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第14話、……本人の承諾を得てから話し合ってくれませんか?


「は、はぁ!?」


 私達が目を点にして呆然としていると、早く立ち直ったのだろうマルドスが、先程よりもっと顔を赤くして怒鳴った。

 ……あまり態度はよろしくないが、今ここにいる全員の意見と一致しているので、良しとする。


「ちょっ……何が埋め合わせだ!エミリーは私のメイド(もの)だ!物のように扱わないでいただきたい!」

 ……矛盾しているように感じるのは、私の気のせいでしょうか?


 アンドルフ様とは仲が良い、友人だという話が嘘のように怒鳴り散らかすマルドスに、アンドルフ様は軽蔑したように腕を組む。


「先程、『顔』を理由に犯人だと決めつけていた者が、よく言う」

 ……聞かれてたー!聞かれてましたよ皆さん!

 話に関わっていた、メアリーさんやレイチェルさんがその言葉に反応して、体をブルリと震わせるのが視界の端に入った。


 一方、話を聞かれていたことに更に顔を赤くしたマルドスが、呂律の怪しい口調でなおも声を上げる。

 ……そろそろ茹でダコどころかトマトになりそう。いや、本当になるのかも。


「だ、だからと言って、こ、公爵家の出だからといって、お、おお横暴だ!!」

「いや、私は『埋め合わせに』と言った。事実、君は私に暴行を働こうとしていたのだから、何かしら要求してもおかしくないだろう?土地や名誉じゃなかっただけ、ありがたいと思わないかい?」

「は、はぁ!?」

 まだまだ元気に怒鳴るマルドス。もはや貴族の威厳なんて皆無である。……いや、別に今更期待してないけど。


 すると、その様子にいい加減辟易したのか、アンドルフ様はため息を付き、目を鋭く細めて、低く唸った。

「まだわからない?つまり、エミリーをこっちに渡してくれれば、今回のことは周りに言いふらさない、目を瞑るって言ってるんだよ。いい加減気づいてくれないかい」

 すると、言い返せないのか、マルドスは「ぐぬぬ」と歯を食いしばっている。おそらくだが、私が欲しいのではなく、自分のものを取られるということを、彼のプライドが許さないのだろう。


(うわぁ、貴族の駆け引きって怖いなぁ)

 他人事みたいだって?……そう思ってないとやってらんないのよ!

 ……っていうかなんで私なの?他にも将来有望な人がいるでしょう?よりにもよって、なんで私ぃ!?私の意見は!?ねぇ、私の承諾得てないでしょう?……横暴だ!横暴野郎だ!


 そんな感想を抱きつつ、様子をうかがっていると。


「――そういうことで、今日から君はビネガス公爵家のメイドだ。わかったね?」

「……」

 ……今から逃げても間に合うだろうか。

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