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第10話、このトンチンカン!!

 

――わたしは気づいていた。


 さっきから、私が発する言葉に対し、大げさなくらい真っ青な顔でビクビク反応している人物を。

 そんなの怪しいことこの上ないし、それくらい顕著に示すってことは、自らの意思ではなく誰かに脅されてやった可能性のほうが高い。

 だからあまり責めるつもりはない。ないのに――


「なんだと!?エドワード!!父上の温情で屋敷に入れていることを忘れたのか!?」

「エドワード!あなたには失望したわ!!」

「さっさとここから出ていって!!」


 マルドス様&メアリーさん&レイチェルさんが、声を張り上げてエドワード君を怒鳴りだした。


 おうおう、ちょっとちょっと、まだ説明していないじゃあないですか。

 そりゃ、私も悪かったよ?なんにも告げずに「エドワード君が犯人だ」とか言っちゃって。少しはその後のことも考えるべきだった。

 だけど……だからって、そんな追求していいものではないでしょうに。

 特にメアリーさんとレイチェルさんは、マルドス様の怒りの矛先がエドワード君に行ったからか、集中攻撃しているんでしょうけども。

――というか、さっきから思ってたけど、私疑われてたよね?

 なのに、こんな私の言葉を鵜呑みにしちゃっていいの?伯爵家ってすっごい偉い方で、御貴族様の中でも権力が強くて情報伝達には気をつけているんじゃあなかったの?えぇ?

 こんな品もなく馬鹿みたいに怒鳴り散らすなんて……ごめんなさい、私の御貴族様像が崩れ落ちるわ。

 こんなのが、平民の上に立ってるのか、へぇ。

 あーあ。なんだか敬う気持ちがだいーぶ遠くへ言った気がする。もう帰ってこないな、これは。


「ちょっと!一旦静かにしてください!!まだ説明がまだなんですってば!」


 私が声を張り上げれば、3人がキッとこちらを睨んできた。こっち見んな。

 御主人様や先輩メイドから怒鳴られまくったエドワード君はそれはもう真っ白な顔をして、俯いていた。本当にごめんなさい。でも大丈夫、あなたが自分の意思でやったことじゃないのは、今から私が証明するから。


「説明も何も、こいつが犯人なのだろう!?」


 マルドス様は大変ご立腹な様子で――もう尊敬語使いたくないわ。もう普通でいいよね、普通で。

 だけどまあ、御貴族様相手にタメ口で話すわけにはいかないので、ちゃんと敬語で接しますけれども。

 でも、心のなかでだったらいいよね?ひゃっほーい。


「ええ。たしかに私はそう言いました。が、何もそこまで追求しなくてもよろしいでしょうに」

 このトンチンカンが。


「なにがだ!ここは私の屋敷。私が主人だ。だから私がルールなのだ!!」


「……失礼いたしました。ではまず、私の説明を聞いてからにしてください」

……痛いな。その年で「私がルールなのだ」とか、痛いわぁ。


「……ふん。まぁいいぞ。だが、説明が終わった暁には、必ずそこのエドワードを、ここから追い出すからな!」

 そう言ってまたエドワード君を指差す姿に呆れながら、私はマルドスとエドワード君の間に入った。


「はいはい、好きになさってください。ですが、私が保証します。必ず、御主人様は考えを改めるでしょう」

「なに!?私は改めるなど……」

「――このトンチンカン!!少しは黙ってなさい!!」

 やば。最後に出ちゃった。


 そうして許可をもらった私は、1から説明し始めた。

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