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side一美
トラックでは、400m走が行われていた。
「非公式な記録会にしては、気合い入ってない?各校とも」
「今回の記録を参考に、県大会の出場選手を決めるガッコもあるみたいやしな」
またもや、菜々美の裏情報炸裂。
まぁ、ウチの陸上部も予選を兼ねてるって元級友が言ってたっけ。気合いも自然と入る…てとこか。
「ところで、幅跳びはいつ始まるんだぁ~?」
「スケジュール的にもうすぐやと…あ、出てきた」
メインスタンド下に視線を移すと、選手や役員が出てきて幅跳びの準備が始まった。
選手を見ると…ざっと十四、五人いるかな?
その中に…彼女はいた。
「そんな小柄には見えないね」
「あんたたち二人が大きすぎるんや」
ごもっともで。
「二人が並ぶと、ウチまで小さく見えてしまうんやから。ちょっとした悩みのタネや」
意外にも悩んでたのね、小さいこと。
「あんたたちがデカ過ぎなんやぁ~~」
珍しく、菜々美が吠えた。
「その代わり、菜々は乳がでかいじゃん。あたしはそっちが羨ましい…」
こっちも、珍しく春菜が落ち込んでる。
「胸が大きくても、良いことないんや。肩が凝るばっかりで」
はいはい、自虐ネタはよそでやってなさい。観戦の邪魔よ。
「よっ。やっぱ観戦に来たか」
声がした方向を見ると、元級友がスタンドに来ていた。
「あれ、出番は?」
「取りあえず、一つ終了。次まで時間があるから、休憩がてらあがってきたってわけ」
なるほど。
「そこの二人はどうしたの?」
「あぁ、勝手に吠えて勝手に自滅してるだけだから」
「…何か、よくわかんないんだけど」
元級友は理解に苦しみ、苦笑していた。
「彼女の応援?」
元級友が、前触れもなく聞いていた。
ボンッ!
一気に、顔が上気するのがわかった。
い、い、いきなり何を聞くのっ!
「か、か、か、彼女じゃないわよっ!」
付き合ってるわけじゃありません!
「そんなに過剰に反応しなくても…藤宮の応援でしょ、って意味で聞いたのに」
……あぁ、そゆこと。早とちりしました。
「確か八番目に跳ぶとか言ってたなぁ」
ということは、もうすぐね。
「何本跳ぶの?」
「予選三回、決勝五回…だったかな?」
予選なんてあるんだ…。
「予想より参加人数が多かったらしいんで、急遽そうしたらしいよ?」
「大変ねぇ」
「そう思うなら、しっかり応援してやって」
まぁ、元よりそのつもりだし。
「それにしても…」
なに?
「”彼女“に反応するなんて、あんたも気があるんじゃないのぉ?」
そ、そ、そ、そんなことは…ないとは言い切れない。その辺りのことで、数日悩んでるのは事実。
「うわぁ~、ビンゴですか?」
「よくわかんないのよ。事故以来、気になる存在なのは確かだし、気がつくと自分の視界の中に彼女がいるし…」
そこまで喋って、気がつくと元級友はため息を盛大についていた。
「一美、あんた立派に恋してるじゃない」
………………。
「ええええええええ~~~~~~っ!」
わ、わた、私、藤宮さんに恋してる~~っ?
あんた、気付いてなかったの?みたいな視線が、元級友から私に突き刺さっていた。
「ま、そこがいちみだしね」
「そうそう。いっちゃんニブやから」
いつの間にか現実に戻ってきていた二人にも、攻められていた。
「こ、こ、これって恋…なの?」
「どう見たって恋だよねぇ」
「んだんだ」
「もしかして…経験ないん?片思い」
そんなことはないけど。
でも、相手は女の子、同性よ?そんな感情が起こるなんてあり得ないでしょ?
「普通ならね」
「でもあんたは告られてるわけだし」
「そこから始まる恋心…っちゅ~のもあり、やないかな?実際、かわええ娘やし」
そこは、私も認めるけど…。
思い返してみたら、恋煩いみたいな行動をしている記憶は幾つかあるし、気になってるのは確かだし。
「確定やね~」
「さぁさぁさぁ、告白はいつ?今日?」
「ま、そう焦らせてもダメだよ」
うるさい外野は無視して…と。
幅跳びレーンに視線を移して…あれ?
い、一本目が終わってるよ。
ガクッ。
バカ騒ぎしてて、観戦を忘れてるとは…。これじゃ、目的がなんなのかわかんなくなっちゃうよ。
ふと、彼女と視線が合った。
あんだけ騒いでたら、イヤでも気付くよねぇ。
取りあえず、はにかんで片手を挙げた。
一応、見に来たよ~の意思表示で。
…ぷいっ。
「え……?」
私は目を疑った。
何か、怒っていらっしゃる?
私、何かしたかしら。怒られる理由がわからない。
告白した側が怒ってるなんて、どういうこと?
ようやく、自分の気持ちに気がついたというときにこれじゃあ、落ち込みますって。
「…あれ?いちみ、どったの」
「今度はいっちゃんが、自虐ネタかえ?」
「何があったの、一美?」
いよいよ試合が始まりましたが…何しに来たんだこいつらw
観戦そっちのけでコイバナかよ^^;
ということで、一美が自分の気持ちに気がつきました
周りのおせっかい共のおかげで(ぉ
この先どうなるのか?
さて、どうしてやろうわまてなにするはなせやめ