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「優刀?」
なにか、様子がおかしい。
がちゃん、と玄関の扉が閉まる音がやけにうるさく感じて眉を顰めた。
帰るってどこに?家じゃないって言っていた。それでも、優刀の帰る場所なんて自分の家くらいしかなくて。
胸騒ぎ、嫌な予感。ざわりと心臓が騒ぐのはただの思い過ごしだろうか。いや、それならいい。でも昔から私の悪い予感は結構当たっているから嫌なの。
「んー、」
電気消すだけだったらすぐ帰ってくるはずだ。それでもいてもたってもいられなくて、テレビの電源を消して立ち上がった。
現在時刻は午後9時前。多分お母さんもお父さんもそろそろ帰ってくるはず、ふたりが帰ってくる前には優刀を家に連れ返さなきゃ。
そうと決まれば行くしかない。
出て行った優刀を追いかけるように、玄関の扉に手をかけた。