表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にスキルを持って最弱魔物に転生した俺―友達のドラゴンが経営するダンジョンで巣作り担当やってます―  作者: 夢野又座/ゆめのマタグラ@コミカライズ企画進行中
第6話 スタンピード・ザ・総選挙

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/53

6-5 ダンジョン総選挙・2

 

 時間が経つのは早いもので。

 

 ついにやってきた総選挙開催当日、朝。

 外はまだ薄暗いであろう時間帯だ。


「ふあ……眠いけど、頑張らないと」

 

 昨日も遅くまで準備してたせいだけど……。

 今日は俺もモンスターの一員として、このフロアで戦うつもりだ。

 みんなの緊張した息遣いが聞こえる――


 ピンポンパンポーン↑


『黒の迷宮、全モンスターへ告げます。第1回黒の迷宮ダンジョンヒロイン総選挙――まもなく開始となります。まだ配置についていないモンスターは、すぐに特設フロアへ向かって下さい』


 ダンジョン内放送が響きわたる。

 ルールは事前に伝えてある通り。

 冒険者たちは、事前に入手した闘表券(とうひょうけん)で入場、制限時間は60分。

 モンスターを倒してドロップする硬貨を手に入れれば、候補者に5分だけ会える――シンプルだ。


『候補者の皆さんには硬貨1枚につき、1つ票が入ります。繰り返し挑戦させて、どんどん枚数を稼いでくださいね』


 さらに正確な時間を測るため、ギュスター商会の職人さんに砂時計を作って貰った。

 太陽と月の位置で時間を割り出すマジックアイテムは地下じゃ使えない。

 なので5分を計測するための砂時計を準備した。


「ポム!(よくわかんないけど、班長の発明だったんですね!)」

「ポム!(ゲームに熱中してると、すぐに時間忘れちゃうから助かるんだな)」

「ポム……(しかし全モンスターと冒険者か……ヘッ、腕がなるぜ……)」


『ダンジョン1階特別転送装置(テレポーター)、起動――まもなく冒険者がやってきます』


 ◆

 

「なんだここは!?」

「げっ、モンスターたちがたくさん――!?」

狼狽(うろ)えんな! 協力して戦うぜ!」


 次々と冒険者たちが、このフロアへと辿り着く――

 ……かなり多いぞ。これは目標数にはかなり近いくらいいきそうだ。


『よくぞやってきた、冒険者どもよ』


 フロア内に響き渡る、シュバルの声。


『我が人間界より連れ去った姫は、我が暗黒魔力(あんこくまりょく)により、その肉体と魂をモンスターへと変貌(へんぼう)させた――』


 っていう設定。

 俺の書いた台本通りに、シュバルはセリフを読み上げていく。


『くくくっ――もし姫を助けたいと願いなら、我が配下へと立ち向かってくるがいい』


『古のコインが姫へと導くであろう――貴様らの苦しむ様、見届けてやるぞ――グワッハッハッ!』


 うーん。

 やっぱちょっと無理があるような説明セリフなんだけど――


『皆さん! どうか、ご無理をなさらないよう――』

『あーん。ブラックドラゴンさんのせいで、エッチな悪魔に変えられちゃったよ~』

『筋肉質な冒険者、募集中』

『ポム!(ボル班のみんな、頑張ってねー!)』


 続けて岩壁に映し出される姫たちの映像――

 

