第1部 0.最新研究が示す“大開闢”
最新の研究によると,この世界群は約2600万年前に誕生したという説が現在の世界学では主要な説となっている。現在この世界群で統一的に使われている創造暦は,この世界群の誕生を創造暦0年として世界各地で使用されている。この誕生を【大開闢】と呼び,その誕生後500万年ほどを草創期と呼ぶ。まずは現在分かっているこの世界群の誕生についてをまとめる。
大開闢において始めに誕生したものはこの世界群の中心に位置する一般に「央界」と呼ばれる世界であった。それと同時に5柱の創造神が幼体の状態で誕生したとされている。この5柱の創造神がのちの根源五神族それぞれの祖先となり央界以外の世界の誕生と膨張の原動力となったと推測されている。またこの始源の創造神たちは前述した「誕生と膨張の原動力」という共通した役割のほかにそれぞれが別な役割を持っていたと言われているが,その詳しい内容は定かではない。ここで5柱の創造神について簡単に紹介する。のちのローム神族の祖となるユパイテル,グラーシャ神族の祖となるツェルス,アーツ神族の祖となるヴォーデン,ユキリーム神族の祖となるヤファゴラ,ニフォーム神族の祖となるアマテリアの5柱の神が最初の創造神としてこの世界とともに誕生した神と伝えられ,現在でもこの世界群の各地の神話で登場しているのが見受けられる。
5柱の創造神は創造暦200000年頃に初めて自らの意思で原始的な生命体【マグナ・プリモディアル】を創ったと言われている。この時から始まる生命の歴史についてはまた別の本で述べるとしてここでは割愛させていただく。マグナ・プリモディアルは爆発的に進化を遂げた。世界各地の化石などから推定すると最初の菌類の登場が創造暦200万年,植物の登場が創造暦300万年,最初の動物の登場が創造暦400万年であり,600万年頃までにはヒューマン,エルフ,竜などの複雑な生物もその原型がほぼ出揃った。これは央界の中だけでなく世界群全体で起きたことである。マグナ・プリモディアルは現在確認される生物で唯一世界同士の境界に影響されない生き物であることからも示される。そしてその進化と繁栄によって大開闢の1000万年後頃にはほぼ現在と変わらない生態系が央界では完成した。この頃には創造神たちもそれぞれの神族たちで集まって生活を行なっていたと言われている。ヒューマンやエルフ,ドワーフ,竜などの高度な知能と社会性を持つ生物もそれぞれに原始的なコミュニティを作るようになった。この草創期の原始的なコミュニティに共通して見られる特徴はそれぞれの種族ごとで閉鎖的であったことである。それ故にこのころの世界学の思想は種族の特徴を大きく反映したものになっており自種族本位の考え方が色濃い。次の項からそれぞれのコミュニティの世界学について見ていく。




