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王に勝手に召喚されて神から成長系チート能力を貰ったのに追放されたので辺境の村を発展させに行きます。  作者: アフリカン・サワープラム


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村の成長に天井なし ⑥ 来訪者

『龍帝国バルザード』の城に二人の人物が遠くを眺めていた。


「これは由々しき事態ですね。龍帝ルドノード様、どうなさいますか?一応宣戦布告しておきますか?」


 白いシャツと少し黒が入った赤色のスーツを完璧に着こなし金属のような光沢を放つ金髪を持っている凛々しい男性が見上げながらそう提案している。


「よせ、今回は安易に吹っ掛けることができなさそうだ。ひとつ聞きたいが勝つ見込みはあるのか?」


 男性の目線の先には体長が十数メートルある龍がいる。

 ブラックホールさえ吸い込んでしまいそうな漆黒の鱗を持っているのに、なぜかその巨体からは光と言うかオーラが放たれていて矛盾を超越した存在にも見える。


「一切ありません。なんなら完敗でしょうね」


「ふむ…………」


 龍は真顔でそう言う配下にあっけにとられ、ため息を吐きそうになるが我慢をする。


「行くかぁ、嫌だなぁ」


「わかりました。では準備して参ります」


 一瞬キャラが崩れた龍をガン無視して部屋に戻っていく配下。

 それを横目に見た龍は少し悲しそうにまた遠くの土地を見ている。



『辺境の村フロンティア』の食堂



「大変だ!来訪者が来た。村長早く!」


 ドアを破壊する勢いで開けたアレグロに急かされる。タイミングが悪すぎるって…………


「わかったわかった。今行くからちょっと待ってくれ」


「待てません!は・や・く!」


 こんなに「早く!」なんて言われたのは人生初めてだろう。脳内日記に書いておこう。


「わかったって、ミラルとファラルはここで待っていてな」


 長いベンチから足を外そうとしてすこし転びそうになりながら立ち上がる。


「「私達もお供します!」」


 おお、息ぴったり。さすが姉妹ってだけあるね。


「よし、許可する。じゃあ行くか!」


 急いで足を運ぶ。目の前を走るアレグロについていくと村のはずれのところまで来た。


「本当にいたのか?誰もいないみたいだけど」


 向かい合わせみたいに話していたら、急に三人が僕のことをみて怯えた表情をする。


「酷くない?僕の顔そんなに怖い?」


 確かに嘘をついたかもしれないアレグロを睨んだ気もするけどそこまでじゃない気がする。


「ち、違います。う、う、後ろに…………」


 ミラルが呟くと僕の後を指さした。


 え?と思いながら振り向くとお辞儀をしている青年がいる。その後ろには壁?でもこんなところに黒い壁なんてあったっけ?


 少しずつ目線を上げていくとそこには大きなドラゴンがいた。一言で言うと「かっこいい」、中二病心が震え立たされる感覚がする。


「一言目がかっこいいであるか、とても気に入ったぞ!余のことを怯えないなんてな。はっはっは!」


 おっと心の声が漏れてしまったらしい。


 それよりドラゴンが喋った?それもそうかクロノもしゃべるし。


 僕がこんなに落ち着いている—―はたから見れば—―理由は簡単。この間開放しておいた《勇者の称号》のお陰だ。


 なぜか今まで使っていなかったけど。称号って言うのは隠し能力みたいなものらしい。『解析鑑定』によると、《勇者の称号》は恐怖心や不安感などの負の感情を力に変えてくれるらしい。

