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悪役令嬢は人狼かしら?  作者: 塩麴とまと
ループ3:悪役令嬢の反撃
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策士は悪役令嬢を疑う

火曜の昼、庭園のベンチに座っていると、ダミアンが近づいてきた。知的なキャラらしい、冷静で鋭い目つき。

――策士の顔ね。でも、私を試すには早すぎた。


「クリスティーネ様、随分と大胆な手を打つ。金の髪飾りの一件、派手にやりましたね。ですが、大丈夫ですか?人狼がそんな目立つ真似をして。」


彼の声は、探るように静かだった。私は微笑む。


「ダミアン様こそ、疑心暗鬼が過ぎるのでは? 私の悪評を流したあなたが、人狼を語るなんて、笑いものですわ。…それとも、リリィさんの笑顔に、すっかり騙されてしまったの?」


私の言葉に、ダミアンの眉がピクリと動く。図星よ。彼がエリザベスや私の名誉を傷つける噂を流していたのは、3回目のループでも変わらない事実。でも、リリィが好き過ぎて盲信しているのが、あなたの弱点。


「リリィ? 彼女は聖女ですよ。純粋な心の持ち主だ。あなたのような悪女とは違うのです。」


――純粋? 笑っちゃう。リリィの仮面、見抜けてないのね。


「純粋? ダミアン様、よく思い出して。リリィさんが金の髪飾りを身に着けていたのは、婚約破棄よりも前からよ。私に贈られるはずだった品を、なぜ彼女が?そんなにレオナルド様に寵愛される存在だったかしら?」


クリスティーネの言葉に、ダミアンの目が揺れる。


――私も転生者だもの。こんな矛盾、簡単に見つけられるのよ。好感度持ち越しなんてダミアンには知る由もないけど、混乱させるには十分。


「そ…それは…」

彼が言葉に詰まる。効いてる。これは追い打ちをかける絶好のチャンスだ。


「それに、リリィさんがレオナルド様の好物を知っていたのも、妙ですわ。転校してきたばかりですし、食事を共にする間柄でもないのに、何故でしょうね。」


私は扇を開き、口元を隠して微笑む。ハニートラップを匂わせる言葉で、ダミアンの頭をさらに混乱させる。たったこれだけほのめかしただけで、策士の彼なら疑い始めるわ。


「まさか…? リリィが…?」

ダミアンの声が震える。きっと、6月6日のランチのことを思い出しているのだろう。

あの時、リリィは確かに王子の好物を知っていた。本来知るはずの無い情報を。


「ついでに、こんな中途半端な時期に転校してくるなんて、何があったのかしらね?」

このゲームの大前提だが、それがそもそもおかしい。ダミアンならば、謎さえ与えれば勝手に調べてくれるだろう。


「ふふ、ダミアン様、気をつけなさい。疑う者は、疑われる。私、あなたの暗躍も忘れていませんわ。エリザベス様を陥れた噂、誰が流したんでしたっけ?」

私は扇を振って立ち上がり、彼に背を向ける。

ダミアンの視線が背中に刺さるけど、無視してクリスティーネは庭園を後にした。


ダミアンに、疑心暗鬼の種はまいた。

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