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2.初めての対面

正式に結婚を決める前、二人は王宮の夜会で初めて顔を合わせた。



「ルシア・フォン・エーベルハルトです」



優雅にお辞儀をするルシアに、アレクシスは穏やかな笑みを返した。



「アレクシス・フォン・リューンハイムだ。お会いできて光栄です」



彼は礼儀正しく、どこか落ち着いた雰囲気を持っていた。


だが、その瞳の奥にはどこか冷たい影があった。




悪いところが見つからない。結婚相手としては申し分ない。



アレクシスもまた、ルシアを見て同じように考えていた。



(美しい女性だ。気が強そうだが、冷静で知的な印象がある)



アレクシスはこれまで、心から愛した女性を手放していたため、愛のない結婚を受け入れる覚悟をしていた。




王宮の夜会で初めて顔を合わせたルシアとアレクシス。


二人の間には、まだ愛も情熱も信頼もなかった。



だが、ただの政略結婚とは違う、何か特別なものが少しでも芽生えれば結婚生活も幸せが見えるような気がした。



「あなたは、なぜこの結婚を受け入れようと思ったのですか?」



ルシアが静かに問いかけると、アレクシスはワイングラスを指でなぞりながら答えた。



「貴族に生まれた以上、結婚は義務のようなものです。あなたも同じでしょう?」



「……ええ。」


ルシアは小さく息を吐いた。



「私も、家のための結婚を避けるつもりはありません。でも、それでも私は少しでも互いを理解し合える相手と結婚


したいと思っています。」



アレクシスはその言葉に微かに驚いた表情を見せた。



「互いを理解する……か。」



「ええ。結婚するなら、お互いのことを知る時間が必要です。」



ルシアの言葉に、アレクシスはしばらく考えるように沈黙した。



そして、少しの笑みを浮かべながら頷いた。



「あなたは面白い人ですね。……分かりました。では、結婚を決める前に、お互いを知る機会を設けましょう。」



こうして、二人は正式に婚約を結ぶ前に、お互いを知るための時間を持つことを決めたのだった。

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