プロローグ
初の連載作品です。
読んで貰いたいと思っております。
辛いコメントも有難いのでよろしくお願いします。
ふと、長い夢から目が覚めたような感覚に陥る。
辺りを見回す。
ここは俺が通う学校、鶴美町立藤が丘学園だ。
新校舎前か。
辺りは薄暗く、明かりと言ったら月の光くらい。
空を見上げれば、月が輝いている。
今日は満月だ。
こんな夜なら気持ちよく寝れるのだけど。
そう考えていたのも束の間。
『グギ…ギガギガゴ…グゴ』
後ろから妙な聞きなれたうめき声が聞こえてくる。またこの夜が始まった、と大きくため息を吐く。
『グゴギ...ギゴ…グガアァァ!』
おれの後ろから瞬時に飛びかかってきた怪物。
『うおぉぉあぁっ!』
俺は腰に差している2本の刀のうち1本の刀を思い切り抜刀し怪物を叩っ斬る。
『グゲガフッ!』
怪物は真っ二つになり、血が吹き出し地面に倒れこみ、消えてなくなる。
辺りは血でまっかに染まり自分まで真っ赤な血で染まってしまう。
そんななか、頭からなにか信号かノイズやらが聞こえてくるのがわかる。
『…ト君…ヨシト君?無事?』
『ん?あぁ大丈夫だよ明日川さん』
頭から名水のように澄んだ声が俺の心体を癒す。
いいや、間違えた。
声が聞こえてくる。
『ごめんね。敵がいるって教えるの遅くなっちゃった』
『俺の索敵ならあいつらなんか余裕で見つけられるから大丈夫。』
余裕を見せておかなければこの人、明日川奈々子さんは心配性だ。何度も無線で話しかけてくるだろう。
すごく嬉しいけど。
『よかった。でも気をつけてね。索敵でも見つけられないのがいるから』
『ありがとう。そのときは頼るから心配しないで』
『うん!じゃあまた!………』
頭から送られてきた信号かどうかわからない現象は明日川さんの魔力を使った技みたいなものだ。
また、彼女の声が聞こえなくなったと同時に、あの獣のうるさくも耳障りなうめき声が聞こえてくる。
それは地面の奇妙な穴から続々と姿をあらわす。
『グガアォー!ガァー!グヘア!』
『グオァー!グオァー!』
何体いるのかわからないくらいの量が俺の周りに立ちはだかる。
こいつら急に現れたりするから嫌いだ。
ほんと夏急に繁殖しだす虫みたい。
俺は2本目の刀も抜刀する。
そして構え、小さいため息をつき、異形の怪物には届くかどうかわからない言葉をかける。
『うるせーよてめえら。全員……ぶっ殺す!』
俺はその夜、何体もの赤い鎧を纏った異形の怪物を殺した。
これは、やつらと俺たちの殺し合い。
やつらを皆殺しにするまで、それか、この学校を卒業するまで終わらない殺し合い。
何度、この夜を迎えただろう。
数えてないのでわからないが、俺はこの夜が嫌いだ。
退屈だった日常がとても充実している日常に変わったとあの日まで錯覚に陥っていた。
あの日を境に、退屈だったあの日常を取り戻すと決意した。
そう。俺が望んでいた日常はこんなものではない。
読んで下さった方ありがとうございます。
1話はすぐに投稿しますのでお願いいたします。