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竜怜のハーフ  作者: ナウ
一章・アンデッド戦争
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【ガルボVSダグバルド】

襲いかかってくるレイスにエルフ達は弓を構え矢を放つ。

だがやはり効かない・・・。

ならばと近づいてきたレイスに剣を突き刺す。

しかしこれも効果はなくレイスはエルフの首根っこを掴んだ。


「!!!!!」


掴まれたエルフ達は生気を吸われ声にならない声を上げる。

トレードもまたダグバルドに首を掴まれ力を吸われていた。


「ククク・・・このまま死ねトレード殿」


ギリギリと首を絞めダグバルドはトレードの生気を吸い取り続ける。


「あ・・・が・・・あぐ・・・」


トレードに最早抗う力は残っておらず、あとは吸い尽くされ干からびて死ぬのみの状態だ。


「キイエェェェェェッーーーーー!!」


突然レイスの金切り声が響きわたり一体のレイスが消滅した。


「!? 何だ!?」


ダグバルドは何が起こったのか分からずレイスの声がした方を見る。


消滅したレイスが着ていたローブは地面に落ちており、そのローブの前には一人のエルフの青年が大剣を持って立っていた。


「・・・なる程、あの大剣でレイスを倒したのか、なる程・・・・ん?」


ダグバルドは自分がもの凄くおかしな事を呟いている事に気づいた。

そもそも剣でレイスは倒せない、これは・・・

そう考えダグバルドはハッとなる。


「大剣だと!? エルフと大剣・・・エルフと大剣!?」


エルフに大した腕力はなく、剣と言っても軽量化された小剣(ショートソード)ぐらいしか使えないのは知られた事である。


それをこのエルフは両手で持つ大剣を使うという。

見たところ大剣の中ではまだ比較的短い部類の剣のようだが、大剣には違いなくエルフが使いこなせる代物ではないだろう・・・。

いや、もしかしたら魔法で軽量化されたモノかも知れない。

そして神聖系統の魔法が付与されていて、対アンデッド効果を持つ最高度の剣なのかも知れない・・・が、果たして 。


ダグバルドはその大剣を持つエルフに問う。


「お前がそのレイスを倒したのか?」


「ああ・・・」


エルフは邪魔くさそうに答える。


「何者だ、お前は?」


「ただのエルフだ!!」


ガルボは大剣を構えダグバルドを睨んだ。

その時、ピカッと光る光が戦場を駆け抜けた。


その光を受けたレイスは苦しみだし、あるレイスに至ってはそのまま浄化され消滅した。


ジュアッ!!


ダグバルドもその光を浴び、浴びた箇所から黒い煙が立ち登る。


「ぐ・・な・・なんだ!?」


驚愕するダグバルドを見ながら一人の壮年エルフが口を開いた。


「まぁ、こんなモノか・・・」


そのエルフの姿を見た守備隊の面々が声を揃えて言う。


「バーナード様!!」


バーナードと呼ばれた壮年エルフは持っていた杖を目の前に掲げ念ずる。


ピカッ


杖の先端に埋め込まれた宝玉が光り、再び光がレイス部隊に 襲いかかる。


レイス達は光の直撃を受けたモノは浄化消滅し一部分だけ受けたモノは黒い煙と共に受けた部分だけ消滅した。

ダグバルドは闇の光を強く発し輝く光を遮り防御する。


「バーナードだと?、なるほど貴公がこのルーアクシウムの長か!!」


「いかにも、君がこの軍の指揮官かな?」


「そうだ、ルーアクシウムの長よ

私は全軍の指揮官であらせられるナーガイア様の片腕であり、且つ今回のルーアクシウム戦において魔王2軍の指揮を取るダグバルドだ」


「なるほど」


「その杖は対アンデッド効果を持つ杖だな」


「まぁ、基本的には回復魔法(ヒーリング)効果を持つ杖だが、アンデッドは何故かヒーリング魔法に弱いという特性を持つが故に対アンデッド効果があるかと問われればある事はある」


