4-4 ランキング更新(初週~2週)
今週は結局、2組だけだった。
唯一地下3階まで辿り着いた3人の冒険者は、一旦村を離れたようだし。
たまたまやってきたであろうオッサン冒険者2人組のパーティーは――自販機も利用せず、地下1階を少しだけ物色して帰ろうとしたので、
『なんだこの部屋!?』
『来た時はなかったぞ!?』
こっちも稼ぐために必要なんだ。
モンスターハウス(大量のモンスターと戦える広めの部屋)へとご案内し、冒険者撃破ボーナスを頂くことにした。
『ぎゃああ!?』
所属モンスターの中でも、高レベルの彼らは冒険者たちの必殺技にも対応できる。
さくっとオッサン2名を倒し、一同は解散する。
本来の不思議のダンジョンシリーズであるならば、その際には身ぐるみは剥ぐんだけど……。
「アイテム回収したら、そのオッサンの手荷物に、”囚われの姫情報その1”の紙片入れといて」
『ポム(分かったわ)』
『ポム(班長、僕らは亡骸ステーションへ運んできます!)』
まずダンジョン内で手に入れたアイテムのみ回収。
さらに死んだ冒険者の手荷物には、意味深なメモを残す。
“地下3階。そこには幽閉された何者かがいる――”
いやまぁ、怪しいんだけども。
それでも何組がに1組でも興味を持ってくれるのを期待して、このメモを残しておく。
これから2か月……打てる手は、なんでもやらなくちゃ――
◆ ◆ ◆
日にちが変わる深夜。
今週分の集計が終わってしまった。
「はぁい。速報が出ましたよー」
ダンジョン本部へと、羊皮紙を片手に持ったフェルネがやってきた。
ここにはボル班のみんな、エルとスケサン。あとスラミンやゴブゾルもいる。
「今週のポイントは――なんと!」
「ごくり……」
「2400ポイント!」
「マジで?」
「順位は98位です」
たった2位上昇か……。
元々300ポイントだったこと考えたら、もちろん大幅増収なんだけど。
DPは『総合』『平均(月)』『平均(週)』でそれぞれのランキングが作成されている。
今から総合で届く訳がないし、月か週の平均でランキング1位を獲るしかない。
「えーっと、みんな……」
そんなすぐに結果がでるとは思ってなかったけど――他のみんなは意気消沈してないんだろうか。
しかし、そんな不安をよそにみんなの反応は予想とは違っていた。
「すげーなオイ!」
「むむむ……過去最高DPを更新しておるな」
「げぇ。マジで結果出ちゃったのぉ?」
「ポム!(さすが班長だ!)」
みんな順位の書かれた紙を見て大興奮であった。
「まー収支で言えば赤字ですけどぉ。ランキングには純粋に稼いだ数字だけ反映されますからね」
「それでも、これなら希望が見えそうです」
「ですねー。エルさんも一安心じゃないですか?」
みんなが喜んでくれる。
それだけで、ここまで頑張った甲斐があったというものだ。
「ぐす……」
「おいおい。なに泣いてんだシロー」
「な、泣いてなんかない!」
結果としてはまだ小さな1歩だ。
「まだまだこんなポイントじゃ足りないんだから――その、頑張ろう!」
「まー。ボスの手前、頑張ろうじゃないの」
「ポム!(そうですぜ班長!)」
「ポム!(僕らも頑張ります!)」
しかし、ランキングの変動はダンジョン内のモンスターたちにも心境の変化をもたらせていた。
◆ランキング2週目
何やら地図を持った冒険者一行がやってきたが、迷うだけ迷って出て行った。
多分、初週に来た冒険者の知人パーティーだ。
これで冒険者ギルドへは、この特異なダンジョンの特徴が伝わる――はず。
俺が通路で他のモンスターに挨拶すると、軽い感じで返事をしてくれるようになった。
シュバルも俺を褒めてくれた。
他にも3組ほどの冒険者。
地下3階に辿り着いたのはドワーフ1人、エルフ1人、人間2人という変なパーティーだけだった。
エルフの魔法使いが、用意してたミミックにハマって撤退を余儀なくされたようだ。
◆ランキング2週目・結果
「今週は……凄いです。5100DP。順位も96位と上がり調子ですね」
この連絡は、内部の放送を使って全従業モンスターへと伝達された。
給料の他に、経験値ポーション(青い液体)や魔力ポーション(緑の液体)が支給される。
普段は冒険者にやられてしまって、レベルが上がり難いモンスターたちへの救済処置だ。
ランキング順位が上がると、ダンジョン協会から特別報酬として何本か支給されるのだ。
これらは全部、みんなへと配った。
「いいのかよ!?」
「もちろん。俺はこれじゃレベルアップできないし……」
エルから聞いた話だと、小さなものでもかなり高額らしい。
小さいビンで10本。中くらいで5本。
「よーしお前ら! オレ様が配ってやるから、そこに並べよー」
「スケサン! お前が中ビン取るなよな!」
「なんだと!?」
「――私が配ります」
取り合いになるほどの人気なのか。
これは次からも気を付けて配らないといけない。
「カァー! 仕事のあとのポーションは効くなぁ!」
どうでもいいけど、スケサンはたしかに口からポーションを流し込んだはずなんだけど。
液体は口から入り、そのまま虚空へ消えてしまった。
どんな構造してるんだろうか。




