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#61 【雑談】適当で雑なやつ【黒猫燦/あるてま】

「はい」


:はい

:はい

:はいじゃないが

:こんばんにゃーって言え

:はい


 気乗りしないまま配信を始めてしまった。

 でも相変わらずリスナーのコメントは辛辣、ではないけど遠慮のないものが多かった。


「お前らは相変わらずだなぁ」


:は?

:こっちの台詞では?

:お前は変わらずそのままでいてくれ

:どした元気ないぞ

:成長しないぺったんこな胸


「は? ぼいんぼいんだが?? 日々成長中なんが???」


 最近また下着が合わなくなってきて冗談抜きでつらいことになってきている。

 Vtuber活動をしているおかげでお金にある程度の余裕はあるんだけど、気に入っていた柄や色の下着が使えなくなるって結構ショックなんだよねー……。


「まあまあまあいいや。今日はこの前のマリカ杯の感想雑談ね」


:マリカ惜しかったね

:惜しい(下から4番目)

:1周目調子良かったのに2周目から集中砲火食らったのは草生えた

:ぶっちゃけ期待通りでした

:どんまい


「あれさーなんで甲羅ってぶつかったあとバナナ踏んだり一気に調子崩れるんだろーね。ほんとクソゲーだわ」


:自分が勝てないものにクソゲーっていうオタクじゃん

:気持ちはわかる

:もうちょい練習枠とっとけばよかったな

:最近配信少なめだけど大丈夫?

:強運兎は強かったな

:何度もボム兵に当たる我王な


「12月はほら、寒いから配信するエネルギーがちょっと」


 暑いのは暑いので配信する気が失せるけど、寒いのは寒いのでエネルギー不足を感じてしまうのだ。

 まあ、原因はそれ以外にも自覚してるんだけど、それはリスナーに言うことではない。


:まあ無理せんといてもろて

:風邪引くなよ

:お腹出して寝るなよ

:カイロ持ったか?

:配信して夜ふかしせずにはよ寝ろ

:ばいにゃー


「母親か!? いや終わらんが!? ちょ、同接減ったんだけど帰ってこい!!!」


:草

:まだやってたの?

:寝ろよ


 普通さ、推しの配信って「終わらないで」とか「いかないで」って言うもんじゃない? で、それにわたしが「でももう時間だからね」とか「わたしも離れたくない」とかさぁ、返すやつじゃん?

 なのになんでいつもこうなのかな!?

 うちのリスナーノリが良すぎないか!?


「お前ら他のVの配信でもこんなチャットしてるの? 怒られない?」


:するわけ無いじゃん

:お前だけが特別なんだよ!

:誰かの特別になれるって素敵なことやん


「そうじゃないんだよなぁ! 特別ってそういうのじゃないんだよなぁ!」


 リスナーには色んなタイプがいる。

 囲いとしてVを姫っぽい扱いしてちやほやするリスナーとか、ガチ恋彼氏面して自分以外のリスナーが馴れ馴れしくすると赤スパでキレるリスナーとか、普通に友達の距離感で気軽に接するリスナーとか多種多様だ。

 距離感がバグって行き過ぎたリスナーは厄介勢と呼ばれ、同じファンの中でも嫌な顔をされるからそれを避けるためにチャットの雰囲気を読みながら周りに合わせて自分のスタンスを形作る、ってリスナーが多いんだけど……、なんでうちはこんなデッドボール上等豪速球でボールを投げるような悪友タイプのリスナーが集まってしまったんだろう。

 リスナーのタイプってその配信者の性質で結構変化したりするんだけど、わたしってリスナーからどういう風に映ってるんだ……?


:3期生があんまり活躍しなかったのが残念だったね

:1期生がマリカも配信も実力的に強かったわ

:唯一おっさんだけが上位入賞したぐらいか

:まあスーファミからやり込んでるからなおっさん


「おっさん、練習期間ずっと仕事終わってからも一人でオンラインに潜ってたらしいからね……」


:どうしてV同士で練習しないんですか(真顔)

:しーっ

:おっさんはおっさんだから…


 裏でコソ練してたとき、わたしの相手は大抵が結かアスカちゃんだった。

 やっぱり普段絡みのある人同士で練習することが多いから、まだ少し距離感のある3期生はそういう意味では試合前から不利だったのかもしれない。


 まあわたしは負けましたけど!!!


