#53 【アスねこ】Vtuberの未来について語り合う社会派ねこ【黒猫燦/立花アスカ】
最近、新人Vtuberをよく見るようになった。
今までも少しずつ個人Vtuberは増えてはいたんだけど、夏の終わり頃から目に見えて数が増えたような気がする。
特に最近はメイクキャストと呼ばれる、簡単に3Dアバターを作れるアプリがリリースされたこともあってVtuberを名乗る敷居がグッと低くなった。
配信に興味はあるんだけどLive2Dや3Dのアバターが用意できなくて立ち止まっていた人たちが、今やパソコンとマイクさえあれば後は気合で誰でも配信ができる時代だ。
──いい時代になったもんだなぁ……。
Twitterで【#Vtuberはじめました】や【#Vtuber準備中】と検索すると毎日何十人というVtuberの卵たちがヒットする。
わたしも気になる子は何人かチェックしているけど、その中には自己紹介動画であるてまに憧れてデビューした、と言ってくれる子が何人かいてなんというか、Vtuberやっててよかったなぁと心底思った。
と、いうわけで。
新人Vtuberを語る枠を取ることにした。
◆
【アスねこ】Vtuberの未来について語り合う社会派ねこ【黒猫燦/立花アスカ】
32,006 人が視聴中・黒猫 燦 チャンネル登録者数 12.2万人
#黒猫さんの時間 #Aska_live
「こんばんにゃー黒猫燦にゃ」
「はいこんにちわ。Vtuberの立花アスカです」
:こんばんにゃー
:最近コラボ増えたね
:アス猫助かる
:アスカちゃんチャンネル4000人おめ
「お、ちゃんと気づいてるね! アスカちゃんがついに4000人突破だよ、祝えお前ら!」
:¥3,000 おめでとうございます
:¥300 これ少ないけどこれからもうちの猫をよろしくお願いします
:¥250 大丈夫?そろそろ黒猫さんとコラボNG出ない??
:めちゃくちゃ言われて草
:¥15,000 これからも応援してるね
チャットがカラフルに彩られていく。
祝えと言ったのはわたしだが、アスカちゃんへのご祝儀をうちのチャンネルで受け取るのはなんだか申し訳ない気持ちになってきたぞ。
「あ、あー、その辺でストップストップ。アスカちゃんが困惑してるから。ちょ、マジでやめろって!」
「あはは、流石燦ちゃんのリスナーさんだね。けどお金は大切に、ね?」
:はーい
:悪ノリもほどほどが大切だな
:それにしても最近Vtuberめっちゃ増えてね?
:企業も増えたよな
:¥200 友達がVになって草生えた
「そうそう、今日はその話をアスカちゃんとしようと思ったんだよ。と言っても最近勢いのある個人Vについて好き勝手語ろうってだけだけど」
「でも燦ちゃんって企業に所属してるよね? 他のVさんの話題出して大丈夫なの?」
「語るだけなら大丈夫って言ってたよ。あるてまってその辺ゆるいよね」
「あ、あはは……」
他の企業だと個人Vtuberとコラボするのは禁止、とか、他企業の話題も出しちゃいけない、というところが割と多い。
まだまだVtuberというコンテンツにどこも手探り状態で、お互いに牽制しあっているのだ。
でもあるてまはその辺りがフルオープンで、平気で配信で他企業の話題を出したり──まあ、他企業は流石に向こう側に怒られる可能性があるから皆控えているが──個人Vとコラボしたりしている。
最近だと、きりん先輩が気になっている新人Vtuberをスナック来宮に呼ぶ、なんて企画を試験的に開始していた。
「で、で、で。個人Vtuberの登録者4000人ってどれくらい凄いかみんな分かる?」
:初配信で2回行動した黒猫で2回目が4000人強
:3期生が配信開始時で確か7000人前後か?
:配信直前にチャンネル公開されたから企業の割にスタートが少ないってのはあるけどそれでも4桁って実際凄いよ
:¥4,000 4000円あったら色々出来るもんな!
:ちょっと前までようやく3桁だったのに黒猫騒動と夏のブーストですごい伸びたね
:ちなみにVのトップはチャンネル200万超えて文字通り桁違いや
「4桁いってるVtuberって上位数%しかいないからねー。しかも個人勢で4桁は本当に限られてるから。つまり皆アスカちゃん推せ!」
「それもこれも燦ちゃんのおかげですよ。私を見つけてくれてありがとうございます!」
「あ、う、こ、こちらこそありがとぅ。好きです推してます……」
「あはっ、私も燦ちゃん大好きです」
夏の間は毎日のように通話していたアスカちゃんだが、最近はお互いに忙しいこともあって通話の機会は減っていた。
だからこうして会話するのもストレートに好意を伝えるのも本当に久々で、なんていうか既にノックアウト寸前だ。
え、これこのまま個人Vtuberについて語るの? アスカちゃんのいいところ語る配信じゃダメ???
