第1話 彼の名前はニシヤマン!
ある田舎町に、奇跡のヒーローニシヤマンがいた。
何が奇跡かと言うと…
田舎すぎて、一度もヒーローっぽいことをしたことがないのだ。
なにせ、ニシヤマンが住む町(と、いうか村)は、人口約100人余り。すれ違う人みーんな知り合い。(自称)正体不明のニシヤマンの正体は、村中の周知の事実なのであった。
しかも、ニシヤマンは村のこどもたちに思いっきし馬鹿にされていた。なんともまぁなさけないヒーローである。
そんな彼の唯一とも言えるヒーロー自慢は、木の上に登って降りられなくなった猫を助けたことであった。その猫は、ニシヤマンが密かに思いを寄せる村で1番美人の愛子ちゃんの溺愛していたハナコだった。彼は内心若干高いところが怖かったが、愛子ちゃんに感謝して欲しいというヒーローらしからぬ不純すぎる動機でなんとか猫を救出したのであった。
結果、元々ちょっと天然が入っちゃってる愛子ちゃんだけはニシヤマンを真のヒーローだと思い込んでいるのであった。しかも今まであんまりニシヤマンに興味がなかったため、彼の正体を知らない。彼が愛子ちゃんの隣の家に住んでいることを、彼女が知るのはいつのことだか…
普段のニシヤマンは、普通に学校に通っていた。愛子ちゃんと同じ中学の3年生である。
西山英雄。
ニシヤマンの本名だ。ひでおは、『えいゆう』とも読む。このヒーローになるために付いたような名前を、英雄はいたく気に入っていた。
ってゆーかこの名前から自分をヒーローだと思い込んでニシヤマンになった。
中学3年の今日まで、彼は愛子ちゃん以外からは特に必要にされてないヒーローだった。
それがいきなり…彼は本当の意味で『奇跡の』ヒーローになるのであった。