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夏休み突入前に避けられないイベントですw
今回のネタは、それすら前振り…?
side一美
いよいよやってくる。
恒例の『アレ』がやってくる…。
「アレって何だ?」
「何やろ?想像つかんな~」
「だ~か~ら~っ、独り言につっこむな!」
「そう言われても…なぁ?」
「つっこまずにはいられない、悲しい芸人の性なんよ」
「菜々美先輩は、楽しんでるようにしか見えないんですが…」
「あは、バレた?」
菜々美の性格はこんなんだからもう慣れたよ、千夏ちゃん。
「それにしても、アレって何ですか?」
賑やかなある朝の登校風景。もう、四人で登校するのは当たり前になっていた。季節は初夏。もう少しで夏休み…という時期にきていた。
「球技大会よ…」
「おぅ、もうそんな時期か」
「ほうか、ハルがはっちゃけるイベントが近づいてるんやな」
「誰がはっちゃけるって?」
「わたしは初めてです…」
そりゃそうでしょう、一年生ですからねぇ。
「う~んと、種目はバレーにバスケ、ソフトにサッカー…だっけ?」
「そのくらいやったな」
「陸上以外はあまり経験がないので苦手です」
そのようね。ソフトでも三振してたしね。
「な、何故それを知っているんですか?」
たまたま教室から見えたのよ。
「その後、先生に怒られてたもんな~」
「そんな事あったんや」
その過去は忘れたいです。
「でも、その前にあるイベントを忘れてない?」
「何かあったか?」
「何やろ」
「来週から期末考査ですね。その後一週間空いて球技大会…です」
千夏ちゃん、その通り。
「まぁ、別にあたしら関係ないし?」
「普段通りで大丈夫やん」
一夜漬けで理数以外を乗り切ってるのは、どこの誰でしたっけ~?
「あはははは~」
「彼女さんは勉強どうなん?」
「前回の中間考査は一年全体で真ん中くらいでした…」
ビミョ~な位置ね。勉強が嫌いって訳ではなさそうだけど。
「ついて行くのが大変です。この学校、レヴェル高いですから」
「いや、それでも初めてのテストで真ん中なら上出来じゃないか?」
「赤点ないだけでも立派やもんな」
頑張って勉強すれば、もう少し上を狙えそうね。
「そ、そうでしょうか…」
「ほな、また勉強会やろか?ハルの事もあるし」
「菜々のケーキ、ある?」
「ハル次第やなぁ」
勉強より食い気かい。
「千夏ちゃんも来る?」
「え、勉強会ですか?」
もちろんよ。
「お、お邪魔じゃないでしょうか…」
「大丈夫。去年までの傾向とか色々教えてあげられるしな」
「菜々美先輩の情報は、役に立ちそうですね」
あの~、私もいろいろ教えてさし上げたいのですが…。
「も、もちろんそれは素直に嬉しいですよ?」
「今回は、生徒役が二人やな」
「数学は、あたしがせんせいだよ~」
未だに私より上の点数取った事無いのにね。
「ぐむむむむむ~っ、こうなったらいちみ、勝負だっ!」
「いいわよ。総合で?それとも数学のみで?」
「り、両方で」
「また無茶な勝負に出たな~。大丈夫なん?」
「頑張るよ~。勝ったら一日言う事聞いてもらうからな」
「んじゃ、両方勝ったら二日言う事聞いてあげる」
「言ったな~?」
「女に二言はない」
というわけで、春菜と期末考査での勝負が決まった。
(言う事を聞いてもらえる…)
ん?何か千夏ちゃんが考え事してますよ?
「千夏ちゃん、どうしたの?」
「…その勝負、わたしともしてもらえませんか?」
……何ですと?
「あらら、ハルに触発されたんか?」
「学年違うでしょ。どうやって勝負するの?」
「英語のみの点数で…ダメですか?」
「純粋に点数勝負って訳ね。それでいいの?」
「はい。一番得意な科目なので」
「なるほど~。彼女さんも策士やなぁ」
え、どういうことなの?
「何でも~。いっちゃん、頑張りや」
何だかよくわからないけど、今回はいつも以上に試験勉強頑張らないといけないみたい。まさか、千夏ちゃんに勝負を挑まれるとはねぇ。よっぽど自信があるのかな?
