周回四天王
「周回四天王って牛頭、九十九の前、キトゥン、シーホースだっけか、懐かしいなぁ。俺、シーホースだけは嫌いだったな、ひたすら追いかけて、足攻撃して転けさせるのが難しいのなんの。」
と当時をおもい浮かべつつ、愚痴れば
「それ、一年以上も前の奴だよ、今は九十九の前、キトゥン、ワイルドハント、ナイトボックスで四天王だよ」とカエデから訂正が入った。
「半分以上即死攻撃持ち何ですが、本当ですかいカエデさん。ナイトボックスなんか殴るだけ即死出る可能性出るから、めちゃくちゃ嫌われてなかったか?」
「ナイトボックス何かは特に対策立てられ過ぎて、今は壁に押し付けられてひたすら攻撃されて終わるくらい悲しいことになってるよ」
驚愕の事実である。
モンスターの中でも最高の強さを誇る覇王級モンスター相手でも、ノーダメ嵌め戦法を完成させた奴の執念が凄い。
「それで、その新生周回四天王に縛りありでやるってのは、ピラミッド方式か?それとも逆ピラミッド?」
ピラミッド方式とは、ピラミッドの様に最初が一番多く禁止事項を増やし、クリアするごとに一つずつ外していく方式である、逆ピラミッドはこれの逆バージョンになる。
主にプレイ動画をあげる時や、自分の腕前を周囲に自慢することに使われるが、公式にもこの縛りは使われており、クリアすることによって手に入る装備もあったりする。
「ん~、特に考えてない。とりあえずその場で面白そうな縛り追加で。多分アッシュとアタシなら、何でも行けるでしょ。ダメなら人増やせばいいし。」
「わかった。じゃあ、最初は何だ?キトゥンか?ナイトボックスか?大穴でワイルドハントは止めろよ?アレどうやっても人必要だからな」
「何で九十九の前だけ外したのかな?なら、期待に応えて九十九の前行こうか! 縛りは、遠距離攻撃禁止ね!」
一瞬目眩がした、気がした。いや、今こうしてる間に俺の身体はモニタリングされてる訳だからありえないのだが。いや、それよりも、だ。
「カエデさんやカエデさん、九十九の前に近接戦闘なんざ悪手中の悪手何ですが?俺、蜂の巣になるよ?」
「アタシだって弓職何だし、アッシュの方が対処しやすいでしょ?遠距離攻撃も近接攻撃も同じくらい火力出るんだから。 よーし、方針も決まったし行くよー九十九神社ー。」
と、カエデの十八番である意見の強行突破で最初の相手が決まる。飛竜便の笛を取り出すカエデを見ながら、俺は諦めと覚悟を胸に九十九神社行きの飛竜便に乗り込んだ。