「それで本題に戻りますけど、最近新人Vtuberの方が凄い増えましたよね」
「そ、そうだね。メイクキャストってアプリがあれば誰でもバーチャル世界の身体作れるようになったし。個人勢の一番の壁ってバーチャルとしての肉体を持つことだったから良いことだよ」
「私の場合は家族全員がそっち方面に強い影響で気がついたら私も出来るようになってたんですけど、普通の人は難しいですもんね」
「つまりアスカちゃんが最強」
:好きあらば推し自慢するな
:実際セルフ受肉出来る個人勢は最強なんだよなぁ
:最近はVtuberの受肉支援する個人Vtuberも増えてきた
:需要しかない
「あ、実は私もちょっと落ち着いたらそういう依頼受け付けようと思ってるんですよ」
「え、つまりアスカちゃんがママでパパになる……?」
Vtuberにとってママとはキャラクターデザインをした人、パパはモデリングをした人のことを指す。
要はアスカちゃんにVtuberとしての器を作ってもらったら合法的にママやパパと呼ぶことが出来るわけだ。
……転生するか。
「あ、それで最近アスカちゃんが注目してる新人Vtuberっている?」
「私はそうですね……、あっ、個人で活動しているソフィア・ミストルティとシルヴァ・ミストルティのエルフ姉妹をオススメします」
「ハイエルフとダークエルフの姉妹Vtuberだね! 私もすこ」
:ハイエルフとダークエルフで姉妹とは…?
:そこはかとなく香る闇の匂い
:常にふたりで活動しててマジで微笑ましいから見ろ。
:Twitterのアカウント共有してるから喧嘩する時も一人芝居みたいで面白いぞー
:たまに妹エルフの声混ざるのすき
:¥300 シルヴァたそすし
ミストルティ姉妹は色白巨乳ハイエルフと褐色巨乳ハイエルフのビジュアルつよつよ個人勢だ。
ゲーム配信は基本的に協力プレイ、雑談配信もふたりでダベる感じ、たまにドッキリ企画をしたりと最近人気急上昇中だ。
あとバイノーラルマイクで両耳から囁きかけてくる動画が凄い人気。あれは良い。わたしもお世話になった。
「夏にデビューしたのにもう少しで5桁だもんね。やっぱりえっちなのはつよい」
「あはは、燦ちゃんはすぐそっち方面に行っちゃうね。……あ、ちなみにわたしは個人勢でふたり組ならではの配信スタイルがすごいなーって思ってオススメしただけですよ?」
:淫猫じゃん
:¥3,000 いんきゃーっと
:¥200 アスカちゃんを穢すな
:¥200 アスカちゃんごめんなさい
「うっ、そ、その話は一旦置いといて……。企業勢で姉妹設定でやってるVは確かにいるんだけど、それって企業のバックアップがあるから無理なく実現出来てるみたいなところあって。それを個人でやってるんだからミストルティ姉妹は凄いよね」
:設定言うなぁ!
:公然の秘密にも暗黙の了解があるだろ!
:まあけど某企業の姉妹Vは初配信よそよそしかったよね…
:しーっ
:今は仲いいから(ふるえ)
「あ、……名前出してないからセーフ。セーフって信じたい」
「えっと、じゃあ燦ちゃんのオススメの人はいますか?」
「私はぞでぃあっく気になる」
:¥12,000 お前の村、特定したからな!!!
:↑それはやべー企業のやべーエルフ
:ミストルティ姉妹は良いエルフです。射手座のエルフは人間の村を焼くやべーエルフです
:え、人形弟扱いしてるやべーショタブラコンのメンヘラ双子座の話した???
:¥300 話題にして大丈夫? あるてま焼かれない??
:¥220 企業コラボなくなったね
「……この話はやめとこう」
「そ、そうですね。他企業は流石に危ないよ」
「あー、じゃあ個人で言えばリリス・リリムとか?」
「聞いたことありますね。えっと、たしか」
:エロ系Vtuberじゃん
:ガチサキュバスな
:ちょっと淫猫さぁ…
:¥2,500 ※黒猫燦は高校生です
あ、つい口が滑ったけどそういえばリリス・リリムはエッチなVtuberだった。
かなり際どいところ攻めてるVtuberだから名前を出すのは良くなかったかも知れない。
リリス・リリム[Lili Ch.]:可愛いねこちゃんに呼ばれちゃったかな~?
:サキュバスおるやんけ!
:まああるてまは配信型Vのトップラインだから他のVも見てるわな
リリス・リリム[Lili Ch.]:後でねこちゃんのためだけに使える動画撮るから、DM待っててね~?
:ナニに使えるんですかねぇ…
「あ、ありがとうございます。大事に使わせてもらいます」
「燦ちゃん?」
「ぴぃ!?」
声の圧が、圧が!
「………」
「ぅぅ……」
それからアスカちゃんは1分間無言になってしまった。
わたしもどう声を掛けたら良いのか分からず、ただ呻くことだけしか出来ない。
完全に放送事故だ。
「私言ったもん。燦ちゃんが他の子とイチャイチャするのはヤダって」
「そ、それは、あの、ほら、ね?」
「つーん。別にいいですよーだ。燦ちゃんは大人気Vtuberさんで皆の人気者ですから。色んな人にデレデレしててください」
「さ、最推しはアスカちゃんだから……」
「リスナーさんはそう言っていろんなVtuberさんにそう言うんですよ……?」
「うっ」
:うっ
:心当たりが多すぎる
:その瞬間その瞬間が最推しだから(震え声)
:正直他所のVの話する時点でこうなることは読めてた
:¥230 ゆるして…
「あはっ、冗談ですよ、冗談。リスナーさんもそんなに怖がらないでくださいよ、ね?」
「あ、うん。アスカちゃん大好き、大好き」
「私も燦ちゃん大好きですよ」
:¥220 アスねこてぇてぇ
:てぇてぇ、のか…?
:画面にVがふたり以上写ってたらてぇてぇ
:チャットでもTwitterでもてぇてぇ出来るので存在するだけでてぇてぇよ
:¥300 てぇてぇは概念
:でもサキュバス動画は使うんだよね…