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新築なのに……

 映画の残穢では、土地に穢れが残り、それは人を媒介にして次々と転移している様子が描かれていました。


 そこまで大袈裟なことはまずないと思いますが、新築だから事故物件ではないという先入観は捨てたほうがいいというのが今回のお話です。これは、一話目と少し似ていますが、もともとその土地は約四〇坪の駐車場でした。北区のA駅徒歩一〇分ほどの住宅街の中にあります。


 T社長は、そこを戸建てで売りに出す予定で購入しました。


 四〇坪をふたつに分筆し、二棟の新築戸建て現場です。


 南側接道の土地は形もよく、すぐに購入者が決まり、二棟の戸建ては売却されたのです。


 ですが、三カ月後、T社長は二棟のうち、東側の家を購入した人から、とてもきつい口調で抗議を受けたのです。


「あんな家だと知って黙って売ったんですか!?」


 T社長は驚いて、何があったか尋ねても会話になりません。話し合いをしましょうと提案しても、相手は怒る一方で交渉にならずだったようです。そして数日後、家を買った人の代理人である弁護士から、心理的瑕疵の説明責任を果たしていないことを理由にした損害賠償請求をされたのです。


 心理的瑕疵とは、わかりやすく言うと事故物件です。


 T社長は言います。


「いや、まさか更地を購入したのに、変なことが起きますってあり得ないじゃない? わからなかったんだよね」

「どうしたのですか?」

「買主の方、とてもいい家族で気の毒だったから応じたよ。ま、一生に一度の買い物してあれじゃ怒るのもわかるから……こちらも知らなかったとはいえ、地元密着でやってて変な噂たったら困るしね。買い戻して、今はシェアハウスで貸し出してる」

「……シェアハウスで入っている人、わかって入っているんですよね?」

「もちろん」


 さて、あの家に何が起きていたのか、購入者の人からT社長はそれを詳しく訊かなかったそうです。ただ、弁護士との間で交渉を行っている最中、近所や前の持ち主に聞き込みを行っても、はっきりとした原因はわからなかったそうです。


「まぁ。そういうのは話したがらないかもしれないし」


 T社長は諦めたそうですが、どうしても確かめたいという気持ちで、買い戻してから、その家で一週間、暮らしたそうです。


「どうでした?」

「いや、何も起きなかったよ……ただ」

「ただ?」

「エアコンいれなくても暑くないんだ。七月なのに」

「……」


 その土地で昔、なにがあったのか?


 家を買った家族は、何を見たのか?


 詳細はわからずですが、シェアハウスの入居者は頻繁に入れ替わるそうです。


 皆さんも、家を買う時は、昔の公図や住宅地図を見て、何があったのかを確かめたほうがいいかもしれません。


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