突然、女の身体に
年少から出て1週間が経つ。
いつも通りに目覚め布団から出ると違和感だらけだが、まだ寝惚けてると思い洗面所に行き鏡を見ると女がいた。
「ア? 誰だコノ……ん?」
俺が喋ると鏡の女も喋り……って、声がいつもの声と違うような……。
つーか、何でこんな胸が出てんだ? 気になり触ると……柔らかいコレって、まさか女の……や、ヤベー!! いつでもヤリ放題じゃー……って……。
「ん?……自分で揉んでるっつーことは、ま、ま、まさか……お、俺が……お、女に?」
嘘であって欲しい。そう思い全裸になると、俺のミサイルと手榴弾2つが綺麗に無くなっていた。
下の武器が無くなり上に少しデカイ手榴弾が出来て、完全に女になったと思うと泣きたくなる。
「な、何故……俺が……」
「隼人、朝からなに……って、隼人なの?」
「……ああ、俺だよ」
朝起きて自分の子どもが、男から女に変わって流石の母親でも……って、何この人は目を輝かせてるんだ?
「可愛いーー! ホラ、お母さんにギューってさせてーー!」
「なにバカな言ってんだ!! 変態か!」
「別にいーじゃないのよ! ホラァーー」
「ヤーメーロー!!」
何だかんだで、色々と……本当に色々とあった……。
変態になった人間は本当に恐ろしい。
母親から聞いた話で分かった事がある。
ここ数年で発見された謎の病気で男から女、女から男になる性転換病という、人の人生を狂わせるタチの悪ィ病気のせいで女になったらしい。
この病気を治す方法はなく、誰が、いつ、どこで病気になるのかさえ分かっていないらしい。
「ホント、迷惑な病気だ」
この性転換病のお陰で、「女性用の下着を買った方がいいわね」と母親が言い、買いに行く事になった。
しかも、言った本人は――
「これから大事な仕事があるから、悪いけど1人でお願いね」
と、息子……いや今は、む、む、む……言いたくねぇ。言ってしまったら、何が崩壊しそうだ……。
そして現在は、駅前のショッピングモール前に来ている。
地元よりは田舎だが結構、可愛い娘が多いな……
「ねぇねぇキミ、もしかして今から――」
って、クソが俺にナンパしてんじゃねぇぞ。
「何だ、テメェ! ナンパなら余所でやれよボケが」
「チッ……女だからってチョーシ乗んなよ!」
ナンパ男がその場から無理矢理、連れ出そうとするが、俺もそんなに甘くは……って――
「暴れんてんじゃねぇ」
抵抗して踏ん張ろうとしても簡単に腕を引っ張られ、どんどん人気のない裏道まで引っ張られる。
(ハハハ……マジでヤベェーな、コレってレ〇プされる前……だよな……)
地元の仲間にも同じような事をしていたヤツがいる。だから、これからされる事が分かった。
正直、初めてが誰でもいい……って、変態的な発言だから……他の言い方って、無いよな? つーか、俺は男だし。
「へへ……ここなら誰にも邪魔ァされねーな」
「いっ……!」
壁に押し付けられ抵抗出来ないよう、両腕を片手で拘束し、もう片方の手で胸を乱暴に揉まれる。
「ヘェー、意外とデケーな! どんな味がするか楽しみだ」
(ヤベー、マジでヤベー! このままじゃ、マジでレ〇プされる……何か手はねぇのか?)
どうにかレ〇プだけは回避しようと考えるも、この身体ではどうしようもなく、されるがままでジーンズのチャックにも手が伸びてくる。
最後の悪足掻きでもしようと、足を動かすも少ししか動かせず、ついに平べったくなった部分に触れ指を動かす。
「オイ、テメェ! 何してンだ」
「ア? 誰だ? オメェ」
どっかで聞いた台詞にどっかで聞いた声。
ナンパ男が、どっかで聞いた声のヤツに向かって行くも2、3発殴られ終わった。
「大丈夫か?」
「あ! テメェあん時の」
どっかで聞いた声のヤツは俺と喧嘩した、単車ヤローで前よりかデカくなってやがる。
当然、単車ヤローは女に……俺の事が分かってなく、「誰だコイツは?」みたいな顔をしている。
「えっーと、どっかで……」
「ア? ……じゃなくて、会うわけねぇ……でもなくて……」
「? ん? よーく見たら、あのヤローに似てんな……」
単車ヤローにこの姿はゼッテー見せたく無かったのに、こんな裏道で再会するとは何か持っているのかも知れない。
しかも、女……俺に気付き始めやがった。
「あ! アイツだ、俺の単車を見ていた……そうだろう?」
自信満々に答える単車ヤローの表情と喧嘩している時の表情の違いに、胸の奥が一瞬だけドキッと高鳴ったような感じがした。
この時から既に圭二の事が……って、死んでも言わねぇーけどな。