最弱と最強
この上なく、俺は自分に怒っている。
異世界にやってきて、初めて出来た友達と、仲間――
そんな彼らを、俺は助けられないのかと。
「オラァ!」
「ぐえっ――」
俺の身体が、まるでボールのように地面へとバウンドする。
「おいおい。本当に弱ぇな。さすが最弱モンスターなだけはあるぜ……ガッハハッ」
相手は碧竜グリーンドラゴン。
この世界において、ドラゴンは最強の種族だ。
そんなことは身に染みて分かっている。
「シロー!」
「この鎖め――」
魔法の鎖で囚われたブラックドラゴンのシュバルが、地に伏している。
連れ去られたダークエルフのエルも、魔力封じの結界に捕まり――
それでも、俺たちを心配そうに見ていた。
「ガハハッ! そりゃムリだぜ、シュバル! ニンゲン様ががんばって開発したドラゴン封じの鎖だ。腑抜けで弱っちいお前じゃ、天地がひっくり返ってもムリだぜ」
「だ、黙れよ……」
「あん?」
「シュバルは強い……ここにだって、ひとりでエルを助けに来るつもりで……」
「そりゃー。テメーみたいなザコじゃ、なんの助けにもならねーからなッ!」
「ぐッ!?」
また顔面を蹴られる。
球のような身体が、ふたたび跳ねる。
「だから、今度は俺が助けるんだ……シュバルを、エルを……」
ヤバい。
もう目の前が霞んで、よく見えない。
「まっ、ボルにしちゃ丈夫でガッツがある奴だ。そこは褒めてやるぜ」
「は、はは――お前なんかに褒められても、少しも嬉しくないね……」
「じゃあ、あばよ」
「待て、グリュ――」
俺はグリュウの爪により、全身を貫かれ――
「シロー!!」
エルの声が遠のく。
ああ。また死んじゃった。
これで、何回目だっけ――
まるで、走馬灯のように。
これまでの思い出が蘇る――




