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悪役令嬢は人狼かしら?  作者: 塩麴とまと
ループ3:悪役令嬢の反撃
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カウンター攻撃は考察合戦

6月5日、金曜日。

学園は、噂で沸き立っていた。

クリスティーネが、裏で動いていたのだ。


「私クリスティーネとエリザベスの悪評を流してるのは誰?」

さりげなく聞き込みを始めると、すぐに反応が。


「ダミアン様から聞かれたわ」

「私も!」

と報告してくれる子女が続出。単純な子たちね。


昨日クリスティーネが潔白宣言をしたこともあって、話題性は抜群。

さらに、ボブも同じように聞き込みをしている。ボブは男爵位まで叙勲されるような商会の息子だけあって、話術もうまく、顔も広い。噂の拡散には最適な人材だった。

ボブはついでに、びりびりに破かれてしまった、脅迫状の冤罪事件の話まで、面白おかしく真相を暴露しているらしい。


あっという間に、ダミアンが黒幕だという噂が広まった。


「レオナルド王子が婚約者を排除しようとしてるのでは?」

「いや、聖女リリィの裏の顔が…!」


ちょっとしたヒントを与えたら、生徒たちの考察合戦が過熱し、噂はさらに加速。クリスティーネは手を汚さず、ダミアンとリリィへの疑惑が膨らんでいく。

食堂ですれ違った時、ボブはウインクしながら、親指を上げてサムズアップしてみせていた。


夕方、廊下でダミアンと鉢合わせた。


「クリスティーネ様、最近お元気そうですね。」


クイっと上げた眼鏡の向こう側。彼の瞳は、探るような冷たさを帯びている。


「あら、ダミアン様こそ。噂の収集、お忙しそうで。」


クリスティーネの言葉に、彼の目が一瞬見開かれた。

――図星ね。


「人狼ゲームは推理の勝負です。疑うべきは、扇で口元を隠す者ですよ。」


それでも、頭の回転で巻き返す。さすがは冷静な頭脳キャラである。


「あら、誰かさんの影に隠れて暗躍している者だって、十分怪しいですことよ。」


にっこり笑って、クリスティーネも反撃した。


「可哀相に、エリザベス様も泣いていましたわ。」


婚約者の名前が出たら、さすがにギクッとしたらしかった。

――女の子を泣かせた罪は重いのよ。


とはいえ、エリザベスもそんなにヤワじゃない。

今回の噂のカウンターの件は、エリザベスにも許可をとっていた。


「ねえ、エリザベス様。反撃したらダミアン様を叩き潰してしまうかも知れないけれど、大丈夫?」

「あら、婚約破棄された令嬢の行く末なんて、悲惨でしょ。徹底的に叩き潰して、あちらの瑕疵のせいで婚約解消にするくらいで、ちょうどいいですわ。」

こちらがぞっとするくらい、美しい笑顔で当然のように答えた。


さすがはもう1人の悪役令嬢。敵に回したくないタイプだ。

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