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18

side一美


 次の日曜日。

 特に目覚ましもかけなかったけど、六時半頃起床。

 さすがに、今回は寝起きを襲ってこなかったか。今日のイベントはさすがに知らないはずだからね。

 …うわ、何この寝汗。変な夢でも見たかしら。何も覚えてない。

 その辺りを起きない頭で考えてたら、ベッドの脇に置いてあった携帯が着信を知らせてきた。

「…もしもし?」

 相手も確かめず私は応対する。

『お、いっちゃん。おはようさん』

 菜々美だった。

「ん。こんな早い時間にどうしたの?」

『モーニングコールや。今日はそっちに行けへんから』

 そうそう家に来られても困るんだけど。

「私頼んだっけ?」

『いんや、これはウチからのサービスやねん』

 別にそこまでしなくても…ん?まさかとは思うけど。

「わざわざありがとね。もう一眠りするから」

『あかんよ寝たら。せっかくのデートっちゅう時に』

「…なぜそれを知っている?」

『ウチを出し抜こうって思うても無駄やよ。方々にアンテナを張ってるんやから』

 それにしてもおかしい。デートの事は、私達二人しか知らないはず。どこから漏洩した?細かい打ち合わせをして正式に約束したのは昨日の夕方。漏洩したとしても時間がなさ過ぎる。

『その辺は守秘義務やからな。いっちゃんでも言えへん』

 菜々美には隠し事すら出来ないのか…。

「で、家に来ない代わりに電話をした、と」

『念のためにな。ハルみたいに寝坊はないと信じてるけどな』

「お気遣いどうも」

『まぁ、寝坊して慌てて猛ダッシュっちゅうのも、イベント的には面白(おもろ)いけどな』

 それをやるのは男子のシチュでしょうが。そんな事したら千夏ちゃんに怒られる。

『前から思うてるんやけど、いっちゃんは彼女さんに対し腰引けてるんちゃうか?』

「どうなんだろう。焼きもちし易いからなぁ、千夏ちゃんは。その辺を恐れてる部分は認めるけど」

 昨日までも、お昼を一緒したり部活に顔を出したりしたけど、その度に怒られてる気がする。普通に行動してるだけなのになぁ。

『いっちゃんは人当たりが良いのが長所やけど、今はそれが裏目になってる感じやな』

 かも知れない。思い出せば、陸上部で少し他の娘と話した後に千夏ちゃんを見ると、必ず怒りオーラを纏ってたからなぁ。焼きもちは嬉しいけど、心臓に悪い。故に怒らせないように努力してるんだけど。

