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今回はちと番外編をお送りいたします

夢で見たネタを覚えていたので^^;

一美達も少しは絡んでますが

全く別カプのお話です

side清華


 とある日の通学路。

「ええ~いっ、鬱陶しい!離れんかいっ!」

「そ、そんなご無体な。こんなにもお慕い申し上げてますのに…」

「だからって、背中に張り付くなっ、タコ!」

「そんな愛称ではなく、ちゃんと名前でお呼びくださいまし、清華(さやか)様」

「”様”付けと背中張り付きをやめたら、考えなくもないな、多佳子お嬢様」

「そちらこそ、お嬢様はおやめくださいまし」

 朝から喧嘩してるのかじゃれてるのかわからないやり取り。

 わたしの名は、城端(じょうはな)清華(さやか)。皆川学園の二年生。もう一人の名は、壬生(みぶ)多佳子(たかこ)。同じ二年生で、認めたくないけどクラスメイト。さらに認めたくないけど、学内公認カップルとされているらしい。

 …わっちは認めてないんだけど?タコと付き合うのは。

 あぁ、タコってのは、わっちだけが使ってる多佳子の愛称。本人はおろか周りもお気に召さないらしい。

 そりゃそうだ。タコは周りも認める生粋のお嬢様だ。そんな人をタコ呼ばわりなんて…ってよく言われる。

 でも、本人は、愛称で呼ばれた事は嬉しかったようだ。何かの拍子でタコって呼んで以来、それがずっと続いている。

 実は、タコとは去年もクラスメイト。詳しくはは忘れたけど、タコに課せられた仕事を手伝ったのがきっかけで慕われるようになり、先ほどのような告白も何度もされてる。が、わっちが冗談として受け流してる。このような状態が半年以上続いてる状態なのだ。

 タコの事が嫌いな訳じゃない。むしろ好きな方だ。

 この気持ちを見せると、何か負けた気分になるような気がして、敢えてテキトーに流している。こんなのバレたら怒るだろうな。もしかしたら気づいてるのかも知れないけど。だから、わっちは照れ隠しにタコが嫌がる”お嬢様”を時たま使う。

「はいっ、これでよろしいですか?清華」

 そう言って、ようやく背中の重圧が解放された。肩胛骨辺りに押しつけられた二つのプレッシャーも一緒に。

「やっとタコが離れてくれた」

「まだ仰いますか?その愛称」

「これで慣れちゃったからねぇ。わっち的にはGJなんだが」

「GJじゃありません。莫迦にしてるんですか?」

「うん」

「あっさり肯定されましたわね。もう一度背中に…」

「冗談も見抜けないのか、お嬢様は」

「これでも、随分貴女に鍛えられましたけどね」

「タコを弄ると楽しいからなぁ」

「わたくし、イジメられてたんですかっ?」

「イジメと弄るのは違うから。わっちのは愛あるイジメ」

「イジメてるじゃないですかっ!」

 世間一般のイジメとは違うんだけどなぁ。好きな子をからかう男子…って、子供かいっ、わっちは。

 そんな風に、二人でじゃれ合いながら登校するのが毎朝のお約束。

 暫くして路地を曲がったところで、とある四人組と鉢合わせた。

「お」

「あ」

「よ。おはよう、大河」

「あら、清華。おはよう」

 文武両道三人組と称されるグループの一人、大河一美に挨拶する。彼女とは、去年クラスメイトだった。背がやたらに大きいので記憶に残りやすい。…羨ましいぞ、その背丈。

「その他大勢もおはよう」

「何だよそのモブ扱いはっ!」

「等々力は弄られキャラだから」

「ちょ!弄っていいのはいちみだけ!」

「弄り仲間がいて嬉しいわ、清華」

「ストレス発散には最高だしな」

「あたしで発散しないで、お願いだから…」

「多佳子はんも、おはよう」

「おはようございます、皆さん。…そちらの方は?」

「あ、初めまして。一年の藤宮千夏といいます」

「あぁ、貴女が噂に聞く一美さんの伴侶でございましたか」

「…伴侶…ポッ♪」

「結婚してないし!千夏ちゃんもそこで変に照れないのっ!」

「一生を添い遂げてくれないんですか?先輩…」

「…段々扱いが難しくなってきてる気がするのは気のせい?」

「お、早くも不協和音か?」

「いっちゃん、彼女さんを悲しませたらあかんえ~」

「あんたら、絶対楽しんでるだろ」

「大河も苦労してるのな」

「お互いにね」

「「はぁ~」」

 同時に溜息をつくわっち達だった。

「あ、そうそう。今日、バスケ部に顔を出すわね。前回の助っ人キャンセルのお詫びとして」

「ん?そんな話は聞いてないけど」

「あ、まだ部員までには話が行ってないのかな?部長さんにはもう話してあるけど」

 ふ~ん、じゃあ今日の部活辺りで話があるかもな。

「了解した。楽しみにしてるよ」

 そう、わっちはこの学校でバスケをやっている。…誰だ、チビのくせにっていうヤツはっ!

