幕間、レコーダーズ・ピルグラム
「ええーっと次は…あっ、アルガイアかぁ……」
自分の記憶を辿って、ため息をつく。
アルガイアが死んでいるのは、空の底、奈落だ。
何故なら族長の息子の彼に、投げ落とされたから。
なんで投げ落としなんかしたのか。
おかげで、自分が奈落に行く羽目になってしまった。
「ギルギは無駄足で、アルガイアは正確な場所すら分からないときた。全く嫌になっちゃうね」
ぶつぶつと独り言を呟く。
ムロリメロ島でエルメダ・ドラメル・アーメシアを回収した所までは良かった。しかし、ギルギ・ドラメル・ボークロルは、すでに取り込まれていた。
ハーマレー島に来たのが、完全に無駄足だった。
「面倒臭いけど…しょうがない」
誰も周りにいないことを確認して、空岸から飛び降りる。
島影が遥か上に消えるまで自由落下を続け、頃合いを見て体を力をこめる。
一瞬の意識の飛びから目覚め、自身の体が竜のそれになっていることを確認する。
「さて…彼はどこに落ちたのかな…」
呟いて、見えてきた奈落世界を見下ろす。
…赤く染まった空と、黒い大地。
…死の霧で、普通の生物は生きられない。
…地獄とも称される、禁足の世界。
大きく息を吸って止め、急降下。
地面スレスレで平行に向きを変え、霧を払いながら飛び回る。
流石巨体の同胞といったところか、アルガイアの死体は、すぐに見つかった。
死の霧が穴という穴から入り込み、体のあらゆる所を腐らせている。
(死体、残ってるんだけど…)
本来であれば、死んだ同胞は灰のようになって消えるはずだ。なのにアルガイアの死体はそのまんまだ。
地獄の死の霧がそうさせるのか。或いは『自由』の慈悲か。
(どっちでもいいか…。早く終わらせようっと)
司祭から教わった顕魂の呪文を唱える。
途端に、死体の上に光る球が二つ、顕れる。
(エルメダさんもそうだったけど…やっぱり聖痕も残ってるな)
ヒトに宿り、『奇跡』を与えるとされる聖痕は、今はいらない。放っておけば自然と上空に向かい、どこか運のいいヒトに宿るだろう。
だから聖痕は無視して、今大事なのはもう一つの方。
(司祭曰く、残り物…これが?)
そう思いながら、聖痕でない方の光の球を掴み、持ってきた瓶に入れる。
その途端、アルガイアの死体が待っていたかのように灰になって消え出した。
(このタイミングの良さは…もしかして、見られてたな…?)
呆れてため息をつく。
今はこんな場面より、大事なことがあるんじゃないのか?
あの二柱は暇なのか?
(暇なんだろうなぁ…)
首を振って飛び上がる。いい加減、息をしないのも苦しくなってきた。
巡回者に見つかるのも面倒だし、早く命溢れるいつもの世界に戻ろう。
瓶を持ちながら、大きく飛び上がった。この旅も、もうすぐ終わる。
次回から、フェキシフト崩壊の回想が始まります。
長い上にバッドエンドが確定しているので、なるべく高い更新頻度で更新していきます。(出来れば毎日更新)




