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 side千夏


はっ、はっ、はっ……。

 ん?あれ、ここは…?

 いつの間にか、病院を飛び出していたらしい。

「ふぅ~、っはぁ~っ」

 立ち止まり、息を整える。

 そうしている内に、だんだんと先ほどのシーンを思い出していた。

「まさか、口が滑ってしまうとは…」

 まいったなぁ。ごく一部の友人にしか打ち明けていなかった気持ちを、勢いで、しかも本人の前で打ち明けてしまうとは…。

 でも、事故とはいえ忘れて欲しくなかった。憧れの先輩との…キス。


 大河先輩を初めて知ったのは、入学式。

 何かの手伝いで、式典に参加されていたようだった。

 そのときは、女子なのに背が高い人だな~、という程度。

 その後、部活動を決めるための仮入部期間で陸上部に行ったとき、デモンストレーションで百メートル走が行われた。

 その時、なんと他の部員に混じって、大河先輩が走ったのだ。

 結果は、接戦の末の一着。既に一目置かれていたとはいえ、、部員をを押さえて一着とは…衝撃的な事実に驚いていた自分がいた。

 それから、色んな噂を聞いた。

 テストでは、必ず学年上位にいるとか、スポーツ万能で時々助っ人をしてるとか、あまつさえコーチみたいなこともしてるとか…。

 実は、先輩達と絡んだのはこの前の事故が初めてじゃない。

 過去に廊下でぶつかったことがある。

 あのときは、前が見えないくらいの資料を抱えて、準備室を出た瞬間にぶつかった。

 実際には、もう一人の背の高い人にぶつかったのだが…。


 ドンッ!

「きゃぁっ!」

「うわっとぉっ!」

 バサバサッ!

 あ、床に倒れる…。

 ……………。

 あれ?衝撃がこない…。

「だ、大丈夫?」

 状況を確認。

 なんと、大河先輩が下に潜り込んで私を受け止めてる!?

「いっちゃん、間に合うた?」

「ん、なんとか」

「せやったら、こっちを何とかして~。ハルが重くて」

「重いとはしつれーなっ!」

 ぶつかった本人は、もう一人いた生徒を押し倒していた。

「もう一度聞くけど、大丈夫?怪我はない?」

「は、はい…」

「良かった。それじゃあ起こして…っと。さて、あっちも救出するとしますか」

「早うして~。胸がつぶれる~」

「そこまで重いのか、あたしはっ!」

「誰にでもない、ハルにつぶされるのだけは堪忍や~」

「そこまで言うかっ!菜々に絶望するぞ」

「もう、漫才はいいから、ほら」

 ハルと言われた背の高い人を引きはがす。

「いったい、なにが起きたんだぁ~?」

「春菜の前方不注視」

「原因はあたしかいっ!」

「…すいません。私が注意してなかったから」

 原因の一つである私は、平謝りする。

「いいんよ。全てハルが悪いんやから」

「…友達やめるぞ?」

「それよりも、散らばった物を回収しよう」

「おぉ、とんでもないことになってるなぁ」

「スルーですか…しくしく」

 先輩の一言で、資料を回収し始めるみんな。

「あわわ、私やりますぅ」

「いいよ、みんなでやった方が早いしね?」

 そういっている間も手は止まらない。ものの一分で、ばらまいた全てを回収してしまった。

「ね、早かったでしょ?」

「あ、有り難う…ございます」

 私は、しどろもどろに返事をしてしまった。

「春菜も悪いけど、貴女も気をつけてね?」

「まだ言うか」

 ぶつかった本人にも謝らないと。

「すいませんでした」

「いいよいいよ。後でいちみを締め上げるから」

「…ほぉ~っ、後ろを振り向いた瞬間にぶつかったのに、そういう台詞を吐くんだぁ~」

 先輩の背後から、どす黒いオーラが見えた…気がした。

「あ、あはは…そうだったかなぁ~?……ゴメンなさいスイマセン勘弁して下さい」

「そちらさんも気ぃつけてな。早ぅ戻ろ」

「そうね。それじゃ」

 三人組の先輩方はそう言って去っていった。


 程なくして、友人の一人が駆けつけてきた。

「千夏~!すんごいラッキーじゃないのっ!」

「ら、ラッキー?」

「だってあのお三方が、かの有名な『文武両道三人組』なんだよ?」

 文武両道…三人組?

「そう。三年の先輩を差し置いて、人気上昇中の」

 そうなんだ…。

「わたしら後輩では、なかなかお近づきになれない方達だよ。知らなかったの?」

「一番背の高い人だけは、知ってたんだけど…」

「…何々?ひょっとして、ホレちゃった?」

 ば!バカなことを…ううん、そうかも。

 もの凄くしっかりしていて、トラブルにも動じずに対処してたし、何より抱きしめられちゃったし…。

「ははは、顔真っ赤だよん?」

 ええっ?!


 そんなことがあって以来、私は先輩を密かに想い続けてきた。

 それなのに…。

 いきなりあんな告白をして、先輩引いちゃったかな?

 しかも、逃げ帰ってきちゃったし…。

 あぁ、これから先輩にあったとき、どういう顔をすればいいの~っ?


病院飛び出した後の千夏視点です

3人組との馴れ初め?な感じです


…なんか、ぶつかってばっかだなw


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