#35 【記念配信】10万人突破ってマ…?【黒猫燦/あるてま】
【記念配信】10万人突破ってマ…?【黒猫燦/あるてま】
34,937 人が視聴中・黒猫 燦 チャンネル登録者数 10.4万人
:こんばんにゃー
:10万人はやーい
:とりあえずめでてぇ!
:実は夏コミ終了直後に突破してた模様
:で、黒猫さんどこ?
今日も配信が始まった。
と言っても今日は特別な配信だ。
視聴者の皆もいつにも増して気合が入っている。
:二期生の10万人一番乗りは結局黒猫だったな
:十六夜が5万だからやっぱ黒猫ってやべーわ
:一期生でもまだ一桁の人いるからねぇ
:はよ出て来い黒猫ぉ!
チャット欄が加速していく。
そりゃそうだ、配信開始から既に3分が経過しているのだから、待ちに待った視聴者はもう我慢の限界だ。
じゃあなんで開始してないかって……?
緊張してるからに決まってるだろ!
だって10万人記念だぞ、しかも今回は視聴者サプライズ、そして企画まであるんだぞ!?
これで緊張するなって方が無茶だって!
:失踪するな
:いるのは分かってんだぞ
:出て来い駄猫!
「う、うぅ~……」
覚悟、決めるしかないか……。
わたしはマイクのミュートを解除して配信画面を切り替えた。
:お、きちゃ
:キタ━(゜∀゜)━!
:は?
:お?
:え?
「こんばんにゃ~~~~!!!!!!」
:うるせぇ!!!
:音量注意
:新衣装!?
:告知なかったぞ!?
:ドウイウコトナノーネ
「どうだ! 驚いたか! 新衣装、だぞ!」
実は新衣装の話はチャンネル登録者数が5万人を達成した時、マネージャーさんから聞かされていた。
けどその時は実装時期はいつになるか未定と言われていて、つい先日本社で動画撮影をした時にようやく完成した新しい黒猫燦を見せて貰った。
お披露目配信はいつでもいいと言われていたので、わたしはまだ枠を取っていなかった10万人記念配信と新衣装のお披露目を被せることでサプライズにしてみた。
その結果は御覧の通り。
チャット欄は絶賛爆速である。
:黒猫さんの癖にめっちゃかわいいじゃん
:ノーマルな制服からアレンジ加えてていいゾ〜これ
:クソ、黒猫で萌える日が来るなんて…
:燃えるのは黒猫だけのお家芸なのに!
:はーすこすこ
「お? いつも生意気な視聴者が悶えてるのか?この、私の、新衣装で! にゃっはっはっはっ!」
めっちゃいい気分だな!
いつもイジってくる面々が今は可愛い可愛いとわたしをちやほやしているのだ。
そうだよ、こういうのが欲しかったんだよ!
あー、気持ちいいなぁ!
:腹立つ
:胸はまっ平らな癖に
:黒猫さんに調子乗らせるな
:取り敢えず燃えろ
「はい効きませーん。なぜなら私はぼいんぼいんだからでーす。そして美少女だからでーす」
:胸無し運無し可愛げ無し
:よく燃え広がりそうな胸部してんねぇ!
:幾ら見た目良くても中身黒猫燦じゃ抜けない(笑)
:よく考えたらあるてまもっと可愛いのいるな
:所詮黒猫
「は? 私で抜けよ」
:黒猫「私で抜け」
:たまげたなぁ…
:これが今を時めくトップVtuberの一人ってマジ?
:胸デカくなってから言ってくれ
:無い乳だからいいんだろ!!!
「だからおっぱいデカイって言ってるだろ!!!」
はー、やれやれ。
これだから節穴視聴者は困るよ。
取り敢えずいつまでも視聴者と問答を繰り返していても進まないので次に移ろう。
「はいにゃ、そんなわけでいつの間にか10万人達成してましたーありがとーございまーす! 正直毎日配信したくないなぁって思ってるけど、ここまでこれたのはみんなのおかげだから、やっぱりありがと! にゃ!」
思えば5月のデビューからもう8月だ。
たったの3ヶ月だけど、この3ヶ月はわたしにとって人生で1番濃い3ヶ月になった。
本当に色々あって、わたしも人間的に成長できた気がする。
「だから今日は凸待ち配信します!」
:正気?
:コミュ障の黒猫さんが凸待ち…?
:参加者ゼロ人…は、ゆいままいるからないか
:我が子を見守る気持ちで配信見てるゆいまま
:絶対チャットも目通してるゾ
「無謀な企画だって分かってるよ。けど私がVになったのは友達をつくるため! コミュ障を治すため! だったら凸待ちぐらいやってやるにゃー!」
:絶対嘘だゾ
:誰の入れ知恵?