『彼女さんの機嫌を損ねないよう、早よ起きて支度せな』

「待ち合わせ十時だよ?まだ余裕…」

『その考えがあかん言うてるんよ。年上は早めに出かけて相手を待つくらいの余裕を見せんと』

 ごもっともで。

『それに、いっちゃんも女の子なんやから、支度に時間かけて小綺麗にして行かんとな。せっかくのデートなんやし』

 どうも、そういう乙女の部分が欠落してるよ、と遠回しに指摘されてるようだ。気をつけよう。

「わかった。シャワー浴びてスッキリしてから支度を始めるわ」

『ん。それがええよ。何や、結構考えてるやん』

「いや、夢見が悪くて寝汗が酷かったので浴びたいな~、と」

『それが理由なんか。…はぁ~、頭いた』

 電話越しで菜々美に呆れられてしまった。

『…わかった。なんとかして一時間後にそっち行くから、それまでにシャワーと朝食を済ませとくこと。ええな?』

「えぇっ、く、来るの?こっちに」

『支度手伝うたる。話してたら、こっちが不安になってきたわ』

「い、いいよ、一人で出来るから、無理に来なくて良いよ?」

『この際、いっちゃんに乙女というのをレクチャーしたる。覚悟しぃや』

 そう言って、菜々美は電話を切った。

 ど、ど、ど、ど、どうしよう。菜々美がこっちに来る!まぁ、それは良いとして…。

「何をされるか、非常に不安だ…」

 朝から軽くブルーになった私は、鬱な気分を払拭する為にシャワーへ向かったのだった。



 時間が経って、九時半。

 山宮市駅近くの、シネコンが入ってる商業施設。この入口で千夏ちゃんと待ち合わせ。

 もう、朝からドタバタだった。

 電話の後、シャワーを浴びて朝食を食べ終えたタイミングを見計らって、菜々美が予告通りに家にやってきた。

 そして、服から下着から色々引っ張り出してあぁでもないこぉでもないとコーディネートしたあげく、自前の化粧道具を持ち出して軽く化粧までさせられた。

『いっちゃんは、元々顔立ちが良いから軽くファンデとグロスを引くだけでも充分やな』

『化粧までするなんて…』

『せっかくの初デートやし、気合い入れんと』

『此処までする必要あるの?服もまさかこれを選ぶとは…』

 そう、服はピンク系ペイズリー柄のワンピース。それに袖レースのプルオーバーと透かし編カーディガンという組み合わせ。いつか菜々美に似合うと勧められて買って以来、あまり袖を通してなかった一品。どうやらこのときを見越していたようだ。

『うん。これでOKや』

 そう言われて姿見に自分を映してみたが、自分じゃない自分がそこに立っていた。

『これが…私?』

『そう。素材がええから、少しいじるだけでこれだけ映えるんよ。や~えぇ仕事したわぁ』

『で、下着は…っと、えぇっ、何でこの下着なのっ!?』

 出された下着は、胸を寄せて上げるという売りのブラに大胆なTバックのショーツだった。

『これぐらいは普通やで。見えない部分にも気合いを入れるんが乙女というもんや』

『それはどうかと…でも拒否権はないのね』


 そして、待ち合わせ三十分前に此処にいるという状況。

『デート頑張りや~』

 そう言って菜々美は駅へ向かう途中で別れた。今日は日本舞踊のレッスンだとか。春菜は今日は部活があるはずだから、基本的に邪魔が入る事は無いはず。そんなことを考えながら待ち人が現れるのを待っていた。

 そして、時計は九時四十五分。

「あ、先輩」

 待ち人来たる。

 千夏ちゃんは、涼しげな感じのパフTシャツとチェック柄のチュニックと言う組み合わせにレギンスという格好だった。

「少し涼しげで良い感じの格好だね」

「あ、ありがとうございます。先輩も大人っぽい感じで…。しかもお化粧までしてます?」

 まぁ、半分は菜々美の仕業なんだけど…っと、これは言わない方が良いか。また怒られてしまうのがオチだ。

「それにしても早かったね、来るの」

「早めに来て待つつもりだったんですが、逆にお待たせしたようですいません」

 来た早々、誤り始める千夏ちゃん。

「いいのよ。私の方が早く着いちゃっただけだしね。少しでも年上らしいとこを見せないと。足はもう大丈夫?」

「はい。まだ湿布と包帯は欠かせませんが、だいぶ普通に歩けます」

 そう、それは良かった。じゃあ、徐々に足を慣らしていかないとね。

「ところで、今日は映画ですか?」

「うん。たまたま見たい映画がここでやってるから。一緒にどうかなってね」

「あぁ、このタイトルですか。わたしも興味はありました。へぇ、今此処でやってたんですね」

「およ、千夏ちゃんも興味あったんだ、この映画」

「TVでCMを見て以来…」

 この映画、とある有名な小説が元になってるって菜々美が言ってたなぁ、確か。

「取りあえず、行こうか」

「はい」

 さて、受付でチケット購入っと。

「学生二枚お願いします」

「…本当に学生?」

 怪訝そうな表情でお姉さんに見返される。

 ぅう、まただ…。背が高い故の見解の相違。どっかの主人公じゃないけど、不幸だ~。ましてや、今回薄く化粧もしてるしなぁ。こうなったら、泣く子も黙る必殺アイテムを提示するのみ!

