表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にスキルを持って最弱魔物に転生した俺―友達のドラゴンが経営するダンジョンで巣作り担当やってます―  作者: 夢野又座/ゆめのマタグラ@コミカライズ企画進行中
第8話 最弱と最強

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/53

8-5 最弱のドラゴン


 視界はクリア。

 目の前には、俺と()()()()の碧竜――

 

「な、なんだそれは――ッ!」


 はじめてグリュウの、心からの驚いた声を聞いた気がした。


「シロー……その姿は!?」


 シュバルもまた、目を見開き驚いている。

 それはそうだろう。

 橙のウロコに覆われ、コウモリのような翼を持つ。

 俺のイメージした、俺の願いが形になった姿。


 1匹のドラゴンへと成り代わっていたのだから。


「――スゥ」


 血が燃えるように熱い。

 1度しか聞いてないけど、今なら分かる。


「――ルゥ、ォォオオオオッ!!」

「これは……崩壊魔法(エンドスペル)か! この野郎が!」

「ぐっ!」


 すぐにグリュウが魔法の正体に気付き、こちらへ突進してきた。

 魔法も半端にしか発動しなかったけど、シュバルの鎖にヒビが入っている――もう少しだ。


「ボル風情が! ドラゴンに変化しやがって――」

「言っておくけどグリュウ。ただ変化しただけじゃないよ」

「なにを――」


 俺の拳が、グリュウの顔面を穿つ。


「グォッ!?」

 

『徒手空拳 LV100』 

竜殺(ドラゴンキラー)適正 LV100』


 カードを見なくて分かる。

 どうやら竜変化により補正値のおかげで、俺のスキルは全部強化されている。

 あと死んだ時に、アレが体内に残っていたおかげで――ドラゴンキラーの効果も手に入れている。

 

「これ1回やってみたかったんだよね――」

「なにを……」

「ボルボルボルボルッ!!」


 オラオララッシュ改め、ボルラッシュ!

 とにかくたくさん殴っているだけ。

 だけど、超強化された拳はウロコを砕くほどの威力がある。


「このッ! 調子に乗るなッ!」


 間近で碧炎の吐息(グリーンドラゴブレス)

 だけどそんな見え見えの攻撃――


「たあッ!」


 しゃがんで避け、自前のしっぽで足払いを仕掛ける。

 ドォーンと景気良くすっころぶグリュウ。


「ぐッ!?」

「まだまだ――お前から、全部奪ってやるぞ!」


 グリュウの腕をまっすぐに伸ばし、俺の身体を刺し込む。

 いわゆる腕十字固めだ。

 この状態から――俺は2つのスキルを同時発動する。


「コイツ。オレ様の生気と魔力を――!」


 エナジードレインとマジックドレイン。

 身体に直接触れないといけないこのスキルも、体格差のほぼ無い今なら安全に使うことができる。


「ふざけるなよ――ゥルルゥッ!」


 その姿勢のまま、グリュウは背中で風の魔法を発動。

 俺たちの巨体は、宙へと浮き――


「オラッ!!」


 関節技が緩んだところへ、頭を掴まれ――硬い岩盤へと叩きつけられる。


「痛――くない。さすがだ!」


 勢いよく立ち上がりつつ、グリュウのアゴへ頭突きをかましてやった。


「ぐお!?」


 驚いて、そのまま空へと飛びあがる――


「スゥ――ハッ!」


 俺の口から、山吹の吐息(サンシャインブレス)が放たれる。

 オレンジと白の入り混じった炎だ。


「ガアッ!!」


 グリュウも碧炎の吐息(グリーンドラゴブレス)で応戦してくるけど――


「ガッ!?」


 こっちのはドラゴンキラーが乗ったブレスだ。

 たちまち緑の炎は、すべて俺の炎に飲み込まれてしまった。

 全身を焼かれ、緑のウロコの何枚かが剥がれる――

 あともう少しだ。


「おのれ……おのれおのれおのれぇ……この、ガキがァ!!」


 グリュウは怨嗟(えんさ)の叫びと共に、さらに俺と距離を取った。


「ゥルゥゥ――ルォオオオッ!!」


 ドラゴンになって初めて分かったのだけれど。

 相手の発動しようとしている竜魔法(ドラゴスペル)が、なんとなく知覚できるんだ。

 とは言っても、それがどんな竜魔法(ドラゴスペル)なのか、知識が足りないせいで種類までは分からない――


「マズい……!」


 でも、グリュウが発動しようとしている魔法が、とてつもないのだけは分かる。

 俺はそれを阻止しようと、翼に力を込めて――


「サキュバスどもぉ!」


 地面から生えてきた魔法の鎖が、俺の身体に巻き付いた。

 これは――!


「ギャハハッ! どうやったかは知らんが、ドラゴンに変化したのが仇になったなぁ――この場所ごと、吹き飛んでしまえッ!」

「たしかにこの鎖に捕まってると、スキルの発動ができないみたいだけど……いいのかなぁ」

「はぁ?」

 

 俺の姿形は、一瞬で元のボルへと戻っていた。

 当然――鎖は緩み、俺はその間から悠々と出たのだ。


「あっ」


 そして再度、竜の姿へと変身!

 鎖に変化したサキュバスたちも、命令がなければすぐに次の行動には移れない。

 

「スゥ――ルゥ、ォォオオオオッ!!」


 再び崩壊魔法とやらを発動させた。

 俺の声は、あいにくだけどグリュウまで届かない――

 だけど、確実に届く相手がいる。

 

 パキンッと、シュバルを覆っていた魔法の鎖が砕け散り。

 鎖の姿がすべて、サキュバスさんたちへと戻る。

 

「よくやった、シロー」

「へへっ」


「行くぞグリュウ。ルゥ、ルォオッ!!」


 シュバルの身体には黒いオーラが覆われる。

 

「貴様らまとめて――ゥルルルッ!!」


 グリュウの頭上に、瞬時に出現した巨大な、緑の太陽。

 たぶん、アレが極滅竜魔法(ドラゴスペル)なんだろう。


「シュバル! 俺を使って!」

「……分かった!」

「ルゥ――」

 

 竜の肉体から、1本の槍へと変化する。

 オレンジの装甲に覆われた、二股の槍――

 名前は……えーっと。


「いや名前なんか、なんでもいいか!」

「貫け。シローギヌスよ!」


 だからネーミングセンスッ!

 そのままシュバルに捕まれ、魔法により強化された最強のドラゴンにより――一直線に、投てきされた。


「オリャアアアッ!!」

「くたばりやがれェ!!」


 そのままこっちへ向かって飛ばされた緑の太陽を貫き――

 一直線に――グリュウの巨体へ、深々と突き刺さった。


「――ガハッ!?」


 そして俺たちは、そのまま地面へと落下したのだった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