:本音は?
「マネージャーさんにやれって言われました……おなかいたいかえりたい……」
:バラすなバラすな
:企業の裏事情を赤裸々に語る陰猫
:なんであるてまはこの子追放しないの?
:野に放つと危ないから
:なーるどな
取り敢えず凸待ちだからDiscordを配信画面に映らないように見えやすいところに表示しておく。
あー緊張するなぁ〜知らない人とか来たら怖いなぁ。
おちつけおちつけー、この3ヶ月で色んな人に学んだことを思い出して活かすんだ。
わたしは、できる!
「んにゃっ、早速来た!」
:だれだれだれ?
:ままくるか?
:先輩じゃない?
画面に表示された名前を見て、
「え、えぇ!? な、なんで!? なんでなんで、は、や、えぇ!?」
:どしたい?
:マネージャー説
:公開お説教かぁ
:助かる
「や、違いますけど、と、取り敢えず通話つなげます……」
「やあやあわたしだ」
「あー、え、っと、ど、どうも、はじめましてです……」
「あるてまの炎上虚乳ライバー黒猫燦だにゃん」
「違いますよね!? にわ先輩ですよね!?」
「そうとも言う」
:は!?にわちゃん!?
:ナンデ、ナンデにわサン!?
:まさか自力で脱出を!?
:2時間前の自分のチャンネル放送をすっぽかして後輩の凸待ちに!?
まさかのあるてま1期生箱庭にわ先輩の登場でチャットも大混乱だった。
当然、わたしは一度も会話したことがない先輩の突然の登場に視聴者以上に混乱している。
えぇー……だってこの人さっき自分の配信サボって、代わりに急遽きりんさんがにわ先輩のチャンネルで動物図鑑解説する枠取ってたのに。
なんでここにいるの……。
「YOYOYO後輩が凸待ちするって言うからYO来てやったぜYO」
「あ、あの、抑揚なく唐突にキャラ変するのやめてください、付いてけない……」
この人声のトーンが一定なせいで言ってることとテンションがチグハグなんだよなぁ……。
流石はあるてまイチの問題児、人を振り回すことにかけてはナンバーワンだ。
「まあ冗談なさておき、10万人おめでとうございます。にわさんも先輩として鼻が高いです」
「あ、ありがとうございます!」
「まあわたしはチャンネル登録者数20万超えてますけど」
「祝いに来て言うこと!?」
「おや? 回線が悪いのか都合の悪いことは聞こえないっすね。いやー困った困った」
:箱庭さんマイペース過ぎん?
:何だこの独特な生き物……
:実はあるてまのセンターってにわちゃんなんだぜ
:謎のカリスマと中毒性がある
「ではそろそろにわは失礼するっす。事務所経由でペンギン贈るのでお世話お願いしますね」
「ペンギン!?」
「じゃ。ばいにゃー、にゃーにゃー」
「それ私の! え、それよりペンギンってなんですか!? ちょ、もう切れてる!」
:ばいにゃー
:にゃー付けたり付けなかったりしろ
:今北もう終わり?
つ、つかれた……。
言いたいことだけ言って一瞬で消えていったよあの人。
けどまあ、自分の配信はサボっても後輩の記念配信は見てくれていたので、なんとなく嬉しい気分になったのは事実だ。
はぁ、とため息を吐いていると再び通話が来た。
「あ、えと、もしもし」
「もしもし」
「あのー、お名前の方、いいですか?」
「世良祭。ぶい」
「はい、ふたり目は祭先輩ですにゃーぱちぱち」
:まつりちゃんきたー
:後輩思いの祭ちゃんは来ると思ってた
:お歌枠クルー?
「歌う?」
「歌いません」
「残念……」
顔は見えないけど、しゅん……と落ち込んでいる祭先輩の姿が容易に想像できた。
うぅ、なんか悪い子としたみたいだな。
「じゃ、じゃあワンコーラスだけですよ?」
「! うん、一緒に歌おう」
「じゃあ、最近流行りの曲で──」
:いやーまつねこデュエット良かった
:1番だけのつもりがフルだったな
:てか黒猫さんお歌うまくなってね?
:元から慣れてないだけで磨けば光そうだったからな
:けどまだまだアルマ様シャネルカ祭ちゃんの3強には遠く及ばない
シャネルカ・ラビリット ✓:なのですよ!
「うん、満足した」
「ぜぇ、はぁ……つかれた……」
「じゃあばいばい」
「え、終わり!?歌いに来ただけ!?」
:一期生自由がすぎる
:一方的にペンギン贈りつける先輩と歌って帰る先輩
:これがあるてまかぁ
そろそろ常識人に来てほしい。
まだ2人目だというのに10人ぐらい相手にしたような疲労が溜まっている。
お水をゴキュゴキュと飲んでいると、再び通話音。
常識人、かもん!