「学生証です!」

「わたしも提示します」

 つられてか、千夏ちゃんも隣から学生証を掲げる。

「…失礼致しました。学生二枚ですね」

 提示された金額を払って、その場を後にする。少し憤慨しながら。

「先輩…いつもあぁなんですか?」

「背が高い故にね。私服だと学生に見てもらえないのよぉ…」

 自分で言っててさらにダメージを受ける。あうっ。

「大きいってのも大変ですね」

 まぁ、背の高い男子に比べたら頭をぶつけない分、まだマシかな。

「でも、その背の高さでわたしは先輩を色んな場所で見つける事ができたんです。背が高くて良かったと思ってるんです」

 …嬉しい事を言ってくれるじゃあ~りませんか!そう思ってくれるのなら、あながち背が高いのも悪くないな。

「さて、もうすぐ上映時間だね。何か買ってく?」

「あ、じゃあジュースでも買いましょうか」

 二人分の飲み物を買って、いざ上映ブースへ。

「へぇ~、シネコンってこんな感じになってるんだ~」

「ん、もしかして初めて?」

「記憶にある限りではそうですね。意外と狭い。でも、スクリーンは大きいです」

「わりと階段急だから気をつけて」

 そう言って、彼女の手を取る。

「あ、ありがとうございます…」

 暗めのブース内でもわかるくらい、千夏ちゃんの顔が赤くなっていた。



side千夏


「ふぁ~っ。なかなかの感動作だった~…って千夏ちゃん、怒っていらっしゃいます?」

 上映終了。先輩と連れだってブースを出てきたわたしだが、作品の内容に苛立ちを覚えていた。

「何で…なんであそこであの人が死んじゃうんですかっ!一番の功労者なのにぃ…」

 そんな憤慨してるわたしの目元にハンカチがあてがわれていた。いつの間にか、わたし泣いてた?

「優しいんだね…」

 そんな言葉が、先輩の口から放たれた。

「そ、そんなこと…わたしはあの理不尽な展開が許せないんです」

「まぁ、確かにね…。でも、あの部分は史実に則ってるわけだし、実際にあった事なのよね」

 そうなんですか?その辺はまだ習ってないからよく知らないんですが。

「脚本書いた人もすごいよね~。あの人が死ぬっていう伏線をこれでもかって張ってたからねぇ」

 あぁ、それは何となく見ていてわかりました。

「だから、なおのこと許せないんです。あの人を含め、作戦に参加した人全てが生き残ってほしかったです」

 それが、わたしの正直な気持ちだった。

「ハッピーエンドが好きなんだね、千夏ちゃんは。わかる気がするなぁ。現実は厳しいから、せめて物語の中だけでも幸せでありたいよね」

 世の中は、みんなハッピーエンドを目指して生きてるんじゃないでしょうか。

「そうね。どうしようもない過酷な環境の中で生きてる人もいる。目標を重視するあまり、道を違えてしまった人もいる。しかし、どんな人も幸せを目指して生きている。そう私は信じているけどね」

 何か哲学的ですね。そうあってっほしいと願う自分もいる。

「さて、時間も時間だしお昼にしない?」

 近くの時計を見たら、十二時を回っていた。

「そうですね。それじゃあ、駅へ寄ってもらってもいいですか?」

「何かあるの?」

「いえ、荷物をロッカーに預けてきたので…」

「あ、そうだったんだ。じゃ、早速取りに行こう!」

 そう言うと、先輩は私の手を取って歩き始めた。


 駅で荷物を取り出し、やってきたのは駅南側に広がる緑地公園だった。なかなかに広くて、一日いても飽きないくらいの市民の憩いの場所。

「この辺が良いかな?」

 先輩は、大きな木の下の日陰になってる部分を確保していた。そこへ、私はレジャーシートを取り出してその場所に敷き、荷物を置いた。ふぅ、結構重かったなぁ。

「あのぉ~千夏さん?質問よろしいでしょうか」

 はい、何でしょう?

「その大きな荷物…の中身が気になるのですが」

 まぁ、気になりますよね、この大きさは。

「前にわたしが言ったこと覚えていますよね?」

「えぇ~っと、お仕置きがどう…とか?」

「そうです。言うなれば罰ゲームです」

「ば、罰ゲームぅ!?」

 くふふ、動揺してる♪

「何されるんだろう…」

「では、罰ゲームです。このお弁当を完食して下さい」

 そう言って、わたしは包みを広げた。

「……これを?」

 先輩が驚くのも無理ない。何たって、ふだんの食事の二倍くらいの量があるお弁当が姿を現したからだ。

「ち、ちょっと半端ない量なんですが…」

「わたしへの愛が試されるといったはずですよ?」

「それにしても、後が怖い量だなぁ…」

「た・べ・て・くれますよね?」

 念押しのキラースマイルを先輩に向ける。

「こういう色モノ担当は春菜なんだけどなぁ…ま、そこまで言われたからには頑張るよ~」

 がっついて食べるのは禁止ですよ?ちゃんと味わって食べて下さいね?

