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必切

作者: ぬうと




 時に思う事があるんだ。

 “一生懸命”ってなんだと思う?


 真面目なこと、頑張ること、命を賭けること、死ぬまで戦うこと、争い続けること。生き続けること、励ますこと、涙を流すこと。


 あなたにとっての“一生懸命”は一体なんですか?


 例えばインターネットなんかで検索すると、類義語などが出てくる。


 一意専心、一所懸命、一心不乱などなど。


 他にも様々な言葉があるようにも思えるが、大まかな類義語はこの辺りだろう。


 類義語の中に、主な要因も記載されていた。それらを少し紹介しよう。


 『犍陀多かんだたは、早速その蜘蛛の糸を両手でしっかりとつかみながら、“一生懸命”に上へ上へとたぐりのぼり始めました。』


 これは、あの有名な芥川龍之介の著書、蜘蛛の糸から引用した言葉だ。


 この文を読むと、一生懸命とは、上へ登る事を表した副詞的用途で使われている。

 この文の中で、犍陀多かんだたが行動している状態の説明や、いかに必死であるかを表しているように思える。


 他にも見てみよう。


 『・・・戦争の火は人間の心を焼き清めて、一生懸命の塊りにして呉れる。』


 これは岩野泡鳴による著書、「戦話」から引用した文章である。

 “一生懸命の塊にして呉れる”とは、人々を必死な状態へと導いた。と僕は解釈している。


 つまり、戦争の光景は、人々を究極的かつ極限的な危機へと追いやった。と僕は捉えている。


 このように比べてみると、このどちらの文にも使われている“一生懸命”には、共通する意味が込められているような気がする。


 それは、どちらも必死であること。


 なら、一生懸命とは必死であることなのだろうか?

 いいや、僕はそうは思わない。


 一生懸命と必死は、必ずしもイコールで結ばれる言葉では無いと確信している。

 そもそも“必死”の意味とは、必ず死ぬと覚悟することや、生死を問わず全力を尽くすことなどの意味がある。


 なら“一生懸命”が使われている文の全てが、死を意味する言葉になってしまうのでは無いだろうか?


 例えば、

 『一生懸命泣く』や『一生懸命励ます』などはどうだろう?

 これらの言葉に、死は関係しているだろうか?


 いいや、ほとんど無いだろう。


 つまり一生懸命とは、必死な時にだけ使われる言葉では無いという事だ。


 これを踏まえて僕は問いたい。

 あなたにとっての一生懸命とは一体なんでしょうか?


 これはあくまで自分の考えだが、一生懸命とは物事に対してどれだけ大切にしているのかを表す言葉だと思っている。


 蜘蛛の糸が大切なら一生懸命それに縋り、危機的状況なら一生懸命働く。

 涙が出るのなら一生懸命泣き、相手が大切なら一生懸命励ますのだ。


 “一生懸命”には様々な意味が含まれている事が分かった。

 そして、人は大切なことほど“一生懸命”になることが多いと思える。


 それはごくごく当たり前のことで、大した発見では無いが、僕は今とても一生懸命であることに気付かされた。

 

 僕にとって、今は、とても大切なんだと。

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