「………」
:ふぁ!?
:通話切ったぞ今!?
:誰だよ!
:やっていいことと悪いことがry
相手は十六夜桜花だった。
流石に3連続で振り回されるのは勘弁して欲しい。
Discordのチャットに「なんでー!?」と表示されたので「ありがとう」とだけ返してチャットを閉じる。きっと奴はこれだけでも喜んでるはずだ。
「これいつまで続ける? 個人的にはもうお腹いっぱいなんだけど……」
:全員来るまで
:凸待ちあるてまコンプ枠
:限界を超えろ
「にゃぁー……」
そういえば凸待ちの最後は下着の色を聞くのが作法だってどこかで聞いた記憶があるな。
次の相手に聞くか……いや男だったら普通に嫌だな。
つらつら考えているとまた通話が来た。
正直告知もしてなかったから誰も来ない可能性も考えていたので、途切れなく通話が来ることに少し感動している。
「にゃっ!」
「こんばんわー」
「アスカちゃん!」
「燦ちゃん10万人おめでとうございます!」
「あ、ありがと!」
:お、個人勢も来たね
:最近何かと勢いのある個人Vじゃん
:埋もれてたけど個人の中じゃ古参
:アスカ、頑張ってるな(後方腕組古参面)
「はい、今アスカって呼び捨てにしたやつ屋上な。私はお前より前に推してますー」
「喧嘩はダメだからね?」
「はーい!」
えへへ、記念配信に来てくれて嬉しいなぁ。
:めっちゃデレデレじゃん
:子どもみたい
:黒猫さんは子どもだろぉ!
:ゆいままーまつりねぇーさくやおばさーん!お宅の猫が!
神夜姫 咲夜 ✓:ほう?誰かオバサンじゃ?
世良 祭 ✓:姉です(*´ω`*)
「えっと、こんな大人数の前で喋るのなんて初めてで緊張してます」
「で、でも私より慣れてる感じ!全然大丈夫!可愛い!」
「えへへ、燦ちゃんのお祝いだから勇気出して駆けつけちゃったよ」
:健気でええ子や
:天使かよ
:片や欲にまみれた淫猫
:はぁ〜〜〜………
「え、えっと、何話そうかな」
「じゃあ燦ちゃんがVtuberになって楽しかったこと!」
「んぇ、み、みんなに会えたこと……はっずこれはっず!
:俺も黒猫さんに会えてよかったよ
:燦ちゃんかわいいヤッター
:あのイキり陰猫を手玉に取るとはやるな
「えと、えとえと、他に話題は」
愛してるよゲームでもしようかな、と思った時。
また通話が鳴り響いた。
えー、ブッキング?
「あ、ひとりで時間使いすぎちゃいましたね。じゃあそろそろお暇します。こうやってみんなが集まってるのは燦ちゃんが今日まで頑張ってきた結果だよ、本当におめでとう!」
「あ、アスカちゃーん! そうだ、せめてパンツの色を」
通話前に考えていたパンツコレクション計画は、しかし早々に去ったアスカちゃんによって初っ端から頓挫した。
も、もっと話したかったのに……。
一体邪魔してきたのは誰だよぅ。
「やっと出た」
「ぴっ!? 結!?」
:ここでゆいまま登場だと
:シュラッバッ
:放送事故不可避
「お母様から頼まれてたのにまた女の子に鼻の下伸ばして……」
:お母様?
:ゆいままが黒猫さんのママに娘をくれって!?
:運営のことやろ
「とりあえず! 当分エッチな話題禁止!」
「えぇ!?」
そ、そんな、女の子にセクハラできないならVtuberやってる意味なんて……!