「それじゃ今週一週間、放課後は私の家で勉強会。いい?」
「了解や」
「OK牧場~」
古いギャグはやめなさい。
「千夏ちゃんもいい?テスト終わるまで部活禁止になるから、時間空くでしょ」
「はい。わかりました」
「打倒、いちみ!」
「先輩に勝ちます」
「「お~」」
な、何か、みょ~に二人の息が合ってるんですが…?
side千夏
瞬く間に二週間が過ぎた。
今日で全ての答案が返却される。週が替わったらいよいよ球技大会がある週になる。わたしにとって、学園に来て初めての球技大会。楽しみであるが、その前に先輩との勝負の行方が超気になる。
「千夏~、テストどうだった?」
クラスメイトの祐華が、わたしの机にやってきた。
「少しは良くなった…のかな?」
「おぉ~、成績上がってるじゃん。何かイケナイ裏技でもやったかね?」
「莫迦。そんな事するわけないじゃない」
「でも…本当に何かした?前回より良いじゃない」
「先輩達と一緒に勉強したのよ」
そう言った途端、友人の身体がピクッとなった。
「…先輩…って…大河一美?」
あ、まずかったかな?先輩の事話すのは。
「登校時に勉強の話になって、テスト勉強一緒にやろうってことになって…」
そんな事を話したら、ますます友人の震えが大きくなってきた。
「…許すまじ、大河一美!そうやって、わたしの千夏を手籠めにしてからに~~~~~~っ!!」
そして大爆発。
あ、あの~。いつわたしは祐華のものになったんですか?
「…まぁ、その辺はノリよ、ノリ」
ノリって、あんたねぇ…。
「祐華のノリって、冗談じゃないときがあるから困るんだよ」
「わたしは、千夏に対してはいつも真剣だよ?振り向いてもらう為に頑張ってセクハラしてるんだよ」
とうとう自分で認めたか、セクハラ行為。って、それを頑張るってどうなのよ…。
「いい加減やめてくれると助かるんですけど」
「だが断る」
そう言った途端、正面切ってわたしの胸を鷲掴みにしてきた。
「っきゃあああああああああっ!」
あまりにもいきなりだったので、わたしは教室中に響くほどの大きな悲鳴を上げてしまった。クラス中の視線を一気に集めてしまったが、発信源がわたしだとわかると、
(また彼女か)
(いつものセクハラね)
(祐華、GJ乙)
(藤宮、南無)
(君の犠牲は忘れない)
といった類の同情をされた後、通常運転に戻った。
「ゆ、祐華っ!その手を止めて離して~っ!」
「グヘヘヘ、いつ揉んでも良い感触やのぅ~」
「い~や~っ!!」
結局四時限開始のチャイムが鳴るまで、揉まれ続けてしまった。ぅう、先輩に顔向けできない…。
side一美
お昼休み。
いつも通り、屋上で四人のランチタイム。今日はここで、例の勝負の行方が発表される。春菜との総合&数学の点数勝負に加えて、千夏ちゃんと英語での点数勝負。
いつもにも増して購買が混んでいた為、私達三人はちょっと遅れて屋上にやってきた。
「千夏ちゃ~ん、おま…た…せ…?」
最近固定場所になりつつあるベンチで声をかけたが、いつもと違う情景に語尾が途切れてしまった。
「ふしゅるるるるるるる…」
「な、何で貴女が此処にっ!?」
千夏ちゃんの隣には、この前衝突したクラスメイトという人物が、威嚇する猫よろしく警戒心全開で私を睨みながら座っていた。
「すいません。どうしてもついて行くって言って聞かなくて…」
「現れたわね、泥棒猫!」
「ぅわ~、殺気立ってるなぁ」
「上級生にも負けん位の威圧感やな~」
「はいはい、威嚇も良いけどご飯の時ぐらい大人しくなろうよ」
「その余裕が、ム・カ・ツ・ク~っ!」
「お嬢様がムカツクなんて言わないでよぉ」
一悶着あったが、和気藹々(じゃないよ、今回は)のランチタイムが始まった。
「さて春菜。結果、公表してくれるわよね?」
食事も落ち着き、お茶などで一息ついてる時間、私は例の話題を切り出した。
「ふふふ…遂に、ついにこのときがやってきた!覚悟しろ、いちみ」
す、凄い気合いだ。初めて見るかも、こんな春菜。
「結構勉強頑張ってたもんなぁ」
まぁ、その辺は勉強会でも見ていたわけで。相当の自信があるらしく、教室では絶対に結果を見せなかった。
「じゃん、刮目せよ!」
そう言って、春菜は私に返却された全ての答案用紙を突きつけてきた。それを、菜々美と二人で覗き込みながら計算する。
「ぉお、今までの中で最高やないか?ハル」
「ふっふ~ん、頑張ったよ~?」
どや顔でふんぞり返る春菜。数学がいつもながらの高得点、他も全体的に高め。勉強は出来るんだけど、普段何もしないから阿呆の子なんだよ、春菜は。
「さぁ!いちみはどうなんだ?」
