俺とアイツと家と話
ゲーム周りの物以外必要な物しか無い自分の部屋から、一気に場面が変わり本がぎっしり詰まった年代物の本棚、何時もピッカピカな自己主張しすぎない程度の装飾のなされたテーブル、そして今起き上がった自分が寝ていた場所は座り心地抜群のソファー。
まあ、他にも自慢するポイントはあるが、ここまでにしよう。そう、ここは俺がTwilighitemで作った家の中だ。
「そうだ、昨日はめんどくさくてベッドじゃなくてソファーで寝たんだったか。」と一人ごちると、待ってたと言わんばかりに俺のいる書斎のドアが空き一人の女が騒々しく入ってきた。
「オッスアッシュー、いっつも思うけどあんたの家無駄に部屋多すぎるんだけど!あんたも落ちるときは、何時も違う部屋で落ちるから探すの面倒何だけど!アタシの家みたいに廊下一本で全部の部屋に行けるようにすると楽何だけど!」
赤みが勝った茶髪にポニーテールをたらし、ゴツいゴーグルをカチューシャの様に装備して、作業着の様にやたらポケットの付いた服にはレンチの頭や、アイテムが見える。
腰には折り畳み式の弓がぶら下がり、短パンに長い皮のブーツの間から唯一顔以外の肌が見えて大変よろしい。
美人というより、可愛い系の顔立ちのこいつ(あと、胸部装甲が異様にでかい)はkaede 俺にメッセージを送ってきた奴だ。
「おい、俺の自慢の貴族が住んでそうな邸宅になんて文句付けやがる。いいか、こういう無駄に登らされる階段やら要り組んだ廊下とか無駄に広い玄関ロビーなんて物は貴族邸には必要なんだよ! おめぇの女子力皆無な帰って十秒で寝れる家なんざ家じゃねぇ!ただのカプセルホテルだ!」
「自分でも無駄ってわかってるんじゃん!?」
と少し漫才のような理想の家に付いて話こんだ。
「つ ま り だ、俺の家はそこらの豆腐みたいな家よりも家であると… 待て、そう言えば今日は何かあったんだろ?まあ、内容はだいたいわかるけどな。」
「え?あ、そうだ!そう、大変だったんだよ!前にアッシュと作ったコンパク玉何だけどね、あれうっかりオークションに出しちゃってさー」
「な?!おま、あ、あれめちゃくちゃ素材取るの大変だったんだぞ!アイテムポーチに入りきらない重量オーバーの物でも入る無課金の奴なら喉から手が出る程の!それを!お前は!オークション何ぞにィィ!!」
とカエデの肩を掴み揺さぶりながら慟哭する俺。
「待って、アッシュ待って!直ぐにキャンセルしたから平気だったんだけどね? 結構色んな人に見られてて今も売ってくれってメッセージがバンバン届いてるの!」
「だったら、いいや火消しは自分で何とかしろ。」
「えー!酷い!あたしとアッシュの仲だし、一緒にやってー!」
そんなもんお断りだ。
また、地獄のドラゴンの尻尾を切るだけの暮らしに戻るのは精神衛生上非常によろしく無いのだ。
「てっきり、カエデのことだから、トワイライテムのサービス終了の方かと思ってたがな」
「あ?そっち? んー、まぁ、初めびっくりしたけど最近人居なくなってたしまあ、妥当かなーってさ」
何時もおうむ返しのように同じ内容で騒ぐカエデから、珍しく物わかりのいいセリフが出た。
「あ、そのことについてさ、考えたんだけどね。アタシたちでお礼参りしようぜ!」
「いや誰にすんだよ」
「とりあえず、周回四天王で!あ、普通にやっても直ぐに終わるから縛りありでね!」
とりあえずでぼこぼこにされる周回四天王さんに、今から涙が溢れて止まらねぇぜ