第19話、やっぱそうなりますか。
……まぁ部屋の話は置いておいて。いやよくはないけど。
結局、私が今一番気になるのは仕事のことなのだ。
だって急に専属メイドだとか言われて、屋敷の構造などもよく知らないのに、正直そんなの意味がわからない。普通もっと色々調べるだろうに。
例えば、身辺のこととか。……いや、伯爵家に使えていたとはいえ、さすがに交友関係や出身の事情とかは調べるでしょう。うん。
ちなみに、そのことについてアンドルフ様に訊いてみたところ、「うん。そのことについては心配しなくていいよ」と言われた。……いや気にするんですが?どういうことですか。え?なんですか?もう終わったとかですか?……いや説明!報連相大事!!
しかしまぁ、私の身元がはっきりしたのであれば、心配することはひとつだけだ。
だが、さすがに仕事内容について主人に質問するのは忍びない。というか気まずい。
……ってことで、訊いてみた。
「で、専属メイドって、具体的になにするんですか?」
そう、一番偉そうな人――じいやに。
「いや、いやいやいや、さすがに、メイドの仕事はわからないか」とはもちろん思った。だってじいや男だし。執事だし。……付け加えるなら、かなり年行ってそうだからあんまり覚えてなさそ……いやなんでもないですごめんなさい。
なぜ最後謝ったのかと言うと、訊いた瞬間じいやにギロリと睨まれたからだ。
そして露骨に嫌そうにしながら、何事か言い出した。
「……そんなこともわからないのですか?そんなもので、よく伯爵家にいられましたね。……まあいいです。坊っちゃまの目は疑いませんが、貴方がどうやってその坊ちゃまを欺いたのか、不思議で仕方ありません。まったく、本当に」
そんな感じでブツブツ言いながらも、きちんと仕事を教えてくれた。
以外だったが、それもそうかと思った。新人がきちんと仕事をしていなかったら、それは監督か先輩の責任だ。……いやじいやは男だけど。監督でも先輩でもないけど。
最終的に彼は結構丁寧に教えてくれたので、お礼を言おうとするが、どう言えばいいのかわからない。
……うわぁ、名前訊くの忘れたぁ。どうしよう。
焦った挙げ句、
「ありがとうございます……えーと、じいや?」
といってしまった。
(やば)
終わった……と思って上目遣いで見上げれば、じいやは驚いた顔をしたあと、
「だっ、だぁれぃがじいやですか!その呼び名は、坊ちゃまと息子と妻にしか許しておりませんぞ!!」
とどなってプリプリと何処かに行ってしまった。
……一瞬行けるかなと思ったのに。なんか最近坊ちゃまが全然じいや呼びしてくれなくて寂しかったから、久しぶりのじいや呼びに感動して有耶無耶になる展開とか期待してたのに。やっぱ現実ってそう甘くはないな。てかどうでもいいけど、妻に「じいや」はおかしくないか?と思った私は、おかしくないと思う。