「うっ、た、退路を塞がれてしまった…」

 では、まずはこちらのタコさんウインナーを…はい、あ~んしてください。

「え…そこまでやるんですか?こっぱずかしい~」

「だからいいんです。お仕置きであり罰ゲームなんですから」

 さぁ、いっぱいありますからねぇ。どんどん食べて下さいね。


side一美



 恐怖?の昼食が終わった。

 かなりの量だったが、何とか完食した。

「本当に完食するなんて…」

 そのつもりで作ってきたんじゃないんですかいっ!

 でもさすがに動けないので、千夏ちゃんの膝枕で横になっている。

「悪いわね~、重いのに」

「いえ、大丈夫です。でも大丈夫ですか?食べてすぐなのに横になって…太りませんか?」

「あの量を作ってきた本人が言う台詞か?」

「あぅ、すいません」

「この量を食べてすぐに動いたら、おトイレと友達になっちゃうよ」

「ですね」

「食休みも大事だよ。そればっかやってると太るけどね」

 そう言って二人で笑う。

「しかし…良い風が吹いてるねぇ~」

「そうですね。心地よい風です」

「枕の感触も良い感じだし」

「お、オヤジですかっ!」

「失礼な。オヤジなのは春菜だよっ」

 色んな事を言い合いながら笑いあう私達。

 突如、会話が止まった。

 見つめ合う二人。

 どちらからともなく…というより私が目を瞑り、それが合図で千夏ちゃんが顔を近づけてきて…唇が軽く合わさる。ちゅっ、という音が聞こえた気がした。

「人に見られるかも知れませんよ?」

「でも、したかったんだ、今」

「どうしてです?」

「…言わなきゃ、ダメ?」

「お仕置きの続きです。言わないと許しません」

 え、まだ続くの?お仕置き…。

「あなたが…千夏ちゃんが愛おしいから…恥ずかしっ!」

 言った瞬間、どうしようもない恥ずかしさがこみ上げて来て、思いっきり視界を閉じる。そしたら、また唇に柔らかい感触が…今度ははっきりと感じ取れた。その後、唇を啄むように何度もキスをしてきた。何かほっこりとした気分になって、視界を開いた。そしたら、瞳が潤んだ彼女の顔が見えた。

「わたしもです。先輩の事が大好きです」

 そしてもう一度合わさる唇。もう押しつけるだけじゃ足りない。でも、ここは外。遮る物が何も無い。しかしこれ以上したらもう止まれない気がする。

「…ねぇ、今から家に来ない?」

 何とか理性を取り戻し、千夏ちゃんを誘ってみる。

「…は、はい。でもいきなり行って良いんですか?」

 彼女も、もしかしたら私と同じ気持ちかな?

 この誘いの意味を読んでくれるよね?

「今日も誰もいないし…ね?」

 彼女は何も言わず俯いたが、小さく頷くのを私は見逃さなかった。


 私の家までの道すがら腕を組んで歩いてきたが、会話は皆無に等しかった。でも、彼女の温もりが感じられてるので何も気にならなかった。時折、目線が合わさったときも微笑むだけだったが、心地よかった。

「どうぞ」

「おじゃましま~す…」

 千夏ちゃんを玄関に招き入れ、ドアを閉める…と同時に、私は彼女を抱きしめた。

「せ、先輩っ!?」

 正面から抱きしめ、唇を奪う。しかもいきなりディープに。

「んっ、んんん~っ!」

 ビックリしたのか、千夏ちゃんは身体を離しにかかる。

「いきなりどうしたんですか」

「家に着いたと思ったら、抑えが効かなくなっちゃって」

「い、いきなりすぎますっ!」

 あぅ、怒られてしまった。

「ごめん。でも、公園からずっと我慢してたんだよ?公園でのキスが、私の欲望に火をつけたんだよ」

「…そんなこと、言わないで下さい…」

 …ぅう、否定されたぁ~。

「…我慢してるわたしが莫迦みたいじゃないですか。わたしだって先輩といちゃラヴしたいのを必死に我慢してるんです」

 あれ?やっぱ同じ気持ちじゃない。

「強引な先輩もキライじゃないですが…むしろ普段から少しは強引さを見せてほしいところですが…もう少し空気読んでほしいです」

 何かダメ出しされてるようなされてないような言い回しなんですが…結局どうなの?

