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聖女ドラメルと最後の竜  作者: 創作草
間章 竜を祀る島
111/169

幕間、シャーマンズ

細い通路を、私はいい加減苛立ちを募らせながら、歩いていた。


「ラケルーっ!何処にいるのー!返事しなさいよ!」


いつもならそろそろ起きて来るはずの彼が、どこにも見当たらないのだ。

もうすぐ司祭様の儀式の時間だから、両腕の自分達が居ないとまずい。

なのに、その片腕がどこにも居ない。


「まったく…一体どこに行ったのよ…」


儀式に片腕が遅れるなんて事は、あってはならない。調子者だが時間は守る彼のことなので、遅刻はないと思いたい。

そんな事を考えながら、彼がいそうな最後の候補の、部屋を除く。

そして、直前の不安はかき消えた。


「…あっいた!ったく、何してんのよ!もうすぐ司祭様の……」


言葉の端は、戸惑いに埋もれた。

寝床から起き上がった彼が、宙をぼんやり見据えているのだ。

いつもの『加護』の反動ではない。


「……ラケル、どうしたの?」


「…あ、サフィラ、おはよう。えっと、確証は無いんだけど……見たんだ」


彼にしては珍しくしどろもどろだ。


「いつもの事だけど…いえ、おはよう、ラケル。それで?何を見たの?」


もう昼だよ、と言いかけてやめる。今言っても彼を悲しませるだけだ。

それより彼の狼狽の理由が知りたい。


「もしかしてだけど…聖女達が」



それだけで、先に何が続くのか察せれた。

衝撃が体を走る。焦りそうになる胴を押さえて、なるべく冷静に言葉を紡ぐ。


「それは、本当?」


「多分…僕が張った『壁』を、すり抜けたのを感じたんだ。近くに、タンテー様もいた、と思う」


それなら信憑性は高い。というか、ほぼ疑いようもなく、聖女一行だろう。

ついにこの島に、聖女達がやって来るのか。


「…ラケル。あんたは司祭長様に、報告に行って来て!私はマル…司祭様に話して来る!」


勤めて冷静に勤めたけど、けれども興奮と高揚は、口調に表れた。

頷くラケルを置いて、部屋を飛び出す。平静でいようと居たけど、多分今の私は彼より落ち着きがない。

それ程に、私にとっては重大な事だった。


(聖女がついに…ようやく、ようやく……!)


思っていたより短かった。けどそれほど直ぐでもなかった、この時。不安もありながらも、私の心は晴れやかだった。

抑えられぬ熱に浮かされながら、私は来た道を駆け戻り出した。

間章 終


次 第七章

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