完全に勝ち誇ってるよ。その自信はどこから来るのやら。
「ほい。見ておくれ」
今度は、私が春菜に答案用紙を渡す。それを、またもや菜々美が一緒になって計算する。そして、春菜の表情が段々と青くなっていく。
「…いっちゃんの勝ち、やな」
菜々美がそう宣言した瞬間、春菜が膝から崩れ落ちた。
「な…何で…あんなに頑張ったのに…」
計算結果を菜々美が公表した。
「総合得点では五点差、数学に関しては一点差。際どい勝利やったな、いっちゃん」
確かに。こんな際どい点差は今まで無かった。それだけ春菜は頑張った、ということ。今まで通りの勉強では確実に負けていたかも。千夏ちゃんとの勝負もあってか、気合いを入れて勉強しておいて良かった~。
「という事は、今回は菜々美の方が下って事?」
「そやね~。三点差で負け」
「菜々に勝っても嬉しくないやい」
でも、よく頑張った。出来る子なんだから、あんたは。
「す、凄い点数ですね…」
「文武両道とは聞いていたけど、ここまでとは…」
下級生二人が、私達の点数を聞いて唖然としている。まぁ、見えない努力の結果なんだけどね。勉強は、努力すればするだけ結果がついてくる、が私の持論。スポーツはそうはいかない事があるけどね。
「さて、今度は千夏ちゃんかな?」
「は、はい」
「え、千夏ってば大河一美に勝負挑んでるの?」
「うん。単純な点数勝負だけどね」
「無茶じゃん!平均の下だったじゃない、前回」
「総合はね。だから、一教科のみで」
「ま、まさか…」
「うん、英語」
それを聞いたクラスメイトさんは、勝ち誇ったように笑い出した。
「残念だったわね、大河一美!貴女の敗北は確定よっ!」
え、え?ドウイウコトデショウカ?
「ま、論より証拠。千夏の点数を見て跪くがいいわ!」
そう言って、おずおずと取り出した千夏ちゃんから答案用紙を奪い取り、私の目の前に突きつけた。そして、信じられない点数に私の目は見開かれた。
「う…そ、まんてん……?」
あまりの驚きに、漢字の変換忘れたよ。
私ですら今の学校で取った事がない点数。一応、文武両道を自負してますけど、満点なんて取った事はない。文字通り、ショックで跪いてしまった。
「どうだ、まいったか!」
「あんたの答案じゃないだろ…」
冷静な春菜のツッコミ。
「当然の結果よ。この子、外人の知り合いがいて教えてもらってるし、会話も出来るのよ?満点じゃない方がおかしいわ」
そ、そうだったのか…。私の失点もケアレスミスなだけに、良くて引き分けになったのかな。
「残念やったなぁ、いっちゃん」
…まさかとは思うけど菜々美、知ってたわね?
「ノーコメントや」
それは肯定という名のだんまりか。なら、何で止めてくれなかったのよ~っ!
「わたしの勝ち…で良いんですよね?先輩の答案を見ていませんが」
「当然でしょ?学年で唯一の満点なんだから」
か、完敗ですぅ。
「では、後日改めて言う事を聞いてもらう、という事でいいでしょうか?」
ざっつらいと。
「そんな約束してたのっ!?わたしも参加したかった」
「いや、普通に勝ち目ないよ?祐華の場合」
結局、春菜には勝ったが千夏ちゃんに負けた。久しぶりじゃないかな?負けるという事実。しかも満点だなんて…予想の斜め上をいってたよ。
何だかんだで、バトルロワイヤル?なお昼時間が終わった。そして、いよいよ来週末は球技大会、終業式と続いて夏休み突入だ。夏休みの間も部活はあるので、学校に通わなければならない。千夏ちゃんを強くする為に。そして、近い将来来るであろう楢川先輩との勝負の為に私も密かに練習しないと。
そんな事を考えていた私は、この時点で行われていた水面下の行動に全く気がついていなかった。その事実を、来週の月曜日に知る事になるのだった。
お待たせいたしました ようやく更新です
いつもよりちょっと短めかな?
学期末と言えば、期末考査でしょう<そうか?
一美は文武両道ですが、ガリ勉さんではありません
普通に満点は取っていません 全体能力は高いですがw
その辺は最初の方でもちょっとだけ触れています
春菜はどう頑張っても一美に勝てない、そんなキャラですw
千夏の英語力は半端ないレヴェルらしいです
テスト勉強のシーンはまるまる書いていません(ぇ
最初は書こうと考えていましたが、無駄にだらだら
書く感じになりそうだったので思い切って割愛しました
勉強中に…というシーンも考えてたんですが、別の機会にw
千夏の権利は、夏休み中に発動する予定です(ぉ
次回は球技大会編です 今回の引きは、次回の伏線です
次回、一美に何かが起こる?
お楽しみに ノシ




