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聖女ドラメルと最後の竜  作者: 創作草
第七章 明日のことを
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幕間、インタールード〜悪夢

熱い、熱い、あつい。

痛い、痛い、いたい。

なのに動けない、動けない、動けない。

狭い、狭い闇の中で、私は必死に身を捩る。

けれど、この痛みは和らぐ事がない。




ふと、闇の中で誰かの瞳を見た。

自分より遥かに大きい、白い体。

その、夕暮れのような瞳を。


(そう、だ……)


自分は彼を助けたかった。

苦しみに打ち震え、それでも泣くのを我慢して、必死に感情を抑え込む。

そんな彼を、助けたかった。

でも。


「邪魔だよ、キミ」


帰ってきたのは拒絶の言葉。

そして世界が二、三転し、身体ごと地面に叩きつけられる。

そこで意識は飛んだのだけど、悪夢はその続きを勝手に作り出す。


「……血」


意識が飛ぶ直前に聞こえた、彼の、彼とは思えぬ声。

それと共に、彼の口が大きく開く。


人など、簡単に噛み切れてしまえる牙が、舌の間から鋭く覗く。

生暖かい息と涎で、口が塞がり喉が詰まる。

舌の上に乗せられた体が、口の奥へ滑り落ちていく。


「……あ、ああああっ」


そこで、声も出せなかった私は、叫びを捻り出した。

生きるために、死なないために、体が反射的に叫んだ。


「ああああああああーーーっ!!」


自分の呼吸の限界を超えても、私の叫びは頭に響く。

腹の底からの恐怖の叫びは、人が怪物に出会った時のそれに似ていた。



これは、悪夢だ。

しかもその後半は、知らない光景だ。悪夢が作り出した、幻想(ゆめ)だ。

だから気にする事はない。

だから、もう二度と、こんな事など起きないはずだ。


熱い、熱い、あつい。

痛い、痛い、いたい。

暗闇の中で、私はいつまでも、身を捩っている。

けれどこの痛みは、きっといつまでも、消える事はないのだろう。

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