(第0話) 神秘社会
異能、、それは現代化学では解明不可能とされる神秘学的現象。
これは、主人公 ナツキ冬馬が未知と神秘に溢れた世界にいざなわれ、世界を変えるお話し。
ピピピピピ、、、
目覚まし時計の音が響き、目が覚める。
まだ定まってない意識のまま、リビングへ向かい家族と共に食卓につく。
「冬馬もそろそろ受験を意識するじきね。」
母はそう心配そうに言い、塾はどうかと提案する。
適当な理由で断り、支度をして家を出る。
学校までの道のりは寒く、みんな手袋やマフラーをしている。そうして学校に着き授業が始まる。
授業が終わり休憩時間になると、同じ高校二年のクラスメイト
「小夏 晴香」(こなつ はるか)
が話しかけてきた。
「ねぇねぇ、最近ここら辺で起きてる神隠し事件について知ってる?」
聞き馴染みのない言葉に俺は首を傾げる
「なんだそれ?」
すると小夏はびっくりしたように
「えぇ、知らないの?ここら辺じゃニュースになるぐらい有名なのに!!」
と言った。どうやら神隠し事件はここ2、3日前ごろから起き始めた三人以上の子持ち家族が突如として姿を消す事件らしい。
「そんなんが起きてたのか」
俺がそう言うと小夏は少し怖い顔で
「ナツキくんち、三人家族でしょだから心配で、、少し注意した方がいいと思って話しかけにきたの」
そう語る小夏に
「ありがとう」
と言い時計を見た後、2人で準備してまた授業を受けた。
そうして学校が終わり6時になってに家に帰るころ、
「ねぇねぇ、最近ここら辺で起きてる神隠し事件について知ってる?」
小夏の言葉が脳をよぎった。
今考えると馬鹿げた話しだ、神隠しなんてあるわけがない。それにそこまで大きな事件なら警察も動くはずだ。
「まて、なんで警察が動いてないんだ」
こんな事件、本当にあるとしたらなぜ警察が動かない?
小夏のジョークかと思いもしたがそれにしてはタチが悪い。
なんとも言えない不安感を抱きなら家に入り
「ただいま。」
そう何気ない言葉と共に玄関をあけると
「は???!?!?」
目の前に黒いフードの男と山積みになった家族の死体。
「ダレ?、父さん、母さん、ナンデしゃべんナイの?」
「ちょと!、笑えないって、、どういうだよ?!」
まるで何かがプツンと切れたかのように体から力が抜け不快感にまみれた汗がでる。
それと共に心臓の鼓動が熱を帯び、より早くなり、胸の奥底から溢れんばかりの激情と鉄のように冷たく寒い殺意がもれでる。
するとフードの男がこちらを向き
「あーあ、ボク見ちゃったか、来なけりゃ死なずにすんだのにね」
そう冷たく言い放った。
「どういうことだよ!!、、オマエが全部やったのかよ!!?!、、」
漏れ出る殺意と衝動に突き動かされ獣のようにフードの男に向かって俺は近づく。
すると男は指をパチンと鳴らし一言
「"水魔法" 水縛」
そう唱えると周りに突如、水が現れワイヤーのような太い糸に変化し、俺は手足を縛られて動けなくなった。
「んだよこれ?!!、、」
激しく焦り、鉄のように硬い水の糸にもがきながら言うと、
「それは神秘学の極地、異能だよ」
「お前ら言うところの超能力ってところか?」
そう男は無表情な顔で語り、俺にナイフを突き出す。
異能や魔法など訳の分からない言葉を聞かされ、さらにこうしてナイフを突き出されたことでようやく俺は、、自分はもう死ぬことに気づいた。
「父さん、、母さん、、、」
力なく俺がそう呟いたとともに、絶対零度のナイフが命脈を断とうとした刹那、
「あが、、、どうし、、て、」
突如フード男が血を頭から流して、力なく床に倒れた。男の頭には何か銃痕のようなものがついていた。
すると、俺縛っていた水の糸が、光を発して砕けた。そして、力なく倒れ意識が混濁した時、何者かが俺に話しかけた。
「はじめまして、 ナツキ 冬馬」
「そしてようこそ、神秘社会へ、、、」
そうして俺の意識は闇に呑まれた。