実体がないレイスが魔王軍の中にいるらしいと聞いてバーナードは宝物庫の中を探し回り、ようやく見つけて来たがこの杖である。


「覚悟しろ、レイスども」


バーナードが杖の先端をレイスに向けて淡々とした口調で述べる。


「あらあら、いけませんわ

そんな杖を振りかざしてわたくし達を困らせて頂いては」


女の声がバーナードの背後からした。


「ん、か・・・体が・・・」


先ほどまで大丈夫だったバーナードの体だったが、今は金縛りにあったかのように体が硬直し身動きが取れない。


「お貸しになって」


女はバーナードの手から杖をそっと外す。


「形勢逆転だな、よくやったマリージュ嬢」


吸血鬼ヴァンパイア部隊を率いるマリージュは杖をしげしげと眺め、先端についている石を眺めながら答えた。


「お安い御用ですことよ、ダグバルド様」


大ガラスを指揮して上の弓兵隊と戯れていたマリージュだったが、下を見るに何やらレイス部隊が危機的な感じだったので下に降下してきたのだ。


「さて、残るはお前だけだぞ剣士よ」


ガルボの周りにいたエルフ部隊はレイス達に生気を吸われ息絶えた者もいれば息も絶え絶えで倒れている者もいる。

他のエルフ部隊は剣や弓を構えながらレイスから距離を置いて周りを取り囲む形でガルボとダグバルドのやり取りを見守っていた。


「要はお前を倒せばいいんだろ?、ダグバルドだっけ?」


「フフフ・・・倒せればな」


ガルボとダグバルドが睨み合う。


その時・・・


「デュラハン部隊、参る!!」


甲高い若い女の声が響きわたり、馬と馬に跨がる真っ赤なオーラを纏った首なしの騎士が門の入り口から飛び込んできた。

片手は手綱、片手には自分の生首を持っている。


続けて次々と同じデュラハン部隊が飛び込んでくる。


「ダグバルドさん、城に向かえば良いの?」


最初に飛び込んできたデュラハンの女がダグバルドに聞く。


「うむ、城に女どもは居よう

城に行き女どもを確保せよ、辿り着くまでに邪魔するであろう守備隊を一掃しながらな」


「了解、いくぞ!!」


女の掛け声にデュラハン部隊の女達の「了解」の声が高らかに響く。


馬を走らせ城に向かおうとするデュラハン部隊を止めようと周りにいたエルフ部隊が進路を阻む。


「どけ、邪魔だ」


馬の突進を受けたエルフ達ははね飛ばされていく。


キィン!!


弓の矢を剣で弾きエルフ部隊を切り捨てていき、進路を確保したデュラハン部隊は一路城への道を疾駆しだす。


ガルボはデュラハン部隊の動きを耳で捉えていた。

デュラハン部隊をもっと真近でキチンと見たかったが余所見をしている余裕はなく、目の前にいるダグバルドに集中している。


「面白いエルフだ」


そう言うと、ダグバルドはニヤリとした笑みを浮かべ剣を抜き放った。







「アトニーノとかいう女の尻は良いな、乳もデカくて揉みごたえはありそうだ・・ちっ、まだ19のくせに」


ルーアクシウムの近くに陣取っている魔王軍の一つにフレッシュゴーレムを従えるゴドウィンの陣営がある。


現在ルーアクシウムに来ている軍団長は二人。

ゴドウィンと骸骨使(スケルトンマスター)のワグーである。

他の部隊を率いているのは各軍団の副長達だ。


悪霊(レイス)部隊を率いるダグバルド

吸血鬼(ヴァンパイア)部隊のマリージュ

食屍鬼(グール)部隊のパピリコ

腐死体(ゾンビ)部隊のアトニーノ

それ等がそれぞれ部隊を指揮し軍団長はルービアンカにて待機している状況だ。


ゴドウィンもルービアンカで待機していたいが、フレッシュゴーレムの指揮や動かすのは弟子たちではまだ無理であり、面倒だがゴドウィン自体が出る事になった。


ワグーはスケルトンを動かすのはその弟子達でも出来るのだが、本人が出たがりの人間なので二軍で構成されたルーアクシウム攻城戦にわざわざ参加してきている。


その中の一つにゾンビ軍団の副長であるアトニーノという女がいて、顔合わせの時に見たが、19歳の年齢の割に肉体的に極めて良い体付きをしていた。


「強引に食っちまうか」


・・・とは思うが、魔王軍の副長を食ってリシープと揉めると総司令官であるナーガイアが五月蝿いのでそれは出来ない。


流石にナーガイアの怒りを買うのはゴドウィンとしても避けたい所なのだ。


喰屍鬼グールのドルチェも狙っていたようだが、アトニーノからは相手にされておらず適当にあしらわれていた。

ちなみに、ゾンビ軍団と言われているがアトニーノが率いているのは首なし騎士であるデュラハン部隊である。

目的は分からないが、デュラハンの騎士達が今回の対エルフ戦に参加した時に配属された先はリシープ軍団であった。

理由はリシープが唯一の女性軍団長であるからだ。


リシープはやる気のない女でアトニーノと年齢は同じである

ただ肉体的には同じ女とは思えない程、貧乳で尻も小さく顔の出来もアトニーノよりは良くない。


アトニーノかリシープのどちらとやりたいかと問われれば、アトニーノ1択である。


しかし


「あー・・やっぱりドレッテイやエルザがいいな」


ただ、どうこう言っててもゴドウィンの好みは30代前半~中頃の女であって10代のガキではない。

ドレッティ達はルービアンカに置いてきたから近くにいるアトニーノに目がいっている。

ただそれだけの話だ。


「そもそもここで俺の軍団なんぞいらんだろ」


ダグバルドのレイス部隊がルーアクシウムに入った以上エルフ共に勝ち目なはない。

ただルーアクシウムが陥落するのを待つだけの仕事だ。

ゴドウィン軍団は城が落とされ女達を連行させる為に必要な人員にしか過ぎない。

それならスケルトンや傭兵どもでも事足りる。


「正直つまらないし下らねぇ

くそ、だが・・・借金返済の為にはここは我慢の時だ」


1人ぼやくゴドウィン

ゴドウィンの言う借金とはアンナに使っている【核】の話だ


そもそも殺すつもりはなかったアンナを復活させるには【核】が必要だが、持っていた【核】はエルザとドレッティに使っている為に購入する必要があった。


仕方なく購入を決めたゴドウィンはあちこちのツテを巡り探し回る。

そもそも店頭に並んでいる代物ではなく、あったとしても目玉が飛び出る程の金額だ。

しかし、早くしないと死体が腐ってくる。

焦りながら友人経由でようやく一個比較的安くで手に入れる事ができた。

そのお陰で切り刻める肉人形が手に入ったが借金はやはり痛い。


「ちっ」


ゴドウィンは舌打ちした


エルフ本軍がここに辿り着くのはまだ四~五日かかる。

ルーアクシウムは早ければ今日。

遅くとも明日には落ちるだろう。


「辛抱だな・・・」


活躍の場が無いつまらない戦場にゴドウィンは苛立つが、何とか自分に言い聞かせ気分を落ち着かせた。

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