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悪役令嬢は人狼かしら?  作者: 塩麴とまと
ループ3:悪役令嬢の反撃
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匿名の手紙

木曜の朝、学園の掲示板に匿名の手紙が貼られていた。


「聖女リリィは偽物。彼女の浄化は嘘。ヴィクターの死が証拠。」


――この筆跡、どこかで…。

だが、クラスメートの誰の筆跡でもない。どこで見たのかも思い出せなかった。

――誰だか知らないけど、面白いことするじゃない!


生徒たちがざわつき、リリィ自ら慌てて手紙を剥がす。だが、噂は止まらない。

「聖女様が浄化できないなら、モーリス様やヴィクター様は…?」

「リリィ様、もしかして…人狼?」


その場にいたダミアンがリリィを公然と糾弾し始めた。

「リリィ、君の浄化は嘘だったな。ヴィクターが死に、マチルダが処刑された。…君自身が人狼じゃないのか?」


彼の声は冷たく響いた。生徒たちが息を吞む。リリィはハンカチを握りしめ、涙目で訴える。


「ダミアン様、ひどい…! 私はただ…!」


ふふ、ダミアン、鋭いけど的外れよ。本物の人狼は、私なんだから。

私は扇を開き、静かに口を挟む。


「ダミアン様、リリィさんが人狼かどうかはさておき、彼女の浄化が嘘なのは確かですわ。」


ダミアンが勝ち誇ったような目をこちらに向けてくる。


「…でも、ダミアン様、あなたの暗躍も忘れてませんよ。私の悪評を流したのは、あなたよね? 」


クリスティーネの言葉に、ダミアンの目が見開いた。生徒たちがざわつき、ダミアンの信頼も揺らぐ。

――ようこそ、疑心暗鬼のスパイラルへ。


勝利を確信したその時、クリスティーネは、突然後ろから肩を叩かれた。

クリスティーネに緊張感が走り、首筋から冷や汗が垂れた。

――誰かしら。私が人狼だって、気づかれた?それとも、怪文書の作者?


意を決してゆっくり振り返ると、そこには第1王子リチャードが立っていた。


「話は全部聞いたよ。うちの弟が大変な失礼をしたね。…申し訳ない。」

リチャードは深々と頭を下げた。

「リチャード王子、顔を上げてください!」


怪文書で野次馬が集まっている中、こんな所で王子様から謝罪をされたら、嫌でも注目の的だった。


「だって、余りに失礼でしょ。婚約破棄したと思ったら、復縁の申し込みなんて。僕なら絶対にそんなことしない。」


いくら政略結婚だろうと、いや政略結婚だからこそ、相手の顔に泥を塗ってはいけない。しかも、クリスティーネは公爵家の令嬢。彼女の父の機嫌を損ねれば、王家は大きな後ろ盾を失うことになる。

そして、王子であるレオナルドの判断は、王家の総意として扱われる。婚約破棄、復縁などと、王子がコロコロと立場を変えれば、結果的に王家自体が優柔不断だとみなされる。

家同士の問題だし、兄として謝るのが筋なのだろう。


だが、そこには謝罪するべき人間、レオナルドが居なかった。


「リチャード様の問題ではございませんのに、謝罪まで…。私には勿体ないことですわ。ところで、レオナルド様はどちらに?」

こちらも低姿勢に返すが、あくまでレオナルドの問題として責める姿勢は崩さない。


リチャードの目を見つめる。彼の目はやはり微笑みを浮かべているが、目の奥は探るような目つきだった。


――リチャード、どこまで知っているの…?

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