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異世界サークルの研究

自分の趣味だけで書いています。

お目汚しになりますが、読んでいただけると嬉しいです

放課後の部室は、いつもより少し熱気を帯びていた。

机の上にはノート、計算式、図形、古い書籍が散乱し、角には電子機器や小型の発電装置、電磁コイルが置かれている。

窓際の棚には、光学レンズや磁石、放射線計測器など、異世界転移の可能性を探るための道具が並んでいた。


「今日も電磁場を利用して実験するんでしょ?」

咲希が元気に部室に駆け込む。

目を輝かせながらコイルや計測器を覗き込み、軽く跳ねるように言った。

「前回の実験でも微弱な空間異常が出たんだよね。今日もうまくいくといいな!」


「落ち着けって。」

悠真が腕を組み、少し呆れた顔で言う。だが、内心では咲希の高揚感に少し引っ張られている自分に気づく。


「私たちの考えでは、磁力・斥力・重力、光、放射線……これらの現象を相対性理論で考えると、魔法に通じる現象を引き起こす可能性があります」

真白がノートを手に、冷静に説明する。

「特に今回は、電力と磁力を使った小規模な局所的空間の歪みを狙います。理論上は、何らかの異常現象が起こる可能性があるはずです」


「つまり、異世界への扉が科学的に開くかもしれないってことだろ。楽しみだよな」

大地が棚の計測器を指差しながら、少し緊張混じりに笑った。

「魔法が使えるかもしれないって考えると、ワクワクが止まらないぜー」


「異世界と魔法には夢とファンタジーが詰まっているからね」

茂が淡々と機材をチェックする。

「まずはデータだ。実験の結果で何が起きるかを確認するよ」


「何かが起これば面白いよね」

みことが小さく笑いながら、電磁コイルの配線を確認する。

まだ科学の原理だけで現象を起こす段階だが、少しの異常でも魔法や異世界の大きな手がかりになる。


こうして六人は、部室に集まり、机の上の装置を整え、実験準備を始めた。

部屋は狭いが、集中力と期待感で空気は張り詰める。




夕方、外の光が赤く差し込むころ、六人は小規模の転移実験を開始した。

電磁コイルの中心に立ち、手元の計測器を注視する。

磁力と電力を組み合わせ、局所的な空間歪みの発生を試みる。


「電圧を上げるぜ……30ボルト、50ボルト、100ボルト……」

大地が指示し、茂が制御装置を操作する。


部室の空気が微かに震え、計測器の針が振れ始めた。

金属片がわずかに浮き、光の屈折が一瞬だけ奇妙に変化する。


「……なんだろうね、この感じは」

みことが息を呑む。


「理論通りですね。微弱ですが、空間になにか異常が発生しています」

真白の声は少し興奮を帯びる。

磁力と電力が作り出す微細な歪みを、計測器が検出していた。


光や振動が部屋に広がり、六人はその中心で身を固める。

まだ何も触れられない、武器も防具もない。

だが、科学的に“異世界への可能性”を掴む一歩を、六人は確かに踏み出していた。


「……次はもっと出力を大きくしてみよう。その分制御が大変になるが、やる価値はあると思う」

悠真が小さくつぶやく。


咲希はニコッと笑い、電磁コイルを覗き込みながら言った。

「科学で異世界が開くかもしれないなんて……ワクワクするね!」


こうして異世界サークルの六人は、現代日本の部室で、科学の力を頼りに未知の世界への挑戦を始めたのだった。




前回の実験で微弱な空間異常が観測されてから数日、六人は部室に集まり、再び電力と磁力を使った異世界転移の実験に取り組んでいた。


「先週の空間の微小な歪み、計測値は確認した?」

真白がノートを開き、メモを見返す。

「空間の局所的な屈折や、磁場のわずかな変動……まだ本格的な現象には程遠いけど、確かに何かが起きている」


「微弱でも、手がかりはあるってことか」

悠真が机の上の装置を見つめる。

「魔法や異世界につながる可能性があるなら、試してみよう」


「ただ、装置の出力を上げすぎると安全性に問題が出るよ」

茂が冷静に制御盤を操作する。

「電界、磁場、引力……バランスを確認しながら上限を探る必要があるし」


「光の屈折や電磁波の干渉も、うまく利用できれば異常空間を発生させられるかもしれないわ」

みことがレーザー測定器を覗き込みながら言った。

「まだまだ理論段階だけど、データは少しずつ蓄積できているわ」


部室には緊張感が漂う。

しかしその中で咲希だけは、机の隅で小さく身を乗り出して笑っていた。

「ねぇねぇ、ちょっとでも反応が出たらワクワクするよね!

