単車ヤローの名は瀬田 圭二
レ〇プされそう……って、あん時はマジで必死だったから別に何も思わなかったけど、今はちょっとアレだな……。
で、今の状況はっつーと――
「な? そうなんだろ? あん時、喧嘩したヤツだろ? なんか面影があるもんな」
再び壁に追い込まれた状態で、しつこく同じ質問を壊れたオモチャみてーにしてくる。ホント、ウゼー。
一瞬、殴ってやろうかと考えたが、この身体では返り討ちにされ好き放題ヤられ……んー、コイツの場合はゼッテー無さそうだけどな。
このままじゃ本当の事を話すまで解放してくれなさそうだし、本当の事を嫌々……マジで嫌々だからな! 話した。
「やっぱりな、俺のカンは正しかったな……つーか、オメェ……や、何でもねぇ」
「ア? 何だよハッキリ言えよ! このヤロー」
「……瀬田 圭二だ。オメェは?」
このヤロー、話しの……何だけ? 腕? まぁ、何でも良いけどフツー自己紹介に入るか? バカじゃねーの?
バカにしようと瀬田の顔を見たら、ジッーと目を見つめ返し目を逸らさない。コレって、男同士……いや、他人から見たら女と男だな。いや、それでもアウトだろ!
でも瀬田は、今まで見てきた他の不良とは何となく違って面白そうだ。ダチとしてなら別にいいや。
「市川 隼人」
―――
1回ある事は3度あるだっけ? 他にもナンパしようと来るバカがいるが、隣を歩いている瀬田のおかげ……って――
「つーか、何でテメェが付いてくんだよ! コラ」
「ア? そりゃ決まってんだろーが! こんだけ可愛い娘が歩いてっと心配だからだ!」
「テメェは父親かよ! これから行くトコは……って、場所変えるぞ」
何故、場所変えようとしたのかそれは、周りの大人の視線がキツイからだ。
どんな視線かと言うと、「あのカップルは仲が良いわね~」とか「あの頃の旦那もあんな事を言ってたのよ」とか「昼間から学校も行かずにイチャついてんな」とか誤解している大人が多く絶えきれない。
目的地のショッピングモールに逃げ込み……余計に誤解される場所だよな……。
「ヘェー、これから行くトコって……ショッピングモールだったのか」
「ああ、これから買うモンはゼッテー知られたくないしオメェが見たらいけねぇモンだから、付いてくんなよ」
「もよォ、万が一って事があんだろ?」
今ここで、瀬田をブッ殺しても世の中の女は許してくれるよな? 何故、男と一緒に下着を買わないと……コレって完全に女の台詞じゃねぇか……。
「万が一って事も億が一って事も有り得ねぇから、付いてくんな! いいな! ゼッテーだぞ! もし、付いてきたらテメェ……マジでブッ殺す」
こんだけ言っとけば、いくら瀬田でも付いて来ねぇだろ!
つーか、女の下着とか見たり触ったりした事はあるけど、サイズとかもそんなに詳しくねーし、着けた事もね……あったら変態だな。ま、店員に聞けば分かるだろう。
今更だが、たった1人で行くというのもちょっと抵抗があるし、瀬田を連れていく訳にはいかねぇーし。母親と……ってあの人も忙しいし……。
「どこに行くのか知らねーけど、近くまでなら一緒に行ってやる」
「なっ! テメェはマジで……」
さっきと同じように目が合って文句を言いたかったけど、何故か瀬田に向かってこの時は言えなかった。
瀬田とは途中で別れて、いざ未知なる世界に足を踏み入れる。
「いらっしゃいませ!」
ス、スゲー! こんなに大量の下着見たことねぇー! ん? あの下着有名人のあの人が――――
しばらくお待ち下さい。
「ありがとうございました!」
入る前の未知なる世界は抵抗があったけど入ってみたら、色んな有名人の下着姿を妄想したりして楽しかった。また、行きたいとは思わねぇけど。
「終わったのか?」
って、まだ居たのか瀬田。暇人なのか?
でも、瀬田が居なかったら買えなかったんだよな。マジで他の不良とは違うな。
瀬田にはカリを作りたくなかったけど、結果的は作ってしまったから何か奢ってやるか。
「ああ。……何か奢ってやるよ、オメェが居なかったら買えなかったしな。何がいんだよ? 瀬田」
「……フッ。 じゃ、今晩デートしようぜ! 市川」
「はぁ? ザケんなテメェ!」
「何か奢るより安いだろ?」
クソちょっと認めたからってチョーシ乗りやがって! 何が「今晩デートしようぜ!」だキメェんだよ!
でも、マジで憎めねぇんだよな。
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