「ど、どーしてもって言うなら私で満足しなさい」
「へ?」
「下着は白! どう、満足した!?」
「 」
「じゃ、10万人おめでとう!」
:黒猫フリーズしてんぞw
:下着の色だけ言って帰るとか変わったな、結
:結たそ最近黒猫に染まってきたな…
:真面目な夏波結さんを返して……
:白助かる
「ハッ、一瞬記憶が抜け落ちた。いったいなにが……?」
まあ思い出せないものは無理に思い出さないのが心情なので、次へ行こう。
さっきからチラホラとチャット欄には通話へ来ていないライバーが何人か顔を見せている。
この人たち、絶対通話のタイミング見計らってるよなぁ。
と、思っていると再び通話音。
「おはラビリーット!」
「邪魔するぞ」
「あ、ふたりもいっぺんに」
:フラップイヤーキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
:凸待ちでユニット来なかったらどーしよかと
:飛び出そうとするシャネルカと諌める咲夜様が見えた
:↑脳内補完助かる
「黒猫さん、10万人おめでとうなのです!」
「妾たちもゆにっととして誇らしいぞ」
「あ、ありがとうございます」
実は2人が来てくれて一安心している私がいた。
いやだってユニットを組んで何度もコラボを重ねてきたのに、記念の凸待ちで来てくれなかったら割とガチで泣くもん。
その時はコミュ障だからこっちから言い出せずに、相手の様子を窺いながらコラボをして微妙な空気のまま終わると思う。
なんにしても来てくれてよかった……。
「さて、では下着の色を言うんじゃったか?」
「えっとシャネルカは──」
「違うが!? 人の配信を下着コレクション枠みたいに扱わないで欲しいんですけど!」
「む、黒猫相手なら吝かではなかったのにのぅ……」
「うっうっ気合を入れてきたシャネルカたちがおバカさんなのですよ」
「うぇ!?」
:不仲
:あーあ解散
:引退だわ
:黒猫さんが下着の色を聞かないから解散したユニット
:詫びに下着の色言え
「なんで私が言うんだよ! おバカ!」
「では、我々もここまでじゃな……」
「短い間だったけど楽しかったのですよ、さようなら黒猫さん」
「ま、待って! 縞々! 青と白のストライプ!」
:報告助かる
:今日は可愛いなオイ
:リアルで縞パンって地味にハードルキツくね
:燦ちゃんなら似合う
「ミッションコンプリート、でございます!」
「では、今宵はもう御開じゃ」
「おつキャローット」
「は、え、終わり!? もう終わり!? 私が下着の色言っただけじゃん!」
あ、本当に通話切った!
な、なんて奴らだ。
普通もっと思い出話に花を咲かせたりするもんじゃないのかユニットってのは。
ぷりぷり怒っているとまた通話が飛んできた。
そろそろ終わってもいい頃かと思うんだけど、終わりの気配は一向にやって来ない。
えっと、次は誰だろう。
「余である」
「げぇ、べんとー先輩!?」
「猫よ、何だその反応は。余が来たのだ、咽び泣くが良い」
「うぇー、ありがとうございます……」
:べんとーキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
:ヴェンデット・ハルキオン様!
:まさか凸待ちに参戦されるなんて!
:もしかしてだが、凸待ちでも?
「うむ、半額弁当だ。今日は豆腐ハンバーグ弁当が半額だったのでな、勝ち獲ってきたぞ」
「え、と……それでべんとー先輩はなんで凸待ちに……」
「家臣の記念枠、祝わぬ余ではない。あるてま2期生クソ雑魚コミュ障陰キャドスケベ黒猫燦よ、10万人達成褒めて遣わす。あとで事務所を通して半額の唐揚げ弁当を贈ろう」
「家臣じゃないが! 見切りの弁当とか届く頃には腐ってるが!」
「フハハ、良い戯れることを許す」
は、話通じねー!
これだから我王やべんとー先輩みたいな、独特の世界観を持つ相手は苦手なんだ。
我王はまだ話が通じる分相手のしようはあるんだけど、べんとー先輩はこっちを振り回すタイプだから本当にしんどい。
会話したこともなかったから、まさか来るなんて思ってもみなかったな……。
「はむ、もぐ、もぐ。……うむ。半額弁当は廃棄間際、つまり味が最も染みているタイミングでもある。豆腐ハンバーグの和風ソースが中にまで染みていて大変美味だ、10点をやろう」
「なんで凸待ち来て半額弁当のレビューしてんの……」
「ところで猫よ。余の下着、気になるか?」
「興味ねーよ! もう帰って!?」
「ふむ、度重なるイベントと配信でストレスが溜まっているのだな。唐揚げ弁当と共に鯖味噌弁当を贈ろう。カルシュウムを取るのだ、猫よ。フハハハハッ」
そしてべんとー先輩は結局半額弁当を食べ終えるまで居座った。
:ハルキオンに栄光あれ!
:フハハハハハハッ
:余である、半額弁当を喰らえぃ!
:キャラが濃すぎるぞべんとー!
:結局マイペースにごちそうさままでいるなんて誰が予想した
:黒猫さん完全にダウンしてるし
「はぁ……終わろうか」
リース=エル=リスリット ✓:え
終理 永歌 ✓:まだ凸してないのですが……
来宮 きりん ✓:きりんさんもまだだよー
朱音 アルマ ✓:おいおいあたしを忘れてもらっちゃ困るな
うげぇ、まだまだステルスしてたあるてまの面々が急に現れてきた。
これ本当に全員終わるまで凸待ちしないといけないのかな。
と、悩んでいると再び通話が来たので諦めて出る。
「はいはいどちら様でございますかにゃ」
「紅蓮の炎に抱かれろ!」
「配信終了!!!」