空間が歪むとか、本当に異世界が顔を覗かせる可能性も……!」


「落ち着けって、期待するのもわかるけど、とりあえず計測するよ。何か起きるかもしれないからね」

大地が苦笑しつつも、手元の電圧計を調整する。

「でも、咲希の言う通り、反応が出るとテンション上がるのも否定できないよね」




六人は磁力コイルや電力供給装置を慎重にセットし、前回よりも出力を少し上げた。

磁場センサーが振動を始め、部屋の空気が微かにざわめく。

微弱な電流が空間を走り、金属片がわずかに浮く。


「反応があるよ!」

茂が声を上げ、コイルの角度を微調整する。

「この変化、前回より明確だね。光の屈折率も増しているみたい」


「数値が安定しません……でも確かに何かが起きているようです」

真白がノートに記録しながら言う。

「小規模だけど、局所的な空間歪みが観測できていますね」


六人は互いに目を合わせた。

まだ何も触れられない、武器も防具も能力もない。

だが、科学の力で未知の現象を捉えた瞬間、全員の胸に高揚感が走る。


「このまま条件を調整していけば、より大きな歪みが作れるかも」

悠真が手元の装置を確認しながらつぶやく。


「慎重に続けます」

真白がうなずき、他のメンバーも頷く。

ワクワクと緊張が入り混じる中、六人の視線は、部室の中心に置かれた装置に集中していた。


微かな光と振動が部屋の中を満たす。

それはまだ異世界への扉ではないが、確かに「何かが起こる予兆」であった。


「……科学で未知に挑むって、思ったよりずっと楽しいかもしれないね」

咲希が小さく笑った。

六人は互いに軽く頷き、次の試行に向けて息を整えた。


こうして、異世界サークルの六人は、科学の原理を頼りに、未知の世界への扉を探し続けていた。




放課後の部室は、いつもとは少し違う緊張感に包まれていた。

机の上には計算式や実験データ、電子機器、電磁コイルが無造作に置かれ、壁際にはレーザー測定器や光学センサーが整列している。

机の隅には、微弱な電流を確認するための電圧計や、磁場を可視化する小型装置も並んでいた。


「今日は、出力を少し上げるからね」

大地が声を潜め、制御盤を操作する。

電流計の針が小刻みに揺れ、微かな振動が机に伝わる。


「前回の実験でもわずかに空間の歪みが出ましたけど、今日はどうなるのでしょう」

真白がノートに書かれた数値を見ながら、眉を寄せてつぶやく。

数字上では変化は微小でも、科学的には異常現象の兆候として十分価値のある範囲だ。


「電力と磁力の組み合わせで局所的に空間の歪みを作る可能性があるね……理論上は成功してもおかしくないと思うよ」

茂が機材をチェックしながら静かに言った。

その冷静な声は部室の空気を引き締め、自然と他の五人も集中する。


「実験は毎回ドキドキするね」

咲希が小さく笑い、机の端に手を置く。

目は輝いているが、わずかに震えている。

「何が起こるかわからないって……ちょっと怖いけど、ワクワクもする!」


「咲希、落ち着けって。まずは計測を優先だよ」

悠真が腕を組み、少し呆れたように言う。

だが内心では、咲希のはしゃぎに少し気持ちを引っ張られている自分に気づいていた。


六人は装置の周りに立ち、手を互いに重ねる。

まだ大した成果はなく、あるのは計算と機材だけだ。

しかし、長時間かけて積み上げてきた理論と実験データが、ここで初めて形になる瞬間を前に、胸は高鳴る。


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