「おのれ邪竜王!」

「サキュバスの子を助けるのは、オレだ!」

「エルフ姫よ。今、そちらへ行きます!」


 よし。男は単純でよろしい。


 こうして、この世界初のダンジョンモンスターVS冒険者。

 スタンピードイベントが、幕を開けたのだ。


◆特設フロア


 本来は、動く壁を使って通路や部屋を形成しているが――それを引っ込めて、めっちゃ広いフロアを用意した。

 だが、そこには総勢100匹の大中小の様々なモンスター。

 対するは、50人は余裕で超える冒険者たち。

 普段は力を抑えているモンスターたちも、今日は割と全力で戦っていいと言ってある。


 すでにイベント開始から数十分――

 正面からぶつかり合ったモンスターたちと、冒険者たち。

 ほとんど乱戦状態だ。互いに統率もなにもあったもんじゃない。


「クソッ、こんなに他の冒険者がいると、必殺剣使えないじゃねーか!」


 どっかの冒険者がグチる。

 それも狙いのひとつ。

 必殺剣で根こそぎいかれたら困るからね。


「フン――邪悪なモンスターどもめが」


 新しく転送されてきた、チョビ髭でダンディな鎧男。

 冒険者っていうより、どっかの国の騎士みたいな恰好だ。

 肩には、王家の紋章って感じの刻印が入っている。


「お前ら! ほかの品性下劣(ひんせいげれつ)な冒険者なぞ構わん。まとめて吹き飛ばしてしまえ!」


 チョビ髭が、仲間の鎧騎士たちに命令する。

 まぁ、別に同じ参加者だからといっても、他人だもんね。

 利益考えるなら、そういった極端(きょくたん)な行動に出るヤツも必ず出てくる――


「北斗一刀流、極暑(ごくしょ)フレイムドライブ!」

青天(せいてん)ウィンドソード!」


 炎熱を帯びた斬撃、真空刃による斬撃。

 その2つが冒険者ごとモンスターたちに襲いかかる――その寸前だった。

 

骨剣流(こっけんりゅう)――」


 剣を携えたスケルトンが、騎士たちの前へと躍り出た。


骨断(ホネだち)二連ッ」


 目にも映らない高速の2連斬撃。

 騎士たちの手首は、篭手(ガントレット)ごと切断された。


「ぐ、ぐぎゃあああ!?」

「手が、手がぁあああッ!?」


 痛みにのたうち回る騎士たちの側に、悠然と立つ1体の骨。


「カカカッ。そういったマナー違反は、お断りだぜ?」


 いやスケサンかよ!

 お前、そんなに強かったのか。

 まぁシュバルとエルがスカウトしたんだから、何かしら技能があるはずなのはわかってたけど。


「ええい、スケルトン相手になにをしておる。魔導部隊、魔法を放てッ!」


 見た目は鎧騎士だが、手に持っているのは杖だ。

 口々に呪文を唱え、氷や岩の攻撃魔法で遠距離攻撃してくる。

 仲間への被弾を考えて、範囲魔法じゃないのは、良い判断だけど――

 

「そんな攻撃じゃ、ぜんぜん当たら――」

「岩の化身よ。あの者を捉えよ――ストーンゴーレム」


 さらに3人目の唱えた呪文により、スケサンの背後にゴーレムが現れ、拘束してしまった。


『マ”ァッ』


 ゴーレムのやる気あふれる音声が、口(?)っぽい部分から聞こえる。

 

「おっ?」

「よしっ。そのままバラバラにしてしまって――」


 しかしそのゴーレムは――背後からの一刀両断(いっとうりょうだん)により――

 硬そうな岩の肉体が、真っ二つに割れてしまう。


『マ”』 『ァ?』

「おー、黒竜により身体が操られてしまう~……騎士様、おさがりください~」

 

 ゴーレムを両断し、スケサンを助けたのは――剣を持つ、黒髪ポニーテールの女だった。

 黒を基調としたゴシックなエプロンドレスに、白いレース。

 剣を振るう度に、ワキの空いたスペースから、胸元のサラシが見え隠れする。

 鍛えられた太ももを覆うようなニーソックス、それを釣り上げるガーターベルト。

 動くたびに、スカートの中が見えそうで見えない良い塩梅。


 俺のデザインした和装メイド衣装に身を包んだ――


「ボ――じゃなかった。闇に魅入られしサムライ姫よ、助かったぜ」

「シュバル様をお守りするのが、我が役目――」

「おのれ! 人質を戦わせるとは、なんと卑劣な!」


・候補者5 シュバル(見た目だけ女体化バージョン)


 人化の魔法で姿形が人間にバケられるなら!

 こういったのにも、成れるはず!


「我より剣の自信があるのなら、立ち向かってくるがいい――その腰の剣は飾りか?」

「ぬぅ……いくらなんでも女子(おなご)相手に剣は向けられん。一時、他のモンスターを狙うぞ!」


 そう言ってチョビ髭と3人の鎧騎士たちはどっかへ行ってしまった。

 手首を切断された2人は、もう帰還魔法(リターン)で退却済みだ。


「……なかなか騎士道精神のある男だ」

「いやー、それでもボス……なかなか可愛く仕上がってるじゃねーか」

「腰布をめくるな」


 でも、ドラゴンの魔法だと性別までは偽れないらしいからね。


「……下着とかどうなってんの? やっぱりパンティー履いてるのか?」

「覗こうとするな」


 だから――アレ(ナニ)がついたままです。

 覗かれちゃうと、見えちゃいます。

 

「……さて。たまに正気へと戻ったフリをして、冒険者を助けたりとしないといけない……忙しいものだ」

「オレもほかのモンスター援護してくるわー」


 ちなみに俺は――早々に冒険者に踏まれて、床の中に埋まっちゃってる。

 誰か掘り起こしてー!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