよ」

「たけーるくん」

「だから何だよ」

「へへ、呼んでみただけ」


たけるは一つため息をついて、私の頭をくしゃっとやった。

私にとってすごく幸せな一瞬だった。

たけるは私の頭に手を乗せたまま、


「麻子、明日ヒマ?じゃ、デートしよーゼ」

「………..うん」


なんか恋人同士みたい。


「じゃあ、明日9時に駅な?いい?」


コクンと頷く私を見てから、たけるは遅れんなよっと駅の階段を駆け上がって行った。

その後ろ姿を見送った私は、ぼんやりと明日何を着ていこうか考えていた。

毎日更新予定です。

よろしくお願いします。

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