01-0002-02 魔法と潜在スキル 魔力と魔法
改定内容を本項下部(後書きスペース)に書かせていただくこととしました。
起稿20240811
起項20240819
改稿20240915
2話目
01-0002-02 魔法と潜在スキル 魔力と魔法
領都 練兵訓練場
簡単な講義をひと段落させて、いよいよ実体験に進む。
セイジツには、ひたすらメモをとってもらっている。
議事録であり、この新技術を独占するつもりもないので、まずは領内に広めるためにお願いした。後で、精査して実験していくためにも必要になる。
『まずは体内の魔力や体外の魔力を感じるところから始めましょうか。魔力があることを認識出来なければ、基本的に魔法を扱うのは困難だとされています。訓練として、掌に魔力が集まってくるイメージをしてみてください。』
掌を顔に向けて変化を観察しながら、掌に意識を集中させるが変化は無い。
「魔力ってどんな感じのものなんだい?」
『言葉で説明するのは難しいですが、万物に含まれている成分といいますか、それも表現としては微妙ですね。力……。体内にも自然界にもあるわけだし……。』
これまで言い淀む事の無かったガイドが四苦八苦しているので、こちらはこちらで進めてみよう。出来てしまえば、概念はどうでも良くなることはよくあることだ。
では、空気のようなモノと仮定して、空気中にある塵のような魔力を手のひらに集めるイメージをしたところ、あっさりと掌の中に重さを感じない球体が出来上がった。色があるかと問われると難しい。透明のガラスのようなモノだが、硬さを確認しようとして掴もうとしたら掴めぬまま、玉の中に指が入ってしまった。
まるで抵抗もなくすんなりと……。
『あれ?出来ましたね。無属性のようですが、どんなイメージをしました?』
「空気の中にある塵のような魔力を掌に寄せ集めるように集めようと意識したらできちゃった感じかな。」
『なるほど体内に意識を向けていた訳では無く、体の外に意識を向けていたのですね。それは難しいはずです。体の内側と外側では濃度が極端に違いますから。ただ、すごいですね。物語りの知識では、かなりの熟練者でも体の外側の魔力を集めるのは困難みたいですよ』
「なら、体の中からならスムーズにいくかな」
意識をして魔力を集めるのを止めると魔力の玉はそのまま拳大の大きさを維持したが、魔力の玉を消したいと思ったら、すぐに消えた。
さて、褒めてもらって調子に乗って、体内から同じ要領で集めようとしたが上手くいかない。
考え方を変えた方が良いのだろうか。何処を怪我しても血は出てくるなと思い至り、血液で魔力を循環しているイメージをして、掌に集めてみると、これなら上手くいった。
『上手くいったようですね。今、その球状になっている魔力玉の形状を変えてみましょうか。例えば紙のように薄く伸ばしたり、箱のような形にしたりですね』
さっきは消したいと思ったら消えたからと思考を巡らせたら、掌の魔力の玉が消えてしまった。
『さっき、魔力玉が消えたときのことでも思い出したりしましたか?』
「あぁ。さっきは消したいと思ったらすぐに消えたからね。その要領かと思ったら消えちゃったんだ。」
『魔力の集めたものを消すのはある意味で簡単です。消したいと思ったり、消えた時を想像すれば消えますので、良くも悪くも想像通りになります。ただ、魔力で変化させたところを解除するだけですから、状況によっては危険ですので注意してください。』
「解除の仕方も工夫出来るってことかな?壊れるように想像すれば壊れるし、堅くも柔らかくもなるかい?」
『正確というと難しいですが、どうやって壊れるのかも想像通りになります。堅くもなりますし、柔らかくもなります。重さも想像に沿う形で変化しながら解除させることも出来ます。』
「重さは想像してないけど、さっきは重さを感じなかった。」
『ならば形状よりも先に重さや硬さを試してみましょうか?』
「そうしようか」
先程と同じような玉を想像してから、鉄球のような重みを想像してみたが上手くいかない。何故か軽いままだ。
今度は氷が溶けるように崩れる想像をしたら、氷が溶けていくように崩れた。解除での変化はできるみたいだ。
もしかしたらと思い、鉄球のような玉を想像してから魔力の玉を作ってみたら、ちゃんと重たい玉ができた。
どういう物を作るかを決めてから、いや想像してからでないと後付けの想像では、重量は出ないようだ。
ちなみにできた魔力の玉はしっかり握り込めるし、軽く叩いてみてもビクともしない。
『如何です?硬くなりましたか?』
「確かに硬いね。もしかして、どういうものを作るか想像してから作らないと想像通りにならないのかな?」
『そうですね。魔力を構築する前に想像したものが、魔力を構築したものの設計図になります。威力、速度、硬度、形状、範囲、能力、温度、湿度、反響性や時限設定等々、様々な設定を組み込むことは可能です。この時点で維持する時間や解除方法を設定することも可能です。』
「待った。設定というか想像しきれていないものはどうなるんだい?」
『基本として設定されていないものは無視され、魔法を構築する上で不可欠の要素だった場合は、魔力を多く消費して魔法を成立させることが出来ますが、魔力が足りなければ発動しません。』
「よく使う物になるほど、その現象に対する理解力が必要ってことか」
『基本的にはそうなります。効率を上げるためには必須ですから。また、後付けで変化させる場合は、作った魔力構造物を染め上げるように後付けの条件を付与した魔力を浸透させれば、後からの想像に沿う形になると思います。これは、形を変えるときも同様です。』
「染め上げるように浸透させるか。布に水を吸わせる感じかな?」
『そうですね。それでも問題ないと思われます。少しの条件変更だとしても、再構成には魔力が必要で、染め上げる必要がありますから、効率的には悪いので、そういう方法があると言うだけですが、魔法を使うときの汎用性としてお知らせしています。』
「なるほどね。そうなると」
魔力を掌の上に集めて玉を作って硬さを確認して、硬さを柔らかく変えるイメージをしてから魔力を浸透させるように吸い込ませてみたら、フニャフニャの魔力の玉になった。
2024/09/21
・以前投稿させていただいた2話目を小分けにさせていただくこととしました