「でもあれだね、大型コラボは疲れる」


:悲鳴以外は無言率高めだったもんな

:ぶっちゃけディスコの大人数は声が潰れるから何言ってるか分かりづらい

:絶叫だけで撮れ高提供する黒猫さんはコスパ最強

:大型コラボのワチャワチャすこ

:あるてまもメンバー増えたしVtuber自体も認知度高くなってきたから来年は忙しそう

:この前ニュース番組でVtuber特集してておどれぇた


「最近地上波でもVtuber取り扱う番組増えたよねー。なんか深夜帯にVがMCする番組やるとかも聞いたし、すごい世の中だね」


:お前もVtuberやろがい

:このねこ、これでもトップ企業のトップVの一人なんです…

:黒猫さんがテレビに出るイメージが湧かない…

:大丈夫だ、最悪鳴き声だけ後撮りして別の人がry

:はいライン超え

:あかん(あかん)


 いや確かにダンス担当のスタッフ、トーク担当のスタッフとか複数人で一人を公言してるVtuberもいるけど! テレビでやってたけど!

 流石のわたしでもそのチャットに触れる勇気はない、許せ……。


「あんまりお仕事の内容とか言っていいやつとダメなやつがあるんだよね」


:もう口滑らせるなよ

:ツイッターでマネージャーに謝罪させるな

:【速報】世良祭オタク、新衣装情報をポロる

 

「まとめサイトのタイトル貼るな! 反省してるから!!」


 あるてまのメイン鯖には運営がメンバー全員の立ち絵やキービジュアルを公開してくれているチャンネルが存在する。

 その中には未公開の新衣装だったりもあるわけなんだけど、先日はそれを告知されてるかどうか確認せずについついうっかり口を滑らせてしまったのだ。

 まだどこにも公開してない情報だったから本気で焦ったねあれは……。


「まあわたしから言えるのは黒猫燦の映像系インタビューは全部断ってる、とだけ」


:オイ!!!!!

:仕事断るなよ

:むしろ断れるのか……

:そろそろマネさんは泣いていい


「だ、だってテレビっていくら編集しても限界あるじゃん……」


:それは確かに

:全国放送だもんな

:配信より緊張するもん?

:黒猫、番組下りろ。とか言われん?


「配信も緊張してるけど今はリスナーがいてくれてるから頑張れるじゃん。でもインタビューとかテレビって基本タイマンだし無理でしょ」


 配信と違ってインタビューは対面する相手が少ないメリットがある。

 でも一対一ってのは心理的負担が大きいし、配信慣れした今となってはリスナーはむしろ心強い味方みたいなもので、彼らがここにいて反応してくれているから日々頑張ってると言っても過言ではない。

 それが無しで一人で会話をするってなると、とってもつらいことだと思う。


:黒猫ォ

:デレるな

:恥ずかしいこと言って恥ずかしくない?

:辛辣で草

:リスナーの照れ隠し


「お前らほんとさぁ……まあいいや。そろそろ終わろ」


:終わらないで

:いかないで

:配信しろ

:まだ一時間だぞ


「最初に終われって言ったの忘れてないからな!? もう引き止めても遅いから!!」


:ばいにゃー

:おつ

:じゃあな


「はやいはやい。告知させて、っても別に告知ないけど……」


:明日は?


「明日はー、たぶんおやすみ」


:クリスマスイブなんかする?

:てか誕生日じゃん

:あれ、誕生日枠なくね?

:おめ

:16歳?17歳?


「あー、ごめん。クリスマスイブもおやすみする。お誕生日配信もないよ」


 そう言った瞬間、チャットが俄に加速した。

 まあ、そうだよね。

 Vtuberのお誕生日配信は一大イベントでオマケにクリスマスイブ当日なのに、まさかまさかの配信なしだ。それも2日目の告知ときた。

 いくらうちのリスナーがノリが良いと言っても、ざわつくものはざわつく。


:まあ、しゃーない

:黒猫さんには黒猫さんの時間があるからね…

:お誕生日とクリスマスイブ楽しんでね…

:結ママにもよろしく

:アスカちゃんとハメ外さないように


 いや理解早いな!? 順応速度爆速か!?


「ほんと、君らのそういうとこ……好きだわ」


:俺らも好きだぞ

:嫌いな配信みんでしょ

:まあ元気出せよ


「ありがと、ご主人」


:ご主人?

:なんそれ

:??

:どした

:浸るな


「ファンネームだよ! 忘れんな!!」


 片手で数えれるぐらいしか使ったことないけど!!!

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[一言] 安定の黒猫具合で安心しました()
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