 そうだよ、チビだよ。150センチ無いけど頑張ってるんだ。文句は言わせない。中学からやってるのに、全然背が伸びない。牛乳も毎日欠かさず飲んでるというのに…。ちなみに、牛乳は低温殺菌が謳い文句の製品に拘ってるんだ。普通のヤツより美味しいしね。って、脱線したな、話が。わっちは、この背の低さを逆に利用して相手を攪乱したり得意の3(スリー)を連続で打つ(シユーティング)(ガード)(スモール)(フォワード)を兼任したようなプレイをしている。ので、悪い流れを変えたりしたいとき等に重宝されてるようだ。でも、もう少し背があればなぁ…PF(パワーフォワード)やりたいなぁ。まぁ、無いものは仕方ない。大河が部活に来たときは、身長の対比もあっていい練習台になる。彼女もそこら辺がわかってるのか、ミニゲームではよく絡んでくれる。

「今日、一美さんが参加するという事は、熱いバトルが見られるんですね?」

 ん?タコが食い付いてきたぞ。

「もしかして…見学するつもりか?」

「もちろんそのつもりですが?」

 確定事項かよ。

「見るのは構わんけど、黄色い声を上げるのは勘弁してくれ」

「よろしいじゃないですか。清華の素敵なお姿を見られるんですから」

 周りからの視線が痛くなるので、マジ勘弁してほしいんですが…。

 そんな事を考えてたら、大河に肩を叩かれた。

「その気持ち、良くわかるわ」

 お互い有名人だもんね、って付け加えられた。わっちはあんたほどじゃないと思ってるんだけど?

「まぁ、見るのは自由だからいいけど」

「では、放課後はご一緒してもよろしいですか?」

「見る気満々なのに、今更だな」

「お熱いですのぉ、サヤ」

「こっちもラブラブやのう」

 横から等々力と彩恩にからかわれた。

「やかましいっての」

「さぁ、急がないと遅刻するよ~」

 大河の一言で、その場の全員が歩調を早めた。さて、放課後がんばるぞ~。その前に勉強も頑張らねば。



 放課後。

 バスケ部の部室。

 わっちは一人残って佇んでいた。

「はぁ~っ、うまくいかない日ってあるもんだなぁ…」

 今日の部活、予告通り大河がやってきて色々面倒を見てくれた。助っ人が出来なかったお詫びも入ってるようで、かなり念入りに付き合ってくれた。

 …のはいいのだが、ミニゲームでのマッチアップでことごとく大河に競り負けてしまった。いつもなら五分五分か僅かにわっちが競り勝つんだけど、完敗は初めての経験。人並みに落ち込んでるのが今の状態。周りは、そういう日もあるよ~って励ましながら部室を後にしていった。気を遣われたようで余計に落ち込むんだよ、そういうのって。

「……清華、おられますか?」

 声がする方向に目を向けると、部室の入口にお嬢様が立っていた。

「タコ…」

「なかなか外に出て来られないから、様子を見に来てしまいました」

 待っててくれたのか…。

「先に帰ってくれても良かったのに」

「想い人を置いて帰るなんて出来ません」

 はは、彼女はそういう人でした。

「こんな情けない姿、タコには見せたくなかったよ…」

「一人前に落ち込んでらっしゃるのですか?」

 ビクッ!心の内を見抜かれて驚く。

「…わ、悪い?」

「ふぅ…貴女らしくありませんわ」

 え?

「これくらいで凹むなんて、いつもの貴女らしくないと言ってるんです。普段のわたくしを弄るような活気は、どこへいったんですか?」

 何か、挑発してるのか?

「うるさい!今のわっちの気持ちがあんたにわかるかっ!」

「えぇ、わからないですわ」

 なぬ?そこは嘘でも、わかると返すところじゃないのか?

