現状確認(3)
だいぶ遅くなってしまいました・・・
「・・・・・うわぁ」
何も言えねぇ・・・
想像を、遥かに超えた世界だった。
人が居ないのはまだいいとして。
龍はさすがに予想していなかった。
まるでゲームの世界みたいだ。
「・・・説明を、お願いしてもいいかな?」
実際に見ても、混乱するだけだった。
「やっぱり驚きますよね・・・」
片方がそう言う。
「私たちは、別に何とも思いませんけど」
もう片方が言う。
まぁ彼女達は、物心付いた頃からこの世界に居たわけだし。
こちらの世界が常識なのだろう。
「この世界では人間は、数千年も昔に滅びてしまったことになっています」
「よって、この星は人間以外の種族が支配しています」
「この街は少し前に暴動が起きていて、今は私たち以外誰も住んでいません」
「しかし街の外に出れば、色々な野生動物が歩き回っています」
「そして、ここから半日ほど歩いたところに、ひとつの国があります」
「エルフの王国らしいですが・・・コミュニケーションは取れていません」
説明は以上です、と彼女達は声を揃えて言った。
「・・・・なるほどね」
信じるしかないだろう。
彼女達が嘘をつく理由も無いし。
それにしても、本当にとんでもない世界に来てしまったなぁ・・・
先が思いやられる。
「とりあえず、納得したよ。説明ありがとう」
とりあえずお礼を言った。
驚かれた。
「・・・あっさり信じちゃうんですね」
「いや、だって信じるしかない状況だし・・・・それに、君たちのことはそれなりに信用してるからね」
「信用・・・してくれてるんですか」
「いや、だってここに来たばかりの僕に親切にしてくれるしさ、そんな君たちを疑うわけが無いだろ?」
・・・あれ、何で二人とも俯いてしまうんだろう。
顔も赤いように見えるし。
「ごめん、何か変な事いったかな?」
そう訊くと、彼女達は慌てて
「「何も変なこと言ってませんよっ!!」」
と、見事にハモりながら、それを否定した。
・・・双子ってすごいなぁ。
「そう?ならいいんだけど・・・」
これからどうしようか。
街の外に出てみたいところだけど、もう日が落ちかけている。
どんな野生動物が居るのかは分からないが、薄暗い中を歩き回るのは危険だろう。
エルフの王国にも行けそうにはないし・・・
「・・・今日はもう休むか」
色々なことがありすぎて疲れてしまった。
外へ行くのは明日でいいだろう。
「あ、じゃあ夕飯の支度を・・・」
「いや、お腹空いてないから。僕は遠慮するよ」
「そうですか・・・」
どうして残念そうな顔をするんだろう。
よく分からないな・・・
「じゃ、おやすみ」
そういって僕は家の中に戻ろうとしたが、
「あ、待ってください」
引き止められてしまった。
「何?」
「寝る前に、これを差してください」
そういって目薬を渡された。
「・・・これは?」
「この世界に適応するための薬です」
「・・・?」
どういうことだろうか。
変な薬には見えないけど・・・
「・・・分かったよ、じゃあ、お休み」
明日には分かることだろう。
そう言って今度こそ僕は家の中に入る。
寝室に入り、ベッドに横になる。
そして渡された目薬を言われたとおりに差して、僕は眠りについた。
次はもっと早く出せるように頑張ります