「部屋まで我慢して下さい。その後は…」

 周りをよく見て行動しろっていう事なのね。

「はい。せっかく先輩の家に来たのに…」

 いきなり襲われたら、目も当てられないという事か。

「じゃあ、部屋へ行こう」

 階段を上がり、千夏ちゃんを我が部屋へ招き入れる。

「うわぁ~、綺麗な部屋…」

 朝のバタバタで、結果的に軽く掃除をする羽目になったのは此処だけの秘密だ。

「千夏ちゃん…」

 先ほどの反省から、今度は優しく後ろから抱きしめる。あぁ、ちっこくてや~らかいなぁ。

「先輩…」

 私の腕の中でもぞもぞしたかと思ったら、正面を向いて背中に手を回し…力が入ったと思った瞬間、ベッドに押し倒された!?

「あ、あれ?ど~なってるの?」

 この小さい身体のどこにこんなパワーがあるんだ?大きい私がまた押し倒されるなんて。

「…先輩が悪いんですよ?」

 え、何の事?

「キスしたり、腕を組んだり、抱きついてきたり…もう無理です。この前出来なかった事を此処で実行します」

 も、もしかして…。

「せ、先輩をお、襲っちゃいます」

 やっぱり~っ!?でも、もう私も我慢の限界。何をされるんだろうという期待感が勝っている。

「…優しくして下さい」

 そう言うのがやっとだった。

「お仕置きですから、聞く耳持ちません」

 そう言うと、彼女は激しいディープキスを私に与えながら、ワンピースに手をかけた。



side千夏


「何かごめんね。デートがこんなんなっちゃって」

 ベッドに横たわる先輩とわたし。そこで、突然先輩が謝ってきた。

「本当は、お昼の後もウィンドウショッピングをしたり、おやつタイムしたり…と色々考えてたのよ?」

 先輩にしては珍しく考えてたんですね。

「何気にひどいよぉ、それ」

 ふふふ。だって、普段が完璧なのに恋愛ごとまで完璧じゃあつっこむところがありませんからね。

「ぅう、千夏ちゃんがいぢめるよぉ~」

 愛情の裏返しだと思って諦めて下さい。

「さて…これからどうしようかしらね~」

「そうですねぇ…」

 二人で後の予定を考えていたら、階下でドアの開く音が聞こえてきた。玄関だろうか?

「一美~、いるの~?」

 例の看護師らしかった。先輩のお母様だっけ?

「あい~、部屋にいるよ~。お客人も一緒」

 そう先輩が答えると、階段を上がってくる足音が聞こえてきた。程なくドアが開いた。

「良かった、いたのね。…あら、千夏ちゃんだっけ?いらっしゃい」

「お、お邪魔してます…」

 しどろもどろになりながらお母様にご挨拶。

「母さん、帰り早いじゃない」

「うん、今夜の深夜勤が足りない事がわかってね、一回戻ってきたの。また夜に行かないと」

「あらら、それは大変だ。じゃ、晩ご飯作るよ」

「お願いね。その間にお風呂入ってくるわ。あなたも、ご飯食べて行きなさいな」

 ええっ!お邪魔じゃないでしょうか?

「大丈夫よ。今日はあの人いないから女子三人で賑やかにやりましょう。都合とかどう?」

 電話さえ入れれば大丈夫だと思います。

「良し決定!一美、料理は任せたわ」

「はいはい、早くお風呂行って来れば?」

 頼むわよ~と言い残して、看護師は階下に消えた。

「いきなり決まっちゃったけど、本当に大丈夫?」

 それは平気です。わたしもまだ、帰りたくなかったし…願ったり叶ったりです。

「うっ、そういうとこが反則なんだよなぁ」

 ど、どういうことですかっ!

「理性を壊されるくらい可愛いってこと!ますます好きになっちゃう」

 珍しくストレートな返し…恥ずかしいじゃないですか。嬉しいけど。

「んじゃ、晩ご飯作るか!あ、良かったら手伝ってくれる?」

「はいっ!喜んで」

 即答したわたしは、先輩と手を繋ぎ階下へ降りていった。



お待たせしました コミケ後1発目です


普通のデートから一転、ムフフな感じになってますね

相変わらずそのシーンは書いてませんがw

ツッコミどころが満載かも知れませんww

後日もうちょっと修正入るかも?


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