「わからないからこそ、落ち込んでないで立ち上がりなさいって言ってるのですよ」

 な、何というジャイアニズム…無茶苦茶だよ。

「こんな事でへこたれる貴女じゃない事は、わたくしが一番存じ上げております。さぁ、立ち上がっていつものようにわたくしを弄ってくださいな」

 それがご所望なら…と、いつもなら行くのだけど、今回はいつもより凹み度が大きいわけで…。

「ごめん。今日はムリっぽい…」

「あらら。意外と重傷なんですねぇ」

 …意外は余計だ。

 でも、遠慮無い言葉を投げかけるのはさすがだ。変に気を遣われるより気が楽だ。そんな事を考えていたら、目の前にタコがやってきてしゃがみ込んだ。

「ほら、顔を上げてくださいな」

 言われるがままに顔を上げると、突如唇を奪われた。

「んんっ!?」

 唇に伝わった柔らかい感触に、わっちは身を委ねた。しかし、その感触もすぐに消えてしまう。時間にして一秒無かった。

「落ち込みを治すおまじないですけど…効きました?」

 …はい、確実に効きました。でも…。

「まだ足りない」

「仕方ないですわねぇ。相当の重傷ですわ」

 そう言うと、タコは再度わっちの唇を奪う。今度はたっぷりと。

「んっ、んちゅ、ちゅっ、さや、か…」

「ちゅっ、んふぅ、んんっ、た…かこ…」

 たっぷり一分くらい唇を愛撫されてしまった。

 わっちとタコは、正式に恋人同士としては付き合ってはいない。わっちが告白を受け入れてないから。しかし、何時頃からか唇を許すみたいな関係になっていた。普段はわっちがタコを弄る立場だが、こういうときは立場が逆転してタコに攻められる。大概が、わっちが落ち込んでるときに起こる。最初は、本当におまじないみたいに軽くキスするだけだったが、段々深みにはまっていっている。でも、タコの行為は本当にわっちの落ち込みを治してくれる効果があるのを実感している。気持ちがふわぁ~っとなっていき、嫌な事を忘れさせてくれる。

「どうですか?」

「うん、かなり効いた…でも」

「でも?」

「まだ足りないって、身体の中から訴えてきてる」

「そうですか…でも、ここから先は貴女の言葉が必要になるんですよね…」

「わっちの…言葉?」

「そうです。わたくしの告白に対する答えという言葉」

 来た。いままでさんざんはぐらかしてきたツケが、ここにきて具現化するとは。おそらく、タコもわっちの気持ちを知ってて言ってるんだと思う。ちゃんと言葉にして伝えてくださいって。最初は、本当に冗談だと思ってたタコ…今は失礼だな、多佳子の告白。何度もされる内に悪い気分では無くなっていた。むしろ気持ちよかった。わっちも認めてしまうと、その気持ちよさが無くなってしまうと思って逃げていたのかも知れない。

「そっか…それじゃあ、答えないといけないな」

 もう逃げてはいけない。

「多佳子、好きだよ。いつもはぐらかして、いつも苛めてごめんね。だから、嫌いにならないで…」

 一世一代の告白。しかし、今までの事を謝罪したせいで、後半は涙声になってしまった。格好悪ぅ。

「何を仰いますか。いつ、わたくしが貴女を嫌いになると言いましたか?」

「…言ってない気が…」

「そうです。言ってません。お慕い申し上げるとしか言ってませんですよ?」

「そっか、それはすまなかった」

「では、本日をもって恋人同士という事でよろしいのですね?」

「そう…なるんだな」

 改めて恋人と言われると恥ずかしいが、嫌な気分じゃない。むしろ、なるべくしてなったという感じかな。

「では、よろしいですか?」

「ん。来て…」

 わっちがそう言うと三度唇が奪われ、そのまま座っていたベンチに押し倒された。そして、多佳子の手がユニフォーム越しにわっちのそこそこある胸の膨らみに触れてきた。



 帰り道。

 タコとわっちは、手を繋ぎながら通学路を歩いていた。

「どうですか?落ち込みは治りましたか」

「ん。完全に」

 何か、いろいろ吹っ切れた感じがする。バスケに関しても、タコとの関係にしても。

「それにしても激しかったな。お嬢様なのにどこで覚えてきたんだ?」

「…そんなこと聞くなんて、野暮でございましてよ」

「お互い初めて…だよな?」

「あ、当たり前ですっ!何を言い出すんですかっ!」

 怒らせてしまったようだ。

「まぁ、いいや。ありがとう、多佳子」

「えっ!?」

 いきなり名前で呼ばれたのに驚いたようだ。

「どうしたんですの?愛称ではなく名前なんて…」

「嫌か?」

「貴女らしくないというか…」

「これでも結構気恥ずかしいんだぞ?」

「それこそ貴女らしくないですね」

 そこまで言いますか。

「ふぅ、せっかく感謝の言葉を述べようと思ったんだが、やめにしよう」

「ええっ!?そこまで言っておいてそれは認められませんよ?」

「いや、何か負けた気がするからやっぱ言うのやめた」

「そ、そんなぁ~。体を張ってまで頑張ったというのに…」

 ようやく、いつもの調子に戻ってきた。

 あぁは言ったが、感謝してるんだ、多佳子。今回はあんたの気持ちに救われたんだ。どれだけわっちを見てきたのかがもの凄くわかったんだよ。これからも、わっちの事を見ていておくれ。そしてまた…落ち込んだら、おまじないを頼むよ。

「さぁって、家に帰って晩御飯だ~」

「待ってください!感謝の意を求めます!さ~や~か~っ!!」


本編の序盤に、バスケ部が…という記述をしたので

片方をバスケ部員にしてみました

モデルは…察しのいいかたはわかるかと^^;

ちなみに、タコお嬢様は身長160㎝です 胸がEカップ(ぉ

清花は149㎝、Bカップです 補足説明終わり<マテ


次回は本編に戻ります…が

このカプも、どこかで登場する…かも?


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