 でも、警戒心や油断大敵と言う認識は残っている。


「突然すみません。あなたがここの村長ですよね?」


 今までお辞儀をしていた男性がまるで機械のように背筋を直してから疑問を投げてくる。


「あ、はい。僕がこの村の村長ですが。あなた方は—―」


 ドラゴンは当然として、男性の方の身なりを見るとどこかの貴族様に見える。そんな偉そうな人がなぜこんなところに…………


「失礼いたしました。先にご紹介いたします。こちらの龍は『龍帝国バルザード』の初代帝王のルドノード・アセレル様と言います」


 そう言って左側にいるドラゴン――じゃなくて龍の方に手を上げている。それに合わせてルドノードさんが頭を下げようとする。


「次に、私はこのルドノード様に仕えている秘書兼執事のメラドリス・アレインと申します。以後お見知りおきを」


 メラドリスさんも自分の紹介が終わるとお辞儀をした。


 自己紹介が終わって二人とも頭を上げ終えると、僕の後で呆気にとられていたファラルがやっと緊張がとれてきたのかおどおどと言葉を発した。


「そ、それでお二人方はどのようなご用件でここに?」


 いつもの冷静さが吹っ飛び変に堅苦しく言っている。まぁ、それはそうだろう。ものすごくデカいし偉いもん、この人たち…………


「ファラル。その前にこの人たちは客人だから応接間まで案内してあげようよ」


 言いながら二人のことを見る。そして片方が大きすぎてどこにも入らない事に気づいてしまう。


「気遣い感謝いたします。では、ルドノード様。小さくなってください」


 こちらの意図に気づいたのか、メラドリスさんが何かをルドノードさんに言った。


 その途端。頷いたルドノードさんが「『変幻擬態』」と呟き青紫に白を少し足した色の光に包まれていく。だんだんとその巨体は縮んでいき、翼や尻尾は収納されていった。


 身長が185㎝ぐらいで止まると、今度は光に包まれたひらひらの何かが現れた。スカートみたいに見えるが絶対違うだろう。


「おお………凄い…………」


 ただその一言しか言えなかった。光は顔から収まり始め――あらイケオジ。


 光が完全に収まると、そこにはまるで戦国武将のような黒と紺と白の直垂ひたたれを着て黄金と白の柄がある黒刀を携えていた。

 日本人と白人が4対6ぐらいの顔をしていて光沢を放つ黒髪と顎にある無精髭がとても似合っている。


「はっはっは。良い反応をするものだな!」


 目を丸にして唖然としていたら、なぜか喜んでくれた。


「こちらも準備は大丈夫ですよ。早速案内してくれませんか?」


 見とれていたらそう言われたので意識を戻らせる。


「わかりました。ではこちらに…………」


 ついてきてと手で示し。僕たちは歩き出す。


「そういえば応接間って村長の家の一室ですよね」


 その通り。この間童心を奮い立たせて探索していたらたまたま見つけた。僕は頷く。


「わかりました。それなら私とミラルは先に行ってドラフさんに頼んでリンゴジュースとイチゴを持っていきますね」


「リンゴジュースとかでいいのかな?」


 そう言うとファラルの目が一瞬ギラっとした。でもすぐにいつもの優しい顔になり――


「大丈夫です!」


 ああそう……と、目をそらしながら言うと走って行ってしまった。


 ちなみにリンゴジュースはこの村で毎日飲まれるほど大人気になった。その理由はいたって簡単で、この世界にはあまりフルーツがそのまま甘いということが少ないらしい。

 だから、リンゴの甘さを知ってみんな中毒みたいに飲んだり食べたりしているのです。


 後をチラッと振り向くとアレグロが、私はどうすれば――みたいな顔をしている。そのまま護衛みたいな感じでいいんだよ。


 村長の家に着くと一直線に応接間に案内した。


「いいですね。落ち着きます」


 メラドリスさんが言葉を零すとルドノードさんは深く頷く。


 この二人から見たら質素なとこの気がするけどね。


 ここには代々受け継がれているだろう名もなき骨董品や絵画があちこちに置いてあってその真ん中に淡い緑の三人掛けのソファー向かい合わせに二つ置いてあり、間に座ってちょうどいい低さの木材で作られた机がある。


 片方にはメラドリスさんと刀を置いてきたルドノードさんが座り、もう片方に僕をはさむようにファラルさんとアリスが座ってその後ろにミラルが立っているという感じだ。


 アリスがいる理由はファラルやミルファと同じぐらい頭が切れるからだ。ミルファはずっと研究室にこもっているから呼べなかった。


「失礼します…………」


 ドラフさんがノックをしてから飲み物を持ってきた。

 さすが我らの料理長、今回のリンゴジュースは今までより透き通った黄色をしていて完璧に前世を再現している。あれは苦労してるなぁ…………


 リンゴジュースとイチゴを入れた皿を人数分置いたドラフさんは小さくお辞儀をしてから静かに出て行った。


「早速本題に入りましょう。さぁお願いしますルドノード様」


 うむ、と頷いたルドノードさんは大きく深呼吸をして――


「余の国を下でもいいから盟約を結ばないか?」


 ふむふむ――え、下…………?


 謎の冷や汗をかく

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