ある日の朝
ピピピ...
ピピピピピピ...
私は眠い目を薄く開け目覚ましを手探る
「んぅ...」
私は見つけた目覚ましに向かってぐっと腕を伸ばした
もう少し寝ようとうっすらと視界がぼやけていった瞬間
いっきに眠気が去りそして背筋が凍りついた
「しち...じ...よんじゅ...?!」
こうしちゃいられない!と布団を跳ね飛ばし飛び起きた
どうして起こしてくれなかったのかと
歯軋りをしながら髪を梳かし、顔を洗い、
制服を着て、食パンにかじりついた
つけっぱなしのテレビにデジタルに映し出された時間は8時3分
『きゃぁぁぁああ!!助けてぇ!』
ヒーロー系のアニメにありきたりの黄色い台詞が耳に障る
「...助けてほしいのはこっちだくそっ!」
テレビに毒を吐き鞄をひったくり家を飛び出した
電車通の私に残された時間はあと5分弱
この電車を逃すと遅刻決定ブラックリスト行きだ
「間に合う...か?」
ポツ
急に私に当たったそれは冷たくて
「あ...れ?」
ポツ
それがすぐには何だか気づけなくて
ポツポツ
走るスピードを緩めた
「雨...」
完全に足を止めたとき、私の顔に当たったそれは
私の全身をこれでもかというように濡らしていった
「はは...運悪ぃ...」
絵の具で描いたような灰色に薄暗く染め上がった空をただ眺め
そして、ため息をついた
携帯が私に残された時間が0になったのを告げた