焦りは禁物
本文が短いのが気になる。書き加えてもそれがいらないシーンに見えてくる。
難しいですね、小説。
頭が混乱して、直ぐには状況が理解出来なかった。なんだ、サービス終了って、記念の日に終わるな、その日に地道に貯めた貯金で記念課金しようとしていたのに、畜生!!」
しまった、途中からつい声に出てしまった。落ち着け、今は嘆くよりも如何に早くこのバグ取りのバイトを終わらせるかだ。どうせ、あと一時間も掛からないだろうし……………。
「畜生!自販機オブジェが地面とくっ付くバグなんざパッと見わかるわけねーだろうが?!バグセンサー先輩たまには仕事休んで下さい!」 今度は全部叫んだ。
そんなトラブルはあったものの、他にミスも無く終わり現在時刻は午後の2時、自宅学習の癖に平日の真っ昼間からバイトしてるなんて今更のことだ、とログアウト処理を終える。ログアウトした後に、柔軟体操をしながらイヤホン型接続デバイスをネットに繋げて【Twilighitem】を検索すると、少なくない数が出てくるもそのほとんどが今までの課金した金を返せというものが多かった。
掲示板はあまり見ない様にしていたが、今回だけと自分に言い聞かせて質問をしようとした瞬間、【Twilighitem】内で出来たフレンドのkaedeからフレンドメッセージが届いた。
「ヤバいよ事件だよピンチだよ?!アッシュ今暇だよね!早く来て!」
いつもなら顔文字だらけなのに、今回は彼女にしては珍しく本気で焦った様子が伝わってくるメールだった。
適当ながら、情報収集も済ませたのであちらと答え合わせにでも行こうかと長年使ってきたベッドに寝直す。
視界に映るホーム画面から、【Twilighitem】を選ぶと自動でログイン画面移行する。
「【Twilighitem】を起動中…プレイヤー ash 様 現在の装備画面です。変更しますか?」
そこには、細マッチョな身体に皮鎧と、同じく皮のグローブ。そんな軽装な上半身に対して下半身はゴツく、スカートの様に4つの幅広い鋼の帯が、足を守る様に広がり、黒く如何にも重そうなこれまた鋼製のブーツを履いた、頭の天辺が白く毛先にかけて黒くなっている冷たい印象を受ける顔立ちの青年には、鎖がまとわり付いている。その出所を探れば腰の辺りに片手で使うには丁度良さそうな鎌と巨大な鉄球にトゲの生えた物があった。モーニングスターと、聞けばほとんどの人が思い付くであろう武器を持っていた。
そんな画面を、見せながら感情を感じさせない女の声、ログインログオフでのやり取りや、アップデートの読み上げをしてくれる、システムボイス 通称システムちゃんにを返事をする。
「いや、しなくていい。このまま続けろ。」
「畏まりました、精神疲労あり、肉体異常無し。…ログアウト時に快眠電波による睡眠を推奨します」
「そこら辺はどうでもいい、任せる。」
最後に何か言われたがとにもかくにも、ゲームを初めよう。