友達のドラゴンが経営するダンジョンで巣作り担当やってます。
黒の迷宮。
山岳地帯にあるそのダンジョンは、空を自由に飛べる者にしか出入りできない、崖の奥地。
そこには、ドラゴンが出入りできるほど大きな裏口がある。
まだグリュウが暴れたときの痕跡は残ったまま。
荒れたホールへ帰宅すると、1人の少女が駆け足でやってきた。
「シローくん! シュバルちゃんもお帰りなさい!」
大きな紫の瞳を輝かせ、フリフリなエプロンドレスで包み込むように――
否。
潰されるように思いっきり抱きしめられた。
「ぐえー」
「ああ」
「……エルちゃんもお帰り」
「ただいま、クイーン様」
和やかにみんなに出迎えられ――あれ、クイーンしか居ない。
『申し訳ありませんでした、クイーン!』
一緒に帰ってきた秘書さんやサキュバスさんたちは、スリーピィの前で土下座している。
「いいのよ~みんなが無事に帰ってきてくれて……」
「クイーン……」
「でもバツがないとみんなの示しにならないからね♪ あとでた~っぷり、楽しみましょう♪」
「は、はい!」
せ、せめて乱暴なことはしないであげて――
「じゃなくて。スリーピィ。襲撃はどうなったの? みんなは?」
「……にゃはは」
笑ってごまかそうとするスリーピィに、嫌な予感しかなかった。
◆ ◆ ◆
「なっ――!」
地上1階にある休憩所や魔動自販機は破壊。
地下1階以降も、床や壁が壊され放題。
ガレキとなったダンジョン内を、他のモンスターたちが一生懸命片づけをしていた。
「あ~シュバル様! エルさんにシローさんも! おかえりなさい!」
「ボス! よくご無事に!」
「エルちゃんや~。シローも元気のようやな」
「ポム!(あれ班長? 額に宝石みたいなのくっついてますよ?)」
「聞いてくれよボス~。冒険者の奴ら、オレら無視して――壁とか床、徹底的に破壊してくれたんだぜ~」
グリュウに支配されていた冒険者たち。
目的はこっちのダンジョンの破壊だったか――おのれグリュウ。やっぱ同情するだけ損だった!
「そんなことよりも……お前達たちが無事でなによりだ」
『ボス……』
きゅん――
「いや、きゅんじゃなくて。これじゃあ、しばらく営業はムリ――」
「あっ、そういえばボス。そこにダークアイのお客さんが来てるぞ」
気付けば。
触手をウニョウニョと動かしているダークアイが、そこにいた。
「うわっ、びっくりした!」
「どうもダンジョン協会アッサム支部のメンダルです……その節はどうも」
「あれから、協会本部の方ではどうなったのだ」
「それが、その……」
口は無いはずなのに、言い難そうにゴニョるダークアイに、みんなが首を傾げる。
「黒の迷宮は、この度のダンジョン協会アッサム支部に対する攻撃に……ペナルティが科せられます……」
「はぁ!?」
「グリュウさんは半永久的にダンジョンランキング参加の資格を剥奪となります」
「そりゃ攻撃はしたけどさ! シュバルは、みんなを助けるためにさぁ!」
俺が詰め寄ると、メンダルは困ったように目玉をキョロキョロとさせた。
「わ、分かってます……だけど、ダンジョン協会の会長様は……大層ご立腹していらしてて」
「それで、ペナルティはどんな内容なのだ」
シュバルはいたって普通な調子で聞いてるけど、目玉は滝のような汗を流す。
「……ほ、本日よりランキングへの参加。これが3週間ほど停止となります……いやはや」
え、聞き間違いじゃない?
「いえ、3週間です――」
「3週間!?」
期限まで残り1か月しかないのに!?
「そうか、分かった。ご苦労だったな、メンダルよ」
「了解しちゃダメだよシュバル! こうなったら、その会長さんとやらに抗議だよ! ドラゴンなら、そんな分からず屋な会長にビシッと言ってやって――」
まるでそう抗議されるのが分かっていたかのように。
メンダルは、どこから取り出したのか“箱”を、俺らの前に出した。
「会長より。もし抗議があれば受け付けてやらんでもないと。連絡用の魔道具を預かってますが――」
「メンダルさん、貸してください!」
水晶とか機械のような部品がついた、四角い箱。
そこへコードで繋がったマイクを持ち、スイッチを押す。
プルル、プルル――ガチャッ。
何回かのコールの後、繋がったようだ。
「もしもし? ダンジョン協会の会長さんですか?」
『――いかにも。汝は、誰だ?』
なんかすごい偉そうで、シュバルとはまた違う……凄みの聞いた低音だ。
でも気圧されてはダメだ。
「アッサム地方3丁目の、黒の迷宮。営巣担当の、シローって言います!」
『……あのブラックドラゴンのダンジョンか。ペナルティの件か』
ここはもう、ハッキリと。
巣作りを担当している者として、ビシッと言ってやるんだ。
「そうです! 酷いじゃないですか、いきなりペナルティって――こっちはグリュウの決闘に、無理矢理巻き込まれただけで――」
『ランキングの停止は不服だというのか』
「そうですそうです!」
『ならば――直接、我のところへ来れば、免除してやってもいいぞ』
「直接? そこってどこなんですか」
協会本部って、やっぱり魔界にあるんだろうか。
『魔界ダンジョンの奥地――第7階層、魔王城だ』
ダンジョン? 魔王城?
『我が名は、大魔王ルシファード・サタニエル。魔界全土を支配する、唯一にして絶対の存在』
背筋が凍るほどの、恐ろしい声。
魔法話の道具越しでも伝わってくる、威圧感。
『魔界は全7階層となる、我がダンジョンだ――挑戦するというのなら、いつでも歓迎するぞ』
「――はい。遠慮しときます。はい、では3週間で……はい」
ガチャン――
「なんでダンジョン協会の会長を、魔王がやってんのさ!?」
「それはダンジョンの名建築主と言えば! 古来より魔王様と決まっていて……」
そう言われたらそうだけどさ!
「嘆くことはないぞ、シロー。どの道、再建には時間がかかる」
メンダルも、触手を1本ゆらゆらと挙げる。
「はい~。我々ダークアイも微力ながらお力を貸しますので~」
「じゃあシュバルちゃん。まずは、お帰りなさいパーティーしましょ!」
「よーし。酒だ! ヌメルンに頼んで、料理も作って貰おうぜ!」
「ポム!(班長のランクアップ記念だ~)」
「ポム(ふっ。あの新人が、えらく立派になったもんだ――)」
他のみんなも寄って来てワチャワチャと騒がしい。
けれど、こんなみんなと一緒なら――
「そうだね……こうなったら、もう1回リスタートだ!」
この黒の迷宮は死んじゃったけど、俺たちの手で、もう1度作り直してみせる!
ぜったいに、ランキング1位取ってみせるぞ!
【第1部 完】
◆おまけ
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
種族:ボルボール(ランク9)
称号:竜の因子を受け継し者
ブラックドラゴンの盟友
サキュバスクイーンの盟友
ダークエルフの盟友、他。
ドラゴン営巣担当
名前:シロー
レベル:10
ライフP:724
マジックP:320
ちから:321
がんじょう:560
すばやさ:310
たいりょく:354
まりょく:310
けいけんち:500
魔法:竜魔法(魔力が規定値に達した時のみ発動可能)
スキル:死ぬとレベルアップ、隠密LV1、徒手空拳LV1、エナジードレインLV1、マジックドレインLV1、支援強化LV1
NEWスキル:竜殺LV